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フリーダム教員、反省的実践家になる

教員としての現在地確認と、目標地点の到達に向けて。

そもそも「反省的実践家」とは?

ドナルド・ショーンが提唱した"reflective practitioner"という概念が「反省的実践家」の核となる考えです。
専門的な知識や技術だけでなく、それらを基礎としながら問題状況に対する「省察」と判断基準としての「実践的見識」が求められます。
つまりは「理論と実践の往還ができる教員」ということですね。
必要な資質能力として挙げられているものは、
①教育の根源を追い求めること
②自信をもって仕事をすること
③子ども一人ひとりに心を寄せ、目を配ること
④人間として豊かで温かく、労を惜しまないこと
⑤社会の変化に対応できること
と、多岐にわたっています。
専門的な知識や教養を土台として、そこに使命感や児童生徒への愛情などが足されると「実践的指導力」が花開く、というわけですね。
そういう教員になるためには「自身の研究を積み重ねていくこと」「内省」「適応力、コミュニケーション能力」が必要だとされています。

なぜ今わざわざこれなのか

この話を知ったのは数年前、私が初任くらいだった頃のことです。
今教員として市立・私立の小中高で勤めてきた経験から言うと「現状あまりこの反省や実践をやっている人がいない」という実感が強く、ここで改めて問題提起した次第です。
ではなぜできないのか?
理由はいろいろ考えられますが……
・反省する時間がない(余計な仕事が多くて手が付けられない)
・余力がない(研究していくためのリソースを割けない)
・変革を嫌う風潮
このあたりが挙げられます。
もちろん学校の規模や方針によって差は生じるけれど、思い当たる方もいるかもしれませんね。

わたし自身のリフレクション活動

私は初任の頃からずっと、手帳に反省を書き続けています。
自分の失敗と成功の軌跡が蓄積されていくので、同じミスをしにくくなる、あるいは成功したことをより洗練させて再度実践できる、というメリットがあります。
これは己に課している「リフレクション活動」なのです。
もう一度俯瞰してとらえ直す。
授業の上手さで言えばまだまだですが、それでも亀の歩みで成長していると感じられるし、その記録が授業や指導の「マニュアル」になるので重宝しています。

実はこれ、他の業種にも活かせると思っています。
例えば私は物書きの仕事をしています。
そういう仕事をしていると、必ず「マニュアル作成」をするのです。
初心者に向けたディレクション(指示出し)というやつですね。
指示出しの際に、「かつてつまずいた経験」があるとそこをフォローできるマニュアルを作れることに最近気づきました。
そういう「実体験に基づいたマニュアル」が存在し、内容も充実していればある程度成果物の品質は保たれるので、執筆業でもマニュアルは重要です。
そして自分がディレクション担当になると、出された成果物に対して適切にフィードバックすることになります。
フィードバックする過程で、かつて自分自身の気付かなかった弱点がわかることもありますし、相手にもアドバイスがいくので成長が見込める……
なんだかウィンウィンな関係が築けると思いませんか?

そして、これも「反省的実践家」じゃないですか?
という持論があり、今回このように記事にしてみました。
「リフレクション活動」に重きを置くタイプの教員であり、さらに自分にも省察を入れていく私だからできる実践がある、そう信じてこれからも授業や生活指導に力を入れていきたいと考えています。

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