学生FDサミット2019

今という時代に、学生視点でよりよき教育を考えることの大切さ

大学がレジャーランドと揶揄されたのは、はるか昔のこと。今の学生たちは真面目だし、大学もそれに応えるように良き教育を追究しています。今回、見つけた記事にある、学生FD(ファカルティ・ディベロップメント)サミットは、そんな良き教育をつくるための取り組みの一つです。こういう活動に学生が主体的に関わるのって、とても大事なような気がします。

まず、そもそもFDとは何なのか、ですが、これは上の記事にも少し書いてはいるものの、会員登録しないと読めないので、文部科学省のウェブサイトから引用しておきます。

「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称。その意味するところは極めて広範にわたるが、具体的な例としては、教員相互の授業参観の実施、授業方法についての研究会の開催、新任教員のための研修会の開催などを挙げることができる。」 ※文部科学省ウェブサイトより

平たく言ってしまうと、ファカルティ(学部)をディベロップメント(発展)させていくための教育改善活動です。学生FDはこの一環で、学生の視点から学部の教育をよりよくしていく取り組みになります。

ちなみに今回の記事にある「学生FDサミット2019 with 学生FD会議」のテーマは、「大学はつまらない? ~今、私たち学生にできることは~」でした。この視点、とてもいいと思うんです。というのも、教育をよりよくするというのは、いろんな捉え方があって、効率的にするのもそうだし、効果的にするのもそう、学術的に正確だとか、将来の仕事に役立つ、研究するための素地を養う、なんていうのも捉え方としてあります。

数値や客観的な視点から捉えて考えるのは、教職員を含め、部外者でできます。でも、つまらないとか、面白いというのは、個人の感覚であり、この感覚からひもとけるのは、日ごろから授業を受けている学生だけです。

少し話がずれるのですが、つい最近、ひょんなことから学生と一緒に商品開発をするワークショップに参加しました。学生チームのなかには、データではなく、自分たちの実感を根拠に商品を考えるチームもあって、そういうチームの発表を聞くのが、とても刺激的でした。というのも、おっさんである私は、自分の感覚にそこまで確信がないので、ついデータを調べてしまいます。しかし、数字から導き出したスタートラインと、そこからのアイデア出しだと、考えられる幅がけっこう狭いんですよね。

学生たちは自身の感覚(というか根拠なき確信)からスタートするので、すでに出だしからしてオリジナリティあふれる場合が多々あります。「学生ならではの発想」というのは、発想が柔軟なだけでなく、スタート設定からしてすでにちょっと違っていた……なんていう発見がありました。価値観が多様になり過ぎた現代、スタンダードというものは存在しません。時と場合によっては、こっちの方がうけるのかも、という気がしました。

閑話休題。

学生FDというのは、商品開発よりもさらに、学生たち自身の感覚が活きる分野です。授業を受けるのは、当の本人なわけですから。全入時代を迎え、良くも悪くも学生の意欲、価値観、進学に対する意味づけ等が多様化した今、すべての学生が面白い、良い、と思える授業は存在しないのかもしれません。なら、この商品開発のように、個人の感覚を活かしたFDというのはありだと思うし、そこから生まれる“ヒット商品(授業の在り方)”はあるはずです。学生たちの活躍に、ちょっと、いや、いっぱい期待したいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?