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伊達六十二万石の宿 湯元不忘閣

3ヶ月前、家族旅行で宮城県の青根温泉へ行ってきた。

宿泊したのは「湯元 不忘閣」と呼ばれる風情あふれる温泉宿だ。仙台藩初代藩主である伊達政宗がこの地を訪れ、感銘し「不忘」と名付けたのが由来とされている。この温泉宿は芥川龍之介や川端康成、与謝野晶子・寛夫妻らも訪れた。(宿泊すれば女将さんの案内で宝物殿を見学することが可能で、川端康成や与謝野夫妻の直筆を見ることも出来る)

歴史を感じる建物に感動し、四季をテーマに旬の食材をふんだんに使用した会席料理に舌鼓を打ったが、何よりも心惹かれたのは「青根御殿」と「温泉」であった。

【青根御殿】

部屋から見た青根御殿

青根御殿は不忘閣の代表的な建造物である。三階建ての建造物で、青葉城を眺めることが出来た。二階三階には不忘閣に代々伝わる宝物が数多く展示されている。元々の建物は一度火災に遭ってしまったが、現在の建物は昭和の初めに再建された。再建当初は宿泊部屋としても利用されていたらしい。(伊達政宗が眺めていた景色と同じ部屋で泊まれるなんて贅沢……!)

※宿泊部屋によっては青根御殿を下から眺められる部屋もあります。窓を開け、そよ風に吹かれながら御殿を眺めるのは至福の時間でした。
※1階の休憩スペースや2階の椅子に座りながら御殿を眺めることも出来ます。

【お風呂】

不忘閣には5種類のお風呂がある。泉質は(温泉ソムリエではないので詳しい成分は分からないが)硫黄の香りはあまりせず、さっぱりとした源泉掛け流しである。個人的に硫黄の香りが強くない方が長く入浴していられるので好みの温泉であった。

それぞれの内装や浴槽に個性があり、何度入っても飽きさせない。中でも印象に残った3種類のお風呂について紹介したい。

【大湯】

不忘閣のメインとなるお風呂「大湯」である。その名の通り5種類のお風呂の中で一番広い。2006年にリニューアルしたらしいが天井に組まれた木が太く、力強さを感じさせる。特筆すべき部分は湯船の石が当時からあるものであるという点である。(ネット情報によれば江戸時代からあるとか。)もしかすると先ほど挙げた文人達と同じ湯船に浸かったのかもしれない。男女で時間別になっているため入れる時に先に入浴すべきお風呂である。

【亥之輔の湯】

四角くて小さな貸切露天風呂。細い道を歩き、茶室のような低い戸(にじり口)を開けるとこの温泉にたどり着く。(これがまた秘密基地のようでわくわくする。)また古くからある石垣を目の前で見ることができる。

【蔵湯】


蔵を丸ごと風呂にしてしまった貸切室内風呂。
スリッパに履き替え、3つほど蔵を通り過ぎると「蔵湯」にたどり着く。面白いのは空いているかどうかロビーにある札の有無で分かるという点だ。札は「蔵湯」の取っ手部分に取り付け、戸を開けるという斬新なスタイル。大きな戸を開けるとライトアップされた大きな檜風呂が悠然と構えているのだ。そもそも部屋数がそれほど多くないので、他の宿泊客と風呂を共にするのはシャワー付きの風呂以外無かったのだが、貸切で世間と断絶した空間の中、檜の香りに包まれながら温泉に浸かるというのが何よりも最高であった。

他にもまだまだ書きたいところがあるけれど、長くなってしまうのでこの辺りで切り上げよう。

【あとがき】
伊達政宗が好きな人も、文士が好きな人にも、非日常な空間を楽しみたい人にもお勧めの宿です!
また宿泊したいと思える素敵な旅館でした!

ミニチュア政宗公にも会えるよ