一票の格差の根本原因に誰も触れてない気がする

衆議院選挙や参議院選挙の後にもはや恒例行事のように、一票の格差に関する訴訟が起きて、そしてだいぶ経ってから裁判所がその選挙は違憲状態(だが結果は無効ではない)という判断を下すことがよくあります。

同じ国の中に住んでいて、住む場所によって一票の価値が異なるのは問題なのでしょうけれど、じゃあどうやって是正するのか、解決策は何なのか、とまではどこの報道でも言及されていない気がします。

特に、その選挙で負けたはずの野党勢力であっても、裁判所がその選挙は違憲状態だという判決を出した後でも特に一票の格差の問題を表立って追求したりすることはありません。

日本における一票の格差の問題は、結局のところ都会に人が集まりすぎて地方に人がいなさすぎるからであり、その過密・過疎のスピードに議席配分の変更が追いつかないことです。

はっきり言うと、完全に一票の格差を同じにすると、都会の議席を大幅に増やして地方の議席を大幅に減らすことになります。日頃から過疎問題を取り上げたり地方分権を求めたりしている人達に取ってみれば、一票の格差をすぐに是正することはむしろ地方の政治リソースを大幅に削ることになります。

もちろん、究極的には都会の過密と地方の過疎の問題を解消することが求められるのでしょうけれど、そんなことを解決するには少なくとも数十年はかかる問題ですし、そもそも解決が可能なのか、という問題でもあります。

裁判所にしても、違憲状態とは見なしつつも結果は無効ではないというギリギリの判断をすることくらいしか出来ないのでしょう。ズバッと結果も無効だと判断してしまえば、地方切り捨てのお墨付きを司法が政府に与えてしまうことになってしまいます。

地方の議席数を維持したままですと都会の議席数を増やすことになり、税金からの議員歳費などを増やすことになる上に、地方議員の影響力が相対的に減ることには変わりありません。

マスメディアでも政府なり与党なりを批判する際に、一票の格差の問題を取り上げて先の選挙結果は無効だ!とか主張することはありません。東京キー局でそれを主張するのは笑えないジョークでしょう。

「一票の格差の是正」イコール「地方切り捨て」という図式が存在する以上、公の立場からはあまり触れたくない問題なのでしょう。

格差が5倍や10倍あるのは相当な問題だとは思いますが、現状の2倍や3倍というのは格差を認めつつも、行政も司法も立法も、都会も地方も、与党も野党も、マスコミも含めて何とかしょうがないか、と納得せざるを得ないラインなのではないでしょうか。

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