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あと半分への手土産。

これだけギラリとした暑さが続いているというのに、このところどうにも夏が過ぎたあとのことばかり考えてしまう。

何事も、半分過ぎるともう終わりの気配が漂ってくる。
仕事なら昼休み、一週間なら水曜日、四季なら夏、といった具合に。
同じ時間が残されていたとしても、流れゆく速度はやけに速く感じて。
あれよあれよという間に、ついこの前脱いだはずのダウンジャケットをもう羽織っていたりするのだから恐ろしい。

後半になったからといって自分の要領がよくなっているかといえば、そうでもない。
どうかすると、前半の疲労を引きずって、さらにのろのろとした歩みになってしまったり。
なにか、ちょうど真ん中あたりでピリッと刺激してくれるようなものが欲しくなる。
それはティータイムであり、休暇であり、一杯のビールであり。
半分閉じかけた瞼に氷をあてるような何か。

同じものばかりを見ていると、ついつい忘れてしまうことがある。
ピントを合わせる。
近頃はすっかり出不精になってしまったけれど、こんなときは新しいものを見たいと思う。
それは場所でも、景色でも、色でもいい。
手に取って見るもの。
匂いと共に感じるもの。
一瞬で消えてしまうもの。
それでもあとに残る感覚は、何千という画像データよりも信頼できるなにかにだってなり得るのだ。

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