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卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

大学の広報活動における入試広報とブランディング活動の違いは何か?と聞かれると、重なっているところの方が少ないのですが、でもあえて一つを挙げるとするなら、“勝たなくていい”ことのように思います。この視点で考えたとき、今回、見つけたプレスリリースの内容は、すごくポテンシャルが高いように感じました。

3つの同窓会組織による連携協定の締結

では、どんなプレスリリースなのかというと、学習院桜友会、成蹊学園、甲南学園の同窓会組織が連携協定を締結したというもの。大学と地方自治体や企業の連携協定というのはよく目にしますし、大学と大学というのもめずらしくありません。でも、同窓会組織同士が複数で協定を結ぶというのは真新しいように思い、これを見たとき、こういう展開もあるのかと、ふわっとテンションが上りました。

じゃあ同窓会組織がつながることに、なぜ期待を感じたのかというと、これはそもそも同窓会組織自体のポテンシャルが高いと思っていて、それがつながることができることに、すごい×すごい=めちゃすごい!と感じたからです(説明がざっくり…)。

近くて遠い卒業生の存在を、どのように捉えるか

同窓会組織というのは、ほんと宝の山です。大学は教職員+在学生がメインとなるため、人の入れ替えはあるにしても、基本的に劇的には増えません。しかし、同窓会組織は卒業生が集積する場なので、伝統があればあるほど、関わる人が増えていきます。でもそうはいっても、直接的に大学の推進力として同窓会組織を活かそうとすると、寄付者やリカレント教育の受講生、キャリア教育のアドバイザーなど、関わり方はそれなりに限られてはいます。卒業生側も母校は、今、自身が所属している組織ではないので、そこまで深く関わる余裕もなければ義理もありません。

ここまでだと、期待したほど助けてもらえなさそう…と思ってしまうかもしれません。でも、視点を少し変えて、単なるいち社会人として見てみたらどうでしょう。そう捉えると、すごく距離が近く、好感をもってもらいやすい人に見えてきます。自大学と縁もゆかりもない社会人であれば、接点をもつだけでもひと苦労ですし、たとえ接点をもてたとしても、自大学の考えや取り組みに共感してもらえるかというと、そこにさらにハードルがあります。しかし、卒業生であれば、同窓会報やSNSなど接点となるポイントはすでにあるうえ、発信する情報についても比較的好意的に受け止めてもらえる可能性が高い。遠くにいる内部の人ではなく、近くにいる外部の人と考えると、すごく心強い存在に見えてきます。

同窓会組織がつながることで、何ができるのか

大学のブランディング活動は、さまざまな立場の人(=社会全般)に、自大学を理解してもらい好感を抱いてもらう活動になるのですが、まったく関わりのない人に、これを成し遂げようとするとかなりの茨の道です。でも、卒業生もいち社会人であり、ブランディング活動のターゲットだと捉えるなら、ここはかなり歩きやすい道になるわけです。しかも、この人たちは、すでにたくさんいるうえ、毎年、確実に増えていくわけです。

同窓会組織は、そんな卒業生を束ねるところなので、ブランディング活動を進めるうえで、すごく価値があります。そして、このnoteの冒頭で書いたように、ブランディング活動に競合関係はありません。同窓会組織同士が手を携えたとき、それぞれの組織が所属する卒業生たちに、協定大学の魅力や価値を伝えても、基本、不都合はありません。もちろん自大学の卒業生ほど、響かないとは思います。でも、同窓会組織同士がともに活動する機会が増えれば、まったく関わりのない社会人に伝えるより、ずっと共感してもらいやすい状況がつくれるように思います。さらにいうと、ブランディング活動でなくても、競合関係が発生せず、社会人がターゲットになる活動であれば、同窓会組織の連携は活かせるはずです。

大学にとって卒業生は一番の財産といっても過言ではありません。今回の事例が、この財産をいち大学という枠に縛られず、複数大学の魅力や価値を底上げした好例になればすごく素晴らしいことのように思います。ぜひさらにその先として、全国の同窓会組織が広くつながって、大学業界全体の価値の向上に貢献するみたいな活動が生まれれば、ものすごく素敵だと思います。

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