母さん、あなたは私の存在を知っているのに、私をよそに、台所で背をむける。

にんじんやかぼちゃやじゃがいもが、
うらやましいよ。
かあさんと目と目を合わせて会話している。

かあさんに切られているにんじん。
包丁が、うらやましいよ。
あなたの温かいお手手にしっかり握られている。

白い器に嫉妬するよ。
あなたの作ったお料理を、のせられているのだから。

しろく儚い湯気の中に、
わたしへの愛のメッセージが見える。

こっちを向いていなくても、
あなたはわたしの愛のメッセージを感じているはず。

認識しているよ。
優しいエプロン姿のあなたの全身を。
みつめているよ。
料理ができるまであなたの後姿を。