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俺的、いい歌詞を書くミュージシャンランキングBEST5

第一位:吉井和哉
エロスを題材にしている歌詞でもやらしくならずに芸術的にまとまっているところ(『HOTEL宇宙船』など)。これは吉井自身の妖艶なパーソナリティが寄与する部分も大きいと思う。また、邦楽史上最も文学性の高い作詞家の一人であると思う。楯の会事件を背景に、三島由紀夫と森田必勝の関係を題材にした『悲しきASAN BOY』は、個人的に吉井作品の白眉とも言えるもので、三島を恋い慕っていた森田の心情と事件の最終局面へ進んでいく悲劇性を真に迫る描写とともに描ききっている。ドキュメンタリーでありながらラブロマンスでもあり、それらを高次元で両立させた吉井の文学性の高さと文学に対する造詣の深さが伺い知れる名作である。

第二位:稲葉浩志
BGM感覚で聞いていてもふと耳を奪われるような珍奇な言葉遣いが斬新である。変なのにキャッチーさゆえに誰もそれを変だと思わない巧妙なタイトルも捨てがたい。『ultra soul』『ギリギリchop』『愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない』など。女性の尻に敷かれたり、劣等感をかんじたりといった情けない男を主題にした歌詞も稲葉ならではの作風である。
ソロワークでは、稲葉自身の内省的な性格からくる陰鬱で自己卑下に満ちたドロっとした歌詞が顕著である。
『BLEED』では、「自分のことを嗤ってみせるけど 謙遜でもなんでもない 諦めたふりして楽になりたいだけ ほんとは誰にも負けたくない」という一節が登場するのだが、ズバリ自分の弱い部分なを言い当てられたようでドキリとした。本当に自分の弱さと日々、よく向き合っているのだなと感心する。
雲の上の存在でありがらも、人間・稲葉浩志のむき身のペルソナを惜しげもなく披瀝してくれていて、等身大の歌詞に共感できつつ、普段なかなか窺い知ることのできない稲葉の精神世界を探訪することができる。

第三位:あいみょん
メジャーな女性アーティストでは珍しく、エロスや残酷な描写を比喩や置き換えを用いずにストレートに出し切って勝負しているから。多くの人々が避けてきた表現の茨道に突っ込んで自己の「世界観」を確立したと思う。『貴方解剖純愛歌』『生きていたんだよな』『◯◯ちゃん』など。
『青春と青春と青春』では、夏という季節を背景に、学生時代特有のウブで甘酸っぱい恋愛あるあるな要素全部つめこんでおきながら、ストーリーに無理がない。メロディなしで歌詞だけで読んでも、読み物として成立してしまうような文学性も感じられる。

第四位:尾崎豊
青少年に特有の葛藤をこれ以上無いほどにストレートに表現している代弁者のような歌詞に心打たれた。自分の悩みは世界で自分ひとりにしか分からないと思ってふさぎ込みがちだった時期に、一種の救いの手を差し伸べてくれた。ラブソングを書かせても一級品で作詞家として完璧にすら思える。

第五位:甲本ヒロト
シンプルな語彙なのに芯を食った表現を生み出せるところ。『ラブレター』などラブソングもこなせるという器用さがニクい。『首つり台から』の一節で「前しか見えない目玉をつけて」という部分があるのだが、シンプルで分かりきっていることなのに生まれて初めて知った事実であるかのようにハッとさせられた。『シャララ』『皆殺しのメロディ』などの社会風刺を織り込んだ歌詞をためらいなくぶっ放せるかっこよさも持っている。パンクロッカーとしてのアティチュードを全面に押し出しているところがかっこいい。


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