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【医師論文まとめ】1杯半のコーヒーでアルツハイマー病のリスクが3割減!?適量のコーヒーは予防に良い!?

アルツハイマー病のリスクに対する毎日のコーヒー摂取の効果:系統的レビューとメタアナリシス

背景

アルツハイマー病(AD)は世界中で2400万人以上が罹患する非常に多くの人々が苦しむ神経変性疾患です。この疾患の発症を防ぐか遅らせるかもしれないライフスタイル要因を特定することは研究者にとって興味深い課題の一つです。コーヒー摂取はそのような要因として長年研究されてきましたが、研究結果は一致していません。

方法

本メタアナリシスはPRISMA2020報告ガイドラインに準拠して行われました。PubMed、Embase、Web of Scienceデータベースを「coffee」「caffeine」「Alzheimer's disease」等のキーワード組み合わせによる検索を行い、関連研究を収集しました。研究条件としては、2002年から2022年のヒトを対象とした原著論文で、コーヒー摂取量とADリスクとの関係を調べたものとしました。データの抽出と統計解析にはStataを使用しました。

結果

合計551件の文献から選出した11研究(6121人)をメタアナリシスの対象としました。1〜2杯/日の定期的なコーヒー摂取者では、AD発症リスクは32%低下(RR=0.68)していました。2〜4杯/日では21%低下(RR=0.79)しました。しかし、4杯超では4%上昇(RR=1.04)の傾向がありました。

図2. アルツハイマー病患者と健常対照者の1-2杯/日のコーヒー摂取の相対リスク(RR)を示すフォレストプロット。個々のRRとそれに対応する95%信頼区間(CI)は四角で塗りつぶした。四角の大きさは、ランダム効果メタ解析における研究の重みを示す。RRの要約推定値とその95%信頼区間を菱形で示す。 REML: restricted maximum likelihood(制限付き最尤法)。
図3. アルツハイマー病患者と健常対照者間の2-4杯/日のコーヒー常飲の相対リスク(RR)を示すフォレストプロット。個々のRRとそれに対応する95%信頼区間(CI)は四角で塗りつぶした。四角の大きさは、ランダム効果メタ解析における研究の重みを示す。RRの要約推定値とその95%信頼区間を菱形で示す。 REML: restricted maximum likelihood(制限付き最尤法)。
図4. アルツハイマー病患者と健常対照者における4杯/日以上のコーヒー常飲の相対リスク(RR)を示すフォレストプロット。個々のRRとそれに対応する95%信頼区間(CI)は塗りつぶした四角で示した。四角の大きさは、ランダム効果メタ解析における研究の重みを示す。RRの要約推定値とその95%信頼区間を菱形で示す。

結論

適量(1〜4杯/日)のコーヒー摂取ではADリスクが低下する一方、過剰摂取(4杯超)ではリスクが上昇する可能性があることが示唆されました。コーヒーがAD予防に及ぼす影響と摂取量の最適範囲を判断するには、今後の長期観察研究が必要だと結論付けられます。

まとめ

新たなメタアナリシスで、1日1~2杯のコーヒー消費者ではアルツ発症リスクが32%低下することが判明!ただ、4杯超ではリスクが上がる可能性も。適量コーヒーならアルツ予防に役立つのでは?研究者は最適量を明らかにする必要性を指摘。

所感

コーヒーは世界で最も消費される飲料の1つで、長年神経保護作用があるのではないかと注目されてきました。しかし、その効果には不一致ある結果もありました。

今回の研究では過去のデータを量的に分析し、適度なコーヒー摂取とADリスク低下との関連性を示唆しています。

一方で、過剰摂取で逆にリスク上昇する可能性も示されました。コーヒーには利点と欠点があるのかもしれません。

今後の研究によって、最適量や機序をより明らかにしていく必要があると考えます。より信頼できるエビデンスを集積することが大切だと思われます。

文献

Nila, Irin Sultana et al. “Effect of Daily Coffee Consumption on the Risk of Alzheimer's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Journal of lifestyle medicine vol. 13,2 (2023): 83-89. doi:10.15280/jlm.2023.13.2.83

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