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継承語と言語技術について

わたしは今イタリアで日本語教師としてお仕事をしながら、2才の娘に日本語バイリンガルをしているのですが、

「継承語と言語技術」に関して書いたことがなかったなと思い、筆を執りました。


「継承語」という言葉を聞いたことがありますか?

継承語とは親から受け継いだ言葉 (継承した言葉) です。

社会や教育では現地語ですが、家庭で親とのコミュニケーションが現地語ではない言語(多くの場合、親の母語)の場合、それを継承語と呼びます。


わたしはsnsなどで、「日本語バイリンガル育児」と言っているのですが、それは「継承語育児」と言い換えることもできます。


その継承語教育ですが、昨今ではその言葉を聞かない日はないほど、いろいろな場面で取り上げられるようになりました。


それはおそらく、継承語教育をしていきたいと思う一方で、それが思っている以上に難しい。どうしたらいいのか悩んでいるという方が多いというのも1つ理由だと思います。


というのも現地語は習得しなければ社会生活が困難になるのに対して、継承語とは、親から子に引き継がれる言葉(家庭でのみ使われる言葉)です。


なので

●親はどうしてこどもに引き継いでもらいたいのか
●子どもは引き継いでいきたいのか
●引き継ぐ理由はなにか
●どうして引き継いでいかなければいけないのか 
●継承語でどのレベルの習得を目指すのか

という点を親子が共に考え、答えを出していかなければなりません。

上記の点が曖昧だと、長期戦である継承語教育が親にとっても、子どもにとっても、苦痛なものになってしまう可能性が大いにあるからです。


ましてや
〇家族構成や関係性
〇現地の環境
〇家族メンバーそれぞれのバックグラウンド
〇こどもの性格や性質
〇両親がどれくらい現地語が堪能か


など家族ごとに条件や境遇が多様なので、インターネットなどに上がっている「継承語教育の事例」を参考にしたいと思いっても、なかなか同条件や同環境の継承語教育の事例というのは見つからないのも事実だと思います。


では、どうしたらいいのでしょうか…..



そこで必要になってくるものが言語技術だと思っています。



言語技術(ランゲージアーツ)とは4技能+1技能(観察)を使い、自分の思いや頭の中にぼやんとあるものを論理的に筋道をたて、言語化して相手に伝える技術です。


そして、この言語技術は

クリティカルシンキング=問いを立てる力でもあります。



「自分の母国語だから子供にも話してほしい」と思っている方が多いと思いますが


それについて深く考えたことはありますか?


例えば、

●どうして自分の母国語を子どもに話してもらいたいと思っているのか。

●こどもはその言語を継承していきたいとおもっているだろうか、思っていない場合はどうしてだろうか。

●子どもが継承語に対して積極的じゃない場合、それでも自分は教えていきたいだろうか、教えていきたい場合、どんなアプローチができるだろうか

●継承語を話してもらうことでどんな変化があるのか(自分も、子どもも)

●話してもらいたいと思う継承語のレベルはどれくらいなのか(読み書きまで?高等教育レベルまで?聞ければok?)

●達成したい継承語レベルに行くまでに今しなければいけないことは何か、そしてそれは自身の生活に取り入れていけるものか


など、言語技術(ランゲージアーツ)で自身に問いを立てることができます。


そしてこの問いに自身で答えていくことによって、


自分の家族に見合った唯一無二で確固とした、
「わたしが継承語教育をする理由」が持てると思います。


この理由が持てると継承語教育は非常に楽になると思います。
なぜなら、それは自分の継承語教育のブレない軸ができたという事になるからです。


事例や判例を読んだり、参考にするのはとても有益ですが、最終的な自分の継承語教育は、自分の家庭と環境をみて判断するということです。


これは継承語教育だけではなく、「子育て」にもつながるとても大切なことでもあります。


言語技術(ランゲージアーツ)を学ぶことによって、「わたしが継承語教育をする理由(軸)」をもち、安定して、穏やかに継承語教育に取り組めるママ、パパが一人でも増えますように。



次回「ママのためのランゲージアーツ講座」説明会日程はこちら!
第1回 9月11日(日) イタリア時間21時 (日本時間 翌日 朝4時)
第2回 9月19日(月) イタリア時間22時 (日本時間 翌日 朝5時)
第3回 9月30日(金) イタリア時間9時 (日本時間 翌日 朝17時)

参加ご希望の方は以下のリンクからお申込みください。https://forms.gle/XfwHw4fXBujZ8YSSA


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今回も最後まで読んでいただきましてありがとうございました!

Grazie mille!
alla prossima! ciao, ciao!




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