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月記(2021.06)


6月の記録。


01

感情を言葉にしていたら、泣いてしまった。


02

ホテルからチェックアウトした。

楽しみなことはたくさん待っているのに、常に感情が身体より少し遅れているような感覚が続いている。綺麗なデジタルディレイじゃない、テープエコーのように揺らぐ感覚。


10

ふと流れてきた全く知らない音楽を「良いなぁ」と感じた。今時はノイズキャンセリング機能付のイヤホン・ヘッドホンを着けるのが当たり前かもしれないけど、そうしたものはなんとなく気が進まず使っていない。耳は塞ぎにくいからこそ、思いがけない感情の種になることができると思う。

関係各位、その節はご心配をおかけしました。


13

人は当たり前に元気でいるように見えて、当たり前のように突然いなくなるかもしれない。そこにいない人のことを知ることができないから誤解してしまい、当たり前の半分しか見えていないこともある。迂闊にも、そんなことをたくさん考えさせられた日だった。迂闊?


14

関係各位、その節はご心配をおかけしました。


15

人は底に落ちたとき、アイドルにハマる。わかる。


17

憧れのおじさん達が遊んでいる姿を見た。彼らは「音楽で遊んでいる」という表現が似合う気がする。初めて見たthe band apartの姿も、確か新木場のステージの上だった。


20

ヤなことそっとミュート5周年記念ライブ「YSM5」を見た。「ぼくらのちいさな地図」が始まった瞬間、2019年7月の赤坂BLITZの感覚が蘇ってきた。
その前日はMaison book girlのツアーで金沢に泊まっていて、朝から新幹線で東京へ、そして地下鉄で赤坂へと移動した。久しぶりに外に出ると、そこはものすごく「東京」で、埃っぽい雨の匂いが漂っていた。会場に入ると、湿気と熱気が入り混じった不思議な匂いに変わった。その中で、白と少しの青をまとった四人が、轟音と共に歌い踊っていた。あの時の情景が、代官山にいる、今の僕に繋がった。

「さいごに見た笑顔 嘘みたいに眩しかった」
「進んでいくことが 振り返ることが ぼくらにはきっと必要なことなんだ」
「これからどこへいこうかな」

終わる頃には、泣き崩れていた。それでも不思議と、ちょっと視界は明るくなった。


そういえば、どこか遠方から東京に戻ってくると、まず空気の匂いが違っていて、そこで「戻ってきたな」と感じていた。今はマスクをしているせいで、細かい匂いを感じとりにくい。匂いは記憶と強く結びつくという話を聞くが、そうなるとマスクの匂いというのが、いつか皆にとっての2020年代の記憶になるのだろうか。


21

学び:練馬は群馬ではない。


22

RAY 2nd single「Yellow」リリースパーティー。久しぶりのRAY。対バン、NILKLYは現体制になって初めて、サンダルテレフォンは現衣装になって初めてだった。どちらも曲自体は知っているものもあるので、冷静にじっくりと見ることができた気がする。RAYは「Yellow」収録曲以外に何をやるんだろうと思っていたら、予想してもなかった「尊しあなたのすべてを」が組み込まれていて、それだけでもう何かが満たされた。「尊しあなたのすべてを」は、僕の脳内RAY楽曲ランキングに初登場して以来、常に表彰台に乗っている。あと制服はやばい。


23

素晴らしいMVが爆誕した。

ツイッターにもつらつらと書いたのだけれど、二眼レフカメラのビューファインダー越しに撮影しているというのがとても面白い。カメラに詳しい人ならご存じだろうが、二眼レフカメラは構造上、ファインダーに見える像と、フィルムに撮影される像が異なっている。カメラを通しているけど、フィルムに写るものではない、その時にしか見れない映像が使われているのだ。エフェクトも勿論使われているが、アナログな仕組みから生み出される風合いも映像の重要な要素になっている。無論、曲も素晴らしい。これまでのRAY楽曲群と比較して、ゆったりとしたリズムが際立ち、聴いていて気持ちの良い曲だと思う。


24

素晴らしいMVが爆誕した(二日連続二回目)。

まず引っかかるポイントは変拍子である。メインのリズムとして貫かれる「(3+3+3+4)/4拍子」のループ。Bメロやサビでは3/4拍子になるなど、全体的なフィーリングはワルツ感もある「3」の世界の曲だと思う(なので、四小節目の「4/4」は、字余り的な「3+1/4」とも感じる)。個人的にはこの「ズンタッター、ズンタッター」というワルツ感が大事だと思っていて、これが全体的に優しい響きのあるメンバーの歌声とメロディーラインと合わさり、「優雅さ」を生み出している。一方でBPM自体はかなり速く、先に言及した変拍子が生む緊張感、サビで登場する高速エイトビートなど、「激しさ」も同時にも成立させている。リリスリバースは楽曲コンセプトに「二面性」を掲げているが、「再生」はそれが一曲の中で表現されてしまっている。ひょっとしたら、名刺代わりの一曲にもなり得るのではないだろうか。それくらいの衝撃を受けた。紫が特徴的な今の衣装で、森の中というロケーションを選んだところも、いい意味で異物感があって好きなポイントだ。


25

ありがたい一日だった。


26

目覚めて、飲み物を机に置いて、キーボードにこぼした。ちゃんと壊れた。

新宿LOFT。とにかく音がデカかった。主催のせいだろうか。クロスノエシスはポニテ祭りだった。「翼より」が組み込まれていたり、MC明け曲フリからの「インカーネイション」が新鮮だった。僕はLAKEさんの歌声をベタ褒めしがちなのだが、この日の「in the Dark」イントロ部は、優しさと芯の強さが同居する彼女の歌声の旨味が存分に表れていたように思う。ヤナミュー、彩華さんを迎えた四人で初披露された「Pastureland」が、また昔の僕を呼び覚ました。間宮まにさんの子羊ポーズに反射的にカメラを向けるのも、なんだか久しぶりな気がした。ここ二年くらいのモヤモヤしたものを振り切る勢いでアクセルベタ踏みのヤナミュー、清々しいものがある。こう感じられるのも、代官山を経たおかげなのかもしれない。

いろんな色に光るキーボードを買って帰った。思ったより気分がアガる。


27

そういうことは早く言ってよぉ~(クールポコ感)(臼のほう)

高円寺HIGHに駆け込むと、「愛はどこいったの?」が鳴っていた。大好きな間奏だった。RAYの出番はあっという間に終わってしまった。もったいなかったけど、それはそれでいい。こういうときに、「まあほぼ見れなさそうだし、いっか」とならず「ワンチャン見れる!あと特典会はあるし!」というメンタリティを発揮できたのは、多少なりとも元気が出てきたということの表れではなかろうか。

そういえば、僕はアイドル界隈に足を踏み入れてから、わりとすぐに特典会に参加したほうだと思う。これに関しては「そういうものなのだろう」という、界隈に対して仁義を切る意味合い(?)もあった。後になって観察していると、「ライブは見るけど特典会にはまだ行けない」という人も一定数いることがわかった。そのスタンスは理解できるし、僕だって謎の仁義感(?)がなければ同じようになっていた気がする。とはいえ、体験してしまった身としては、特典会というシステムはとても意義深いものだと思う。発明されてからだいぶ経つが、今度も是非継続してもらいたい。そしてチェキフィルムがたくさん売れて、某社が儲かり、35mmフィルムの生産も続いてくれれば、言うことなしである。


30

感情のディレイタイムが少し短くなった。

気づいたら、自分で自分に1万字インタビューしていた。もっと思い通りに言葉を扱えるようになりたいし、思い通りに感情を表せるようになりたい。

yumegiwa last girlのライブを見た。6人体制になってはじめて、やっとだ…という感じだった。ステージに6人並んでいるのを見ると、配信での印象より遥かに迫力がある。曲間の言葉にも個性が見え隠れする。音源だけでは知ることができない、振付の組み合わせや、表情の交換、そしてMCなどを見て、新体制を実感した。人数が増えれば、それだけの関係性が生まれ、それが反射して、ひとりひとりの見え方も変わっていく。より良い形での化学反応が発生していくことを願う。

ちょうど6人体制での音源も配信が開始された。勢いづいている。どこからともなく「夢際いくぞ!」という力強い声が聞こえる。



傷は、血が止まるくらいには治ったほうがいいかもしれないが、正さなくてもよいのかもしれない、と思った。



・今月あたらしく知った音楽


・今月なつかしんだ音楽


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