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内向的な繊細さんに勇気を与える橘玲・渾身の一冊「スピリチュアルズ」

橘玲さんと言えば、「それ言っちゃうの!?」という身も蓋もない事実を記す論理の人という印象がある。

読んでいてグサッときたり、「きっついなあ…」と感じることもある。

しかし今回、ご紹介する『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』は、内向型の繊細さんに勇気を与えてくれる一冊。

ちなみにタイトルは『スピリチュアルズ』だが、スピ系の本ではなく、「自分自身が何者か?」という自己理解を深めてくれる実用書だ。

人間の要素を

①外向的/内向的
②楽観的/悲観的(神経症傾向)
③同調性
④共感力
⑤堅実性
⑥経験への開放性
⑦知能
⑧外見

上記8つに分類して、各々を解説してくれている。

この世の中の多くは外向的な人間が作ったという説もあり、「内向的な人よりも、外向的な人の方が優れている」といった価値観がなんとなく広まっている。

「外向的は明るいけど、内向的は暗くてなんだか嫌だよね」という風潮はまさに優劣というジャッジが下された言葉だろう。

しかし橘さんは本書の中で、内向も外向もひとつの性質であり優劣に関与するものではないと看破されていた。

外向、内向を刺激に対する鋭敏さの度合いによって区分けしていたのが興味深かった。

外向型が刺激に鈍感なので、「もっと興奮度を上げたい」と強烈な刺激を求めるのに対し、内向型は刺激に対して過敏なので、「興奮度を下げたい」と強い刺激を避けようとする。

自分が大きな音とか、強烈な光など刺激を避けたがる内向型なので、すごく腑に落ちた。

外向タイプは華があるので、耳目を集めやすく多くの人の印象に残りやすい。

外向タイプの中で、人と繋がったり推進力がありすぎる人はキャパオーバーを起こしたり人間関係が破綻するリスクを抱えているという。

刺激を求めすぎて依存症になりやすいのも、外向型のリスクだという。

現代は内向的な人間が、輝ける時代にどんどんなっている。

なぜなら内向的な人が真価を発揮しやすい職業が増えたからだ。

研究者やシステムエンジニアは、内向型の特性が活かしやすい仕事だという。

テクノロジーの進化によって、内向的な人材が社会で高い評価を集めやすいのが現代なのだ。

橘さんは、人のパーソナリティは後天的に変えられるものではないのだから、「いかにパーソナリティを活かせる場所を探すかが大事」といった旨を書いておられる。

「仕事は自分のハマるところ探し」という持論を持っていたので、納得した。

その時代の価値観で、人間が持つ要素に優劣をつけたがるから、悩む人が増えるのだろう。

本書を通じて「内向的な繊細さんは、自身の特性を活かせる場所を探せば生きやすくなり、幸福度が上がる」というのが理解できた。

HSP気質の方にぜひ、お読みいただきたい一冊である。


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