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大学を変える鍵は学長にあり。大経大のインナーブランディングサイトから気づいた、学長メッセージの大切さ。

少子高齢化、新型コロナ、急速なICTの発展などなど、世の中の大きな変化は、大学にも直撃しており、これからの時代を見据えて主体的に変化することが、今、大学ではかつてないほどに求められています。では、変化するとしたら、どこをめざして変化するべきなのか、またどのようにしたら学内に変化しようという気持ちが芽生えるのか、といったことが重要な課題になっていきます。この解決の糸口として、インナーブランディングは非常に意義深いと、私は思うのです。今回、そんなことを思うきっかけになったサイトをご紹介します。

サイト名は「Talk with」、大阪経済大学のインナーブランディング学内サイトです。実はこの取り組み、私も関らわさせてもらっています。この取り組みを続ける中で、いろいろと発見や気付きがあったのですが、そのなかで一つ強く思ったのは、学長からのメッセージの大事さです。本サイトでは、座談会のいち参加者として、また学長メッセージという連載企画で、学長が登場し、いろいろなことを話してもらっています。こういった学長の登場の仕方って、すごく大事だと思うのです。

といっても、どの大学でも、学長は大学の代表として折に触れてメッセージを発信しているじゃないか!と思うかもしれません。確かにそうなんです。年始や創立記念日、さまざまな記念行事、それに公式ウェブサイトや大学案内などにも学長のメッセージが載っています。でもこれらって、ほとんど年に1回だけのものだったり、1回載せると複数年そのままにされるものだったりするうえ、それぞれに関連性がない。結果、大学の特徴やこれからについてなど、大学として伝えるべきことを、スポークスマンとして伝えるだけのメッセージになっています。これって、大学の代表者としてのメッセージであって、学長個人のメッセージではないんですよね。

身も蓋もない言い方ですが、大学がどのような方向を目指していくべきかというのは、エリアや規模、学部学科構成、大学の序列等を踏まえて考えると、大雑把な方向性というのはいくつかに類型化されるように思います。大事なのは、そのある種、割り当てられた方向性のなかで、自大学が何を大事にして、どこにアイデンティティを持つのかというディティールの部分です。そこが見えないと、自大学がどこを向かうのかが本当の意味で理解することはできないし、教職員が何に注力したらいいかがわかりません。このディティールをつかむ上で、学長の個人としての想いは、とても大事な情報源です。

ではこの情報を引き出すにはどうしたらいいか。それは、一期一会でなく何度でも学長が話せる場や機会を用意することだと思います。一回ですべてを言い切らなくていい。どうでもいいような話をしてもいい。前回の話と今回の話の間に矛盾点があってもいい。今、学長が思うことを自分の言葉で話し、それを重ねていく。その蓄積でしか、大学がめざそうとする方向性は具体化されないのではないでしょうか。そして、ディティールが見えてきたのなら、他の教職員もともに話し合い、さらに具体化していったり、よりよくなるように変えていったりすればいいと思うんですね。とはいえ、議論のなかで変化していくにしろ、最初にいったんその大学の未来に質感を与えるのは、学長の役目だと私は思っています。

大経大のインナーブランディング学内サイトからの気付きは、他にもあるのですが、今回はとりあえずここまでにしておきます。あと、最後にもうひとこと。学長のメッセージはあくまで、大学のディティールをつかむための起点です。インナーブランディングは、そこから関係者で語り合い、考えや目的を共有していき、学長がめざしたい自大学のこれからを、自分たちがめざしたい自大学のこれからに変えることこそが、本来の目的になります。なので、学長の言葉で大学のこれからを深堀りするのは大事だけど、それがすべてではありません。またどこかで、教職員が大学を変えることを自分ごと化するためにはどうしたらいいか、みたいな話もできたらいいなぁと思っています(画期的な手法があるわけではないのですが…)。

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