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コピペとAI

サンタさんへの手紙

完全に投稿のタイミングを逃しましたが…今回はクリスマス前の出来事。毎年サンタさんへのプレゼントリクエストの手紙を娘と一緒に作っています。ただ手紙を作るだけでなく、最先端のデジタルツールを使い、STEM的な隠れテーマを体験にもりこんで作っています。今年のテーマは「コピー&ペースト」。iPadで描いた手書き模様をコピペしてパターン模様を作りました。さらには、コピペを入り口にAIとシンギュラリティにも軽く触れてみました。

コピー&ペーストの歴史

いまや長いテキストをコピペできるのは当たり前です。ただ、これもパソコンが普及しだした20年前から。コピペの歴史を紐解くと、1959年に事務用コピー機が登場し紙のコピーが取れるようになり、1995年windows95の登場でパソコンが普及しデジタル上でコピペができるように、そして2010年頃からスマホ&SNSが普及しコピペはもっとカジュアルになります。カメラで撮った写真や動画も日常的にコピペしたり、SNSなどを通じて複数の人に共有できたりするようになりました。

コピー&ペーストの最前線

人間が苦手で、コンピューターが得意な代表的な処理。それは「繰り返し処理」です。コピペが楽だと言ってもそれを100回繰り返す作業は人類には苦行。ただ、プロのデザイン用のソフトを使えば、それも簡単に実現できます。手書きで書いた線を取り込んで、複製し、こんなパターンの模様が簡単につくれます。

ただ、この技術はそれほど新しいものでもありません。1990年代頃からあった機能です。それ以降劇的な進化はないままでした。

コピ&ペーストの未来 - AIで進化するコピペ

長らくコピペは進化していませんでいた。そんな技術的安定期にあったコピペ界が2017年頃から劇的に進化しだします。きっかけは画像生成AI、pix2pixの登場です。百聞は一見に如かず、見て頂くのが早いでしょう

Example-Based Synthesis of Stylized Facial Animations

左側の絵画のように右側の写真が変わります。作家の作風、つまりスタイルがコピペできるようになったのです。

手書き風

こんなスタイルも

そして、なんとこんなものも!ここまで来ると今までのコピペの概念を覆していますよね。コピペ感が変わります。

さらになんと動く!!WEBカム画像もリアルタイムに変更できるのです。この機能は、研究分野の話ではなく、すでに一般向けにリリースされています。20年近く大きな進歩がなかったコピペ技術が画像生成AIにより一気に変化しはじめました。pix2pixはコピペだけでなく、様々な分野の画像生成に劇的な進化をもたらしたのです。

シンギュラリティの誤解

この指数関数的なAIの進化をうけ注目されだしたのがシンギュラリティです。(シンギュラリティは実は古く2005年に発表された概念です。)日本では「2045年にAIが人類を超える」と紹介されるのをよく目にしますが、その本質は「指数関数的な進化を続け、2045年に進化の速度が無限大になる」です。人間と比べて凄いかどうかよりも、進化の速度がポイントなのです。

ただし、この説には様々な異論・反論があります。大きなところでは「指数関数的な成長が数十年に渡り続く」予想への反論です。

例えばコピペの場合、1959年事務用コピー機、1995年windows95。2010年スマホ&SNS。2,30年にパラダイムシフトがおき劇的な進化が起きているものの、その後数十年大きな進化がない安定期を迎えています。大半の技術はこのように大きな成長期を経て、その後ゆるやかな安定期をむかえます。図のようにS字を描くのです。

このような技術傾向から考えると、シンギュラリティ論の大前提である「2045年まで指数関数的に進化が続く」主張は科学的根拠は薄いと私は思っています。(シンギュラリティ論は、様々な技術のS字カーブが細かく連続し、全体として指数関数的な進化をすると予想している。)シンギュラリティ教、Singularistなどで検索するとその他の反論も出てきます。○○教と揶揄されるレベルでしか科学的根拠がないものなのです。

シンギュラリティとは問い

異論・反論も多くありますが「指数関数的に技術が進化しつづける」と考えて、技術と人類はどう進化していくのか?と想像するのは意義があると思っています。今現在、AIが指数関数的に進化しているのはご紹介したように間違いない事実です。この傾向がいつまで続くかは分かりませんが、世界が大きく変わろうとしているのも間違いないと思います。そんな時代に未来予想図の1つとしてシンギュラリティ論を読み解くのは、お子さんの生きる未来を考えるヒントになります。未来の世界で何が変わり、何が変わらないのか?を考えるきっかけになるからです。私がSTEM教育で「しくみ視点」に注力しているのもシンギュラリティが起こったとしても価値が変わらないものだと思っているからです。


なぜならそれは世界を見つめる1つの視点だからです。では、1番重要なものは何か?私はいまのところ「新しいものへの好奇心」だと思っています。

進化論のダーウィンはこう言っています。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である。

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