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ターゲットは受験生だけではない?大東文化大学の通信書道講座から思う、これからの学科の生き残りの道。

18歳人口が減っていくなか、社会人に向けた生涯教育やリカレント教育をどう開拓していくかは、大学にとって大きな課題です。今回、見つけたのも、そんな生涯教育に関わる一手。とてもシンプルかつアナログですが、実はこういうアプローチも大事なように思います。

取り上げたのは、大東文化大学の通信書道講座。この講座は、同大学が作成したDVDで学習した後に課題を送付することで添削を受けられるというものです。

現在はコロナによってオンライン環境が急速に整い、また対面での講座が開講しにくいこともあって、オンラインやオンデマンドでの生涯教育講座が一気に増えました。場所や、場合によっては時間の制約も受けない、オンライン、オンデマンドは忙しい社会人にとってはありがたく、今後の生涯教育の普及に大きく貢献するのは間違いありません。

一方、これら講座スタイルが一気に普及したことと、わかりやすく便利であるため、生涯教育はオンラインがベストだと深く考えずに反射的に思ってしまうような状況ができつつあるように感じます。でも、たとえば今回のような書道講座であれば、観るだけでなく、自分でやってみないとはじまりませんし、書道に興味がある人のなかには年配の人も多くいそうです。であれば、DVD+添削というシンプルなやり方のほうが、実は理にかなっているのかもしれません。今は、否応なくオンラインを取り入れないといけない状況ですが、コロナ収束後に再度整理する必要がありそうです。

またもう一つ思ったのは、書道という学問領域(?)は、受験生にものすごくウケる領域ではなさそうですが、書道ファンというのは世代問わず一定数存在しそうです。こういう学科の場合、社会人をもっと開拓していくことで、社会人教育の収益と学費の両方で学科の収支を安定させる、そんな経営方針を将来的にめざしてもいいのではないでしょうか。今はまだ生涯教育でしっかり稼ぐのは難しい状況ですが、少子高齢化は今後もずっと続くことがわかり切っているので、試行錯誤する価値はあります。

そして、もしこういった経営スタイルが確立できれば、これまでとは違う観点で学部学科の設立を考えられるようになるかもしれません。たとえば、マニアックだけど世代問わず熱心なファンがいるような分野、絵本とか、ガーデニングとか、考古学とかの学科が今よりつくりやすくなる可能性があります。また、生涯教育といっても、オンライン環境が世界的に整い、機械翻訳の精度もあがってきている昨今、国内にこだわる必要もないでしょう。京都や茶道、寺社仏閣など、海外から人気のある日本のコンテンツをテーマにした学科も十分に考えられます。

現在の学部学科は、当然ですが高校生をメインターゲットにして設計されています。今後、もしターゲットが変わったり、複数になったとき、どんな学部学科が生まれ、どんな学びがデザインされるのでしょう。想像すると、なかなかワクワクしてきます。思いもつかなかった学科が、未来の人気学科になっているかもしれません。

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