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誤審とVARとDAZNとtoto

先日、金曜5月3日から日曜5月5日にかけて、令和になってから初めてのJリーグの試合が行われました。
その初日5月3日の試合で誤審だ!という話が出ていて、なんとも新しい時代の幕開けとしては格好が付かない始まりになってしまいましたが、当然のことながら誤審騒動が起きると「VAR(ビデオアシスタントレフェリー)を導入しろ!」という意見が出てきます。

誤審(あるいは誤審のようなジャッジ)によって被害を被ったチームにしてみたらそんなことも言いたくなるのは理解出来ますが、VARの導入にあたっては考えておかないといけない点が二つあります。

まず一つ目。VARの導入によってVARで判定するプレーなどについては誤審の可能性は減るでしょうけれど、全ての誤審が無くなるわけではありません。これは抽象的な言いようというわけではありません。

VARを採用している試合において、全てのプレーやファウルがVARの対象になるわけではなく、一部のプレー・ファウルのみ対象です。

ウィキペディアからの抜粋となりますが、
https://ja.wikipedia.org/wiki/ビデオ・アシスタント・レフェリー

VARシステム対象のプレー
VARシステムは以下の4つのケースのみ使用が認められる[1][3][11]。
得点の有無(ラインを割っていたか否かのみではなく、それまでの一連のプレーも対象)
ペナルティーキックの有無
一発レッドカードに相当する行為かどうか(2度目の警告を含めたイエローカード相当の行為は対象外)
間違った選手に対しての退場処分、警告処分であったかどうか
であり、なおかつ「確実かつ明白な誤審」もしくは「重大な見逃し」の疑いがある場合だけである[12]。

とあります。逆に言うと、対象外のプレーで重大な誤審が発生して、それが勝敗を左右した場合(例えば誤審で与えられたフリーキックやコーナーキックからゴールが決まった場合など)に関しては、VAR対象外として誤審が今後も存在しうる可能性があります。

また、VARで見ても微妙な判定というのも当然あり得るでしょう。接触はしているけれど倒れてPKを与えるのが妥当かどうか、というのはビデオをコマ送りで見ていっても厳しい判断になると思います。もちろん、そのジャッジをするための研修や専門の技術者がいるわけですので、素人がテレビ中継を見て判断するものとはレベルが違うと思いますが、VARによって結果的に不利益を被った側のチーム関係者はVARでの判断自体を批判するようになるでしょう。この点は導入時に各クラブだけではなくてサポーターやマスメディアにも周知を心がける必要があると思います。

もう一つ、VAR導入に当たっての注意点というか問題点は、お金の問題です。
各スタジアムに専用ルームの設置やカメラも増やす必要があります。当然ながらJリーグの負担や各クラブの負担は出てくるでしょう。そしてスタジアムの所有者が負担する分があれば、そしてそのスタジアム所有者が自治体であれば税金が必要となります。Jリーグの判定のために税金を使うのか、という議論がその自治体の議会で起きるのは間違いありません。OKをもらったとしても予算を組んでからの実行になりますから時間がかかります。

また、導入時のイニシャルコストだけではなく、運用に必要な人手を確保しないと行けませんし、機器のメンテナンスといったランニングコストも単純に上乗せされて必要となります。

この導入に当たっての費用負担についてどこかに出ているのかも知れませんが、せっかくDAZNが大型契約を結んでくれたのですから、Jリーグ自体がそこからVAR導入費用を全面的に工面してくれないものかと思います。DAZNからしてみれば、多額の放映権料を払っているのだから、それを誤審減少に有益に生かしなさいよ、と言いたくもなると思います。

そしてJリーグを対象にしたサッカーくじtotoがあるのですから、誤審によって勝敗が左右された結果、「自分が買ったクジが外れた! 賠償しろ!」という訴訟でも起きたら大事になりかねません(もちろん免責事項として書いてあるのだと思いますが)。その意味でも誤審は減らすべきなのは言うまでもありません。費用面の問題をクリア出来るのであれば、早く導入して欲しいとは思います。

ちなみにJリーグでは今シーズン、一部の試合でVARを利用するということが決まっていました。

ビデオ・アシスタント・レフェリー導入について
https://www.jleague.jp/release/post-57674/

■導入試合 [最大計14試合]
・ルヴァンカップ プライムステージ 全13試合(準々決勝、準決勝、決勝)
・J1参入プレーオフ1試合(決定戦)
※J1参入プレーオフの1回戦、2回戦においては追加副審(AAR)を導入

まず今年は試験導入を行い、そこで出た問題点をチェックして出来れば来年度から全試合(少なくともJ1)で導入したいのだと思います。まあそれまでは我慢するしかないですよね。

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