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イヴ・サンローラン展がもっと面白くなる豆知識 -うつ病に悩まされていた?-

企画展概要

イヴ・サンローランの40年にわたる歴史を、ルック110体のほか、アクセサリー、ドローイング、写真を含む262点で紹介しています。

会場:国立新美術館
会期:2023年9月20日(水)〜12月11日(月) ※毎週火曜日休館
開場時間:10:00-18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで
入場料:一般 2300円 大学生1500円 高校生900円
日時指定予約:無し
オンラインでのチケット購入:可能
写真撮影:第9章アーティストへのオマージュのみ撮影可能

作品や章ごとの説明は入り口付近や作品リストににあるQRコードを読み込むと参照できますので、ぜひご利用ください!人が多くて説明を読みにくい場所で私は大活用しました。

QRコードを読み込むとスマートフォンで説明を読めます


イヴ・サンローラン展がもっと面白くなる豆知識

イヴ・サンローランの経歴

・サンローランはクリスチャン・ディオールの急死をうけわずか21歳で、1958年にディオールのデザイナーとしてデビュー
・1962年からは自身のブランド「イヴ・サンローラン」を発表
・ウィメンズのパンツスーツ、ピーコート、トレンチコートといったアイテムを定着させる

下の写真は、ディオール時代のサンローランの作品になります。

サンローランのディオール時代の作品
東京都現代美術館 ディオール展(2022年)にて
サンローランのディオール時代の作品
シンプルで美しい服のラインに本当に惚れ惚れしました


①約420億円相当のアートコレクションを保有していた

サンローランとパートナーのベルジェは香水の売り出しや、サングラスやタオルなど190ものライセンス商品の展開により、巨万の富を得ました。
その資金を彼らは絵画や彫刻などアートコレクションに注ぎ込みました。二人の邸宅はピカソ、モネ、モンドリアン、セザンヌ、マティス、コクトーなどのさまざまな名作で溢れていたそうです。

ただし、サンローランの死後、ベルジェはエイズ基金や、劇場への援助金などさまざまな財団法人や基金団体に寄付をするために3億7300万ユーロ(約420億円)で、コレクションを売却したため、現在ではそのコレクションは保有されていません。

展示では、ゴッホやマティスの作品からインスピレーションを得た鮮やかなコレクションが複数ありましたが、手元にある作品も大いにその源になっていたのではないでしょうか。

オマージュした作品

出典:GQ Japan, 「イヴ・サンローラン、 天才デザイナーの苦悩と真実【2】」, 2011年4月22日


② 22歳の頃から長らくうつ病に悩まされていた

サンローランは22歳の頃に躁うつ病であると診断され、うつ病に悩まされてドラッグやアルコールの常用を繰り返していました。ショーの後、震える体と不明瞭なスピーチで観客に挨拶するサンローランの姿がさまざまな憶測を呼び、40代からたびたび死亡説が流れるほどでした。

ピエール・ベルジェはこのことについて、「薬物やアルコールの力を借りて、素晴らしいコレクションを作り上げたことは彼自身が認めています。それゆえ、止めるのは本当に大変だったようです。」と語っています。

出典:日経xwoman Terrace

出典:WWD, 「映画『イヴ・サンローラン』の主役、ピエール・ニネが語るムッシュの素顔」, 2014年8月8日
GQ Japan, 「イヴ・サンローラン、 天才デザイナーの苦悩と真実【1】」, 2011年4月20日


③イヴ・サンローランが広めるまで、パンツルックはスキャンダラスと思われていた

シャネルは体を締め付けるコルセットがない服で女性を自由にしましたが、サンローランは、パンツルックなどで女性に力を与えました。

今では当たり前に女性も着こなすパンツスーツですが、当時、サンローランのパンツスーツを着た女性がNYのレストランから締め出されたほど、スキャンダラスなデザインだったのです。

その後も、水兵のユニフォームから派生したピーコートや、探検家の服装をイメージしたサファリルックなどを次々に打ち出し、
今ではパンツルックやピーコートは世界中の女性が当たり前に、好きな時に着るようになったのです。

イヴニング・アンサンブル
1984年秋冬オートクチュールコレクション

出典:GQ Japan, 「イヴ・サンローラン、 天才デザイナーの苦悩と真実【1】」, 2011年4月20日



ポイント④イヴ・サンローランが設立された1960年代のフランスは激動の時代だった

1954年からはアルジェリア戦争が始まり、1960年代には5月危機でド=ゴールが辞任するというように、1950-60年代のフランスは激動の時代でした。

そうした中で、サンローラン自身もアルジェリア戦争に徴兵されるなど、波乱の中で自身のブランドを立ち上げ、次々に素晴らしいコレクションを発表したのです。

著者作成

参考:世界史の窓


チケット・予約方法

日時指定はないので、当日でも購入可能です。
学生など一般以外のチケットもオンラインで購入できるようでした。

販売場所:国立新美術館、公式オンラインチケット産経iDTBSチケットチケットぴあ
※詳しくはこちらの公式サイトをご参照ください。

私は公式サイトで購入しました。


混雑具合

10月の土曜日朝イチに行きました。9:45頃に着いた時には既に入口は空いており、企画展示室の前に30人くらいは並んでいました
そのままチケットをチェックして頂き会場に入りましたが、2つ目の展示室までとても人が集中してしまっており私は人混みが苦手なので、ほとんど人のいない第2章の展示室からスタートし、最後の展示室まで見てからまた最初に戻りました。

ある程度予習している方ならこの方法でも流れが分かりますので問題ないかなと思います。
ただ、基本的に展示室はなり広めで人が多くても余裕を持って鑑賞できるので、最初の部屋に人が密集していても安心してください…!

また、今回は第9章のみ撮影可能だったので、ディオール展の際とは異なり、落ち着いて見ることが出来ました。最後のビデオも長いですがとても良くまとめられていて面白かったので、お時間ある方は是非ご覧ください。


感想

今回そもそもこの展示を楽しみにしていたのは、私はそこまで好きなブランドというものがなかったのですが、東京都現代美術館のディオール展でのサンローランのコレクションが本当に素敵で、そしてとても着たい!とわくわくしたからなのです。

ランウェイに出てくるようなお洋服を実際に見る機会って意外にありませんし、ましてや昔の作品などこうした展示会や本場のそれぞれのブランドのミュージアムお目にかかれません。

美術館で服の展示‥?と思われるかもしれませんが、
実物を見るという体験は特別なものがあると私は感じています。

そして、あまり今回の展示では触れられていませんでしたが、一つの服が出来上がるまでにどれほどの途方もない作業があるのかといったことを考えると、デザイナーだけでなくパタンナー、そしてベルジェのような経営者ら皆によって作り上げられた総合作品であるということをとても感じます。

ファッションにそれほど興味も知識もなかった私が、3年前の新国立美術館でのファッションインジャパン展、1年前のディオール展を経て、徐々に最高峰のファッション界の面白さ、日々着るものから受ける影響などに思いが及ぶようになり、魅入られるようになったので、

新たな扉を開かれる方が今回の展示でも増えるのではないかなぁと思います。

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