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短歌連作「蝋燭は等しく壕を照らすのに」 10首

孤児たちは幾度も噴かすエンジンを叫びのような夜の疾走

テーブルに強く下ろした中ジョッキ彼はじぶんを見つけて欲しい

シナプスの先まで満ちた絶望が目を曇らせる 霧を吐かせる

フレディの夢に錯乱するひとがメトロで叫ぶ自傷みたいに

断崖の羊らの見る白昼夢もくもくもくと角は伸びゆく

蝋燭は等しく壕を照らすのに影を見つめて描く肖像

恥部というレンズを通す高僧の眼の下町に紫煙がくゆる

たてごとの音色とともに立ち上がる鏡の迷路みたいな叙事詩

うつくしいひとから消える病んだ街 廃油の海を笑顔で泳げ

脊椎のことばは無効ですうぶな頭部をもって当窓口へ



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