ロマンスの現実逃避13

あなたの苦しみを見た
普段は穏やかな、小波さえ立たない
なだらかな心が乱れていく

どうか、私の前では完璧でいないで。
あなたの苦しみをその都度吐き出して。
あなたの歪みを受け入れる自信が
あるから。

そうよ。
それを受け止められないほどの
ちっぽけな覚悟で、
あなたを好きになった訳ではないので。

愛することは
自分を知ること
あなたが私を分かっていなくても
それは関係ないことよ
ただ私の中を流れる愛が、
あなたを包み込むだけだから。
ただ、それだけだから。

✳︎✳︎

街をさまよう2人
2人のぼんやりとしたまなざしは
私たち以外の何かに向けられているように
みえて
常に私たち自身に、向けられている。
この世に、ふたりが共存しているという事実はあまりにも大きいものだ

時折わたしたちの気持ちがすれ違ったとしても
そこに恐怖心など存在しない
わたしたちはまた、しばらくしたら
必ず元に戻ることを知っているから。

そんな確信が2人の中にある以上
街はいつだって2人を迷子にさせたり
なんかしないのだ

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