2019年J1リーグ開幕戦:セレッソ大阪対ヴィッセル神戸戦の感想

 2019年2月22日に行われた、セレッソ大阪対ヴィッセル神戸の開幕戦はボールをキープして慎重に攻める神戸と、カウンターアタックとセットプレーで得点を目指すセレッソという、サッカーの世界では非常によくある典型的な構図で行われました。
 実際の詳細な内容については私自身は丁寧に分析する能力はありませんので書きません。また、セレッソが勝ったからといってじゃあこれで今年の神戸がダメか、セレッソはバラ色かと言えばそういうわけではないでしょう。
 ただ、セレッソとしては新監督での初戦としては上々のできだったのではないでしょうか。特に後半途中に札幌から獲得した都倉を投入してから前線が活発化し、神戸ディフェンスが崩れはじめたところでのコーナーキックから先制できましたので、ボールキープされることも含めて、試合前にロティーナ監督が描いていたゲームプランとかなり近かったのではないかと思います。
 一方、ヴィッセルとしては残念な開幕戦となりました。フライデーJリーグの開幕戦としてかなりメディアの注目度が高かったのに、というのもありますが、そもそもJリーグ運営側がビジャ・イニエスタ・ポドルスキーの3名を抱える神戸にメディアの注目を集めてやろう、という意思が見え見えのマッチメイキングでしたので、神戸側が望んでいた形の開幕戦だったかどうかは分かりません。
 しかし、結果はともかく神戸の初戦を観る限りの問題点は明らかです。ボールポゼッション率を高めて試合を有利に運ぶ、という理屈は理解出来ますしかなり実行できていますが、最終的に誰が得点するのかがはっきり役割分担できていないところがあります。
 FCバルセロナのティキタカを目指すヴィッセル神戸ということで、一昨年にポドルスキー、昨年にイニエスタとリージョ監督、そして今期からビジャを加入させました。しかし、神戸はなぜ決定的なストライカーを前線に配置しないのでしょうか。憧れのバルサにはメッシという不世出のフォワードがいます。どんなにボールをつないでも点をきっちり取ってくれるフォワードがいないと、セレッソ戦のようにいつかどこかでやられます。

 また、FWだけでも解決できないかも知れません。バルセロナのティキタカとは異なるかも知れませんが、風間八宏監督の理想もショートパスを丹念につないでゴールを目指す形ですが、川崎フロンターレでは大久保嘉人が、そして今の名古屋グランパスでは元セレソンのジョーがいるにもかかわらず、川崎時代は優勝できず(その後の鬼木監督が2連覇!)、名古屋では残留争いに苦しみました。ショートパスによるポゼッションサッカーに絶対的なフォワードがいても理想的な結果につながるとは限りません。今のヴィッセル神戸は理想から2段階低い状態なのかも知れないのです。

 さらにいうと、ポゼッションを高めることと守備の手当てをしないのとは違います。堅い守備が無ければ、ボールを失うのが怖くなり、さらにシュートを打たなくなってしまいます。前線や中盤に華々しい世界的知名度を持つ選手を獲得するのも一つの在り方ですが、ガッチリ守れて、中盤や前線にいいパスを供給できて、セットプレーから得点できる理想的なセンターバックを獲得する方が先ではないでしょうか?
 先のアジアカップで吉田と冨安が日本代表のセンターバックコンビを組みましたが、日本人で優れたセンターバックはそう多くはありません。Jリーグでいうと浦和の槙野やガンバの三浦、FC東京の森重などでしょうか。どこも神戸に移籍させることはないでしょうから、神戸はこのポジションにこそお金をかけて外国人選手(欧州にこだわることなく)を手当するべきでしょう。

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