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短歌連作「写真展」 17首

界隈をグーグルマップひらきつつずんずん歩くピンを目指して


古めかしい趣のある貸しビルの211号室の秋


世界にはまだ美しい瞬間があると写真は教えてくれる



取り壊しされる校舎の洗い場に置かれたままの緑のじょうろ


もう子らの来ることのない教室の南京錠の深い沈黙


モノクロの田んぼにうつる青空は写真の中で笑っていない



「写真にはうつらない美しさもある」ブルーハーツはかつて歌った


わたくしも心のカメラで撮っている言葉をつかい現像をする



大都市の駅に直結されているビルの二階の白いギャラリー


主催者が他のお客に「媚びない」が大事と熱のこもる力説


多幸感あふれあふれる地球上のevery little thingの輪唱


大都市の光と闇の拮抗のその瞬間の駅の凍結



写真部にいた秋からの半年が十年後まだ光ってる秋


写真展三つ回った日の暮れのほうじ茶ラテが沁みてくスタバ


安定の居心地の良さ 内装にイスに照明ただよう香り


くりかえす日々が下げてく視線上げるための刺激がときどきは要る


ふだんならブレンドにするところだが変わり種など攻めるそんな日



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