マガジンのカバー画像

fragile

15
ほしちかの短歌集です。
運営しているクリエイター

記事一覧

2014年に詠んでいた短歌たくさん

2014年に詠んでいた短歌たくさん

こんばんは。といっても夜中ですね。寝れないのです(笑)

2014年に短歌をたくさん自己流で詠んでいて、いまそのときのnoteを見返したら結構楽しかったので、載せてみます。

あなたの気持ちにぐっとくる歌が見つかればいいのですが。

では、どうぞ。

空の青ひかりとともにはらわれて卵サンドを買ったなら朝

波模様こころにうかんではきえてはやくすべてに幕を閉じたい

雨足が連れてくるのは好きなだ

もっとみる
短歌10首「私だけかも」(無料版)

短歌10首「私だけかも」(無料版)

センセーに起こされたくて寝たふりをするのはたぶん私だけかも

冬の宵タイツの足先つめたくて眠れずにただラジオをかける

手のひらのハンドクリームふわり香り母と過ごした記憶をたどる

甘ぬるい抵抗なんて意味なくてキャラメルはただ溶けてくばかり

夕焼けた空はピンクとオレンジで私のほかにだあれもいない

暮れる陽の余韻しずかに残る中出て行く君を追いかけられず

口下手なあなたが言いたかった言葉すべて私

もっとみる
短歌10首「私だけかも」

短歌10首「私だけかも」

センセーに起こされたくて寝たふりをするのはたぶん私だけかも

冬の宵タイツの足先つめたくて眠れずにただラジオをかける

手のひらのハンドクリームふわり香り母と過ごした記憶をたどる

甘ぬるい抵抗なんて意味なくてキャラメルはただ溶けてくばかり

夕焼けた空はピンクとオレンジで私のほかにだあれもいない

暮れる陽の余韻しずかに残る中出て行く君を追いかけられず

口下手なあなたが言いたかった言葉すべて私

もっとみる
短歌10首「冬至」

短歌10首「冬至」

手の中のリップクリーム奪われて回されるのを見ている冬至

ホッカイロ毎年まとめ買いしては去年の分が押入れで眠る

思い出の味はマラソン大会でゴールの後に食べた豚汁

蕪の漬け物には柚子を香らせて律儀に母の味を引き継ぐ

学校をさぼりたいゆえ真剣にインフルエンザに罹りたい馬鹿

枯草の中で羽を休める鳥の名を知らないでいる夕焼け小焼け

指先もつま先も冷え一人では冬を越せない春を待てない

毛布とかス

もっとみる
短歌4首「またいつの日か」

短歌4首「またいつの日か」

川沿いに並ぶ灯のいろあたたかく どこからもはぐれた私にも

バランスをくずした心に気休めと思いつつ朝ストレッチして

まんじゅうの餡柔らかく分け合って食べたとしても一人は一人

もう二度と会えないことを知りつつも約束するよ「またいつの日か」

短歌10首「猫じゃらし」

短歌10首「猫じゃらし」

雨の夜猫をなでつつ願うのは少しは生きやすくなる三十路

月満ちた今宵に桃をかじっては持て余すのは女のからだ

爪を短く切りましたスカートも膝の下です 悪い子だけど

教室の中に居場所はなくなって外の紫陽花青ざめている

慈しむということいまだできなくて嘘でも優しいふりばかりする

もう君を邪険に扱ったりしない あの日も揺れていた猫じゃらし

残り香があとかたもなく消えてからだんだん重くなりゆく不在

もっとみる
短歌10首「家族がほしい」

短歌10首「家族がほしい」

「卵焼き少し飽きたな」弁当の箱ゆすぎつつ一人のお昼

ひっかいた傷はすぐには治らないのにまたそこをひっかく弱さ

「恋」という言葉でひとくくりされたひとつひとつに名前をつける

ゆびさきでアイシャドウとりまぶたへとうすく伸ばしていく六月に

焼きたてのトーストもすぐ冷えるから バターは熱い熱いうちにね

「このまんまあふれて海になればなあ」バスタブにお湯ためつつ思う

ついついとコンビニ菓子に手が

もっとみる
短歌10首「ただ春を待つ」

短歌10首「ただ春を待つ」

君のふところに入れる人はなく渡した鯛焼きしずかに冷める

春を待つ心に色はないけれど小さな鼓動ひそやかに打つ

卒業が来たなら君の寝ぐせ見てはしゃぎあうのももうなくなるね

冬ざれの野になにもかも置いてきたわだかまりさえさびしがりさえ

品の良い口紅品の良いドレス心を乱す人さえなければ

ぞんざいに体を扱ってきたからこういうときに涙がでない

心にも鎮痛剤が効いたならあっという間に過去になるのに

もっとみる
短歌3首

短歌3首

クッキーをつまむついでに不機嫌も一緒にミルクで流し込む午後

僕がなくしたハンカチは特別で振ったらうさぎが出てくるんです

駅のホームの向かい側雨の日はいまでも君が手を振るような
#短歌

短歌3首

短歌3首

人ごとのような喪失抱えつつバスルームから見る欠けた月

永遠はどこかにあると信じてたピーターパンのいた夏休み

つけあった傷も痛みもまっさらにして八月に生まれ直すよ

短歌3首

短歌3首

夕闇を見上げて星を数えつつ君待つ人のさみしさ思う

あやまちのたったひとつで身をやつすもうすぐ終わる夏の暮れどき

どらやきを半分こする幸せが小さすぎると笑わないでね

短歌3首

短歌3首

夏みかん銀のナイフで二等分したならハーフ・ムーンのごとく

見え透いた嘘も無邪気な屁理屈もいまじゃ許せるのにもういない

鍋の中小豆と一緒に不器用を煮ている雪の夜はただひとり
#短歌

短歌10首

短歌10首

幾度もの夜遊び繰り返してなお私どこにも帰りたくない

あじさいは盛りとばかり花開き頬に紅さす君は美し 

湯を沸かす音も静かだラーメンの分け前ねだる君がいないと 

頬を切る風が冷たいほど元気 履きなれた靴枯れ葉散らすよ 

大切なひとが寝る前読むような本に出てくる鳩になりたい 

夜行バス窓から見える光たち集めて君にあげられたなら

泥や落ち葉がゆっくりと水底に沈みゆくよう想いの果ては

もっとみる
短歌20首

短歌20首

まっしろに泡立てたなら洗い流して何度でも新しくなる

ずっと消えないようになめていた飴みたいな恋の最期の甘さ

僕と皆各々の道もう二度とクロスしないから言うありがとう

乙女らも髪の花もやがて風にさらわれ消えるはかないひかり

助けてと叫んだりできなかった日保健の先生がくれたチョコ

素麺と麦茶カゴいっぱいにして商品券で夏を買いだめ

たくさんの別れの数だけたくさんの出会いがあったのを

もっとみる