中国はハードランディングを迎えるか

読売新聞が元日の朝刊で、中国政府の千人計画に日本人研究者も数十人含まれていたという記事を一面に載せていました。

このタイミングで分かったというより、2021年は中国の野望に日米が対抗する年になるぞという読売新聞としてのメッセージなのでしょう。

立場や思想によって捉え方や考え方は人それぞれだと思いますが、少なくとも私からは中国政府、中国共産党、そして習近平国家主席の世界の覇権に対する野望は明らかだと思います。

2020年中には返還されて久しい香港への中央からの締め付けが厳しくなり、国際間の問題にもなりました。香港を出る人をイギリスやアメリカが助けることは出来ても、香港内における弾圧には他国は内政干渉にならないレベルでは出来ることに限界があります。

アメリカの低下と中国の台頭が今後も続くと思われますが、どこまでも続いて覇権が逆転するとは思っていません。

持続的な発展が出来るかどうか結構微妙でしょう。経済力だけではなく、全てを含めた総合的に見ての話です。アメリカは様々な混乱や問題を抱えていますが、自由主義に基づく成長はどの分野でもあるでしょう。

中国はいずれ人口が減少に転じますし、移民を入れて国家を発展させるという考えはありません。またアメリカやヨーロッパとも関係がこじれ始めています。非欧米経済圏の国力は今後も上昇し続けますが、その経済圏の中で中国が主導的立場に君臨すると、当然ながら反発も生まれるはずです。

ロシアはあくまでも打算的に中国と付き合っているだけで、超長距離の国境線を抱える緊張感を孕んだ関係です。

さらに将来は中国を抜いて人口世界一になるインドも、半世紀以上国境問題を中国と抱えています。経済的な付き合いは途切れないでしょうけれど、米欧との関係を見据えながらの中国との付き合いになります。

東南アジアでも軍事的脅威と経済的恩恵を天秤にかけながら、親中と反中がどこの国でも揺れ動きながら続くでしょう。

直接的な緊張が存在しないアフリカ、中南米だけが中国よりになり続ける可能性があるわけですが、それも欧米(それと日本)が発展途上国への援助を減らした隙を付いているだけに過ぎません。

中国の歴代王朝が行っていた朝貢貿易のようなものです。中国が持ち出す側になることで名目上の中心的存在であることを認められています。利で釣った国は利で釣り続けるしかありませんが、その利が無くなれば離れていきます。

朝貢貿易は宗主国側の大きな赤字になります。赤字に耐えうる国力があればいいですが、その余裕が無くなれば、朝貢貿易を無くすか国民から搾取するかしかありません。

かつて異民族を懐柔するための赤字貿易を続けていけなくなると、異民族が貿易を求めて繰り返し侵入した歴史もありました。かといって搾取すれば国民の民心が政府から離れます。

いずれは中国は激しいハードランディングを迎えるのではないかと思っていますが、ただこれだけ言っていると、永久に実現しない中国崩壊論者と同じですね。

しかし、今の構図は過去を見返すと、70年代のオイルショックを乗り越えて80年代にアメリカの覇権に挑んで敗れた日本と、00年代のリーマンショックを乗り越えて10年代にアメリカの覇権に挑んで経済戦争中の中国という構図のようにも思えます。

かつての日本が敗れた80年代の経済戦争はバブル崩壊という強烈なダメージを日本経済に与えました。その後の30年間の絶望的な低成長は、政府や日銀の対応の失敗によるハードランディングに思えましたが、実はソフトランディングだったかもしれません。

日本とアメリカは経済では対立しても政治や軍事面では対立はありません。政治的に対立したのも最近では鳩山内閣や安倍内閣のオバマ大統領の1期目の時くらいでしょうか。

しかし中国は、経済面、政治面、軍事面でアメリカと対抗している関係上、生やさしい結果に終わるとは思えません。

構図としてはあるいは、国際法を遵守して先進国に追いつけ追い越せで頑張り、追いついたら臆面もなく国際法を破って先進国の覇権に挑んだ戦前の日本とも重なります。

そうなると、枢軸国側が中国・ロシア・ISあたりになるでしょうか?

あくまでこんな妄想をしても何も変わりませんが、中国崩壊論が消えて米中逆転論が目につくようになると、こんな天邪鬼もやってみたくもなりますね。

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