ひっとみー

自分のために文章を書いています。 人と心が通うような書き方を心がけています。

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最近の記事

人間観察日記① 母

正月に実家に帰ったら、はとこのトワちゃんがテレビに出るということでちょっとした騒ぎになっていた。雪国に住んでいたトワちゃんとは昔、スキーに行った際に何度か会ったことがあったが、今は現代美術家になっているということだった。  短い番組の中でトワちゃんは自分の作品のテーマや伝えたいことについて、ものすごくしっかりと喋っていて、すべての単語や文のつながりが完璧で、話し方、声の調子にも一切の澱みなく、溌剌としていた。 トワちゃんの言うことには、情報伝達技術が進化した現代において、画面

    • 酩酊と饒舌のあいだ

      お酒がそんなに好きではない人に、なぜ酔っ払うほどお酒を飲むのか?と聞かれることがある。純粋な疑問として。全くもって答えに窮する質問ではあるけども、一つ言えるとしたら、素面の自分は真面目で面白くない人間だからと言う引け目があるからだと思う。 酔うと少し饒舌になったり、こうあるべきと言う事から解放されるような気がする。でも時々記憶もなくなる位酔っ払って、翌日にあなた昨夜こんなことを言っていたよ、と言われて、その内容が全く自分が心にも思っていないことだったりするので驚く。 例えばあ

      • 夢日記(実際には存在していないもう一つの部屋)

        今日は昨日の日記のつづきとして「暇」の分類について書くつもりだったけど、30過ぎてからめっきり浅い眠りの中でみた夢が、いわゆる“よく見る夢”の一種だったので、そういえばこのことも一度書いてみて、他のひとの夢の話も聞いてみたいと思ってたんだったなと思い出したので、今日は夢の話を書きます。 よく見る夢の中にもいくつか種類があって、具合が悪い時に見る夢とか、何か不安や緊張があるときに見る夢とかいろいろあって、特に若い頃の緊張した場面とかは再現ドラマみたいに何度もくりかえされる。(こ

        • 日記231125

          結構前から日記を書きたいと思っていた。 なにも皆に読んでほしいような、面白いことばかりおこるからとかでは決してなく、 むしろ誰にも知られたくない、というか知られてはならないような恥ずかしいことばかりの日常であるのにまた、なぜ日記を書こうと思ったかというと、 あまりにもインプットもアウトプットも少なさすぎて、悪い方のエントロピーな感じがしているからと言ったらいいのかな。そういう虚無感がすこしでも和らいだらいいなとおもって書いている。 とにかく暇なんでしょ、と言われたらそれまで

        人間観察日記① 母

          お金をどぶに捨てがちなやもめの献金

          どちらかといえば、お金をどぶに捨てているほうである。 普段はまあまあ、質素な生活をしているけど、この前も家から一番近いお店でお酒を飲んでいていつのまにか前後不覚になり、鍵をどこか誰も思いつかないようなところに自ら迷い込ませてしまったりとか、それで朝になるのを待って鍵屋を呼んで35,000円を支払ったりとか、ちょっと人に話したら普通に社会的信用を失うようなことを時々やっては、私ってお金をどぶに捨てているな、金どぶだなーって思っている。 一方で、やもめの献金って何なのというと

          お金をどぶに捨てがちなやもめの献金

          咳をしてもひとり(咳は出てないけど)

          解熱剤が効いてきたので炊飯器におかゆを仕掛けて、冷凍の鮭の切り身を魚焼きグリルに入れて解凍を始めたのは夕方の5時くらいで、 ひと眠りして目が覚めたら熱が39度になっていた。  手がほかほかの焼き芋を持ってるみたいに温かく、こんなに熱が出るのって子供の時以来だなと思いながら、魚焼きグリルのことを考えた。 今から起きて魚を焼くの、面倒だな。この状態で火を使って調理をするなんて危ないんじゃないか。(これを読んでくれている人は、あんたそもそも食欲があるのかと思われることだろうけど、

          咳をしてもひとり(咳は出てないけど)

          日記20230221

          今日は本当に単なる日記を書いてみようと思う。 2年前くらいから定期検査を受けている項目があり、今の家に一番近い小さな総合病院に4ヶ月おきに行っている。 病院は平日しかやってないから午前半休をとって予約して9時に家を出るので普段より1時間長く寝られる。 この検査はもう5回目くらいだけど一度検査後の気分不良になったことがあった。 検査後にお腹の柔らかいところが俄かに痒くなり、気づいたときには顔や唇の裏まで発疹が出てきて、このまま息ができなくなるかもしれないと大袈裟に思った。 今は

          日記20230221

          氷水のこと 〜お風呂上がり、あるいは真夜中の〜

          自分がしたことで私が一度でも喜んだり美味しいと言ったら毎日でも再現してくれる健気な男の子がかつてうちにいた。 一番古い記憶はたぶんお風呂上がりの氷水で、私がジンのソーダ割にレモンを絞って飲むためのうすはりのグラスに、ある時氷をパンパンに詰めて水を入れてくれた。 私はお酒が好きで、それ以上に好きな飲み物はいい加減酔ってお風呂に入ったあとに飲むお水で、夏場はそれが冷たければ冷たいほどいいと言ったからだ。 私はお風呂から出てきてすでにそれが小さな四角いテーブルの上にあるのを見て歓喜

          氷水のこと 〜お風呂上がり、あるいは真夜中の〜

          読書感想文『落下する夕方』(江國香織 著)

          人生がハードモードになっている時や身近な大事な人の不在による喪失感に苛まれる時、音楽や小説なんかは本当に心を落ち着けてくれると気づく。この曲、この本を書いた人もこんな気持ちだったのかなと思うことが、人の気持ちがわからない私という人間にも、少しは共感性が備わっているのかもしれないという安堵にも繋がる。 不謹慎だけど、恋人が突然亡くなってから、今の自分にピッタリな作品を本棚の奥やAmazonプライムの検索画面から引っ張り出してきて、それらをまとめたものを死別三部作とか、死別プレイ

          読書感想文『落下する夕方』(江國香織 著)

          自分の日常に戻る言葉

          働き始めて間もないころ、10年ぶりにバレエを習い直そうと毎週のように大人のオープンクラスに出ていたことがあった。 (ここ最近は引っ越しを繰り返すうえに、平日も土日も暇さえあればビールや缶のチューハイを飲んでしまうので、近所のスタジオの道場破りもやめてしまった。) こんなことは口が裂けても言ってはいけないけど、私が受けるようなアマチュア初心者の"いわゆる大人バレエのクラス"というのは側から見ればときに滑稽である。 小さくジャンプしたらそのまま天に昇っていってしまいそうな妖精や、

          自分の日常に戻る言葉

          備忘録

          ーはじめに  誰にでも忘れたいような忘れたくないような、その時だけの気持ちや思いがあるに違いない。  でも今の世界には情報が多すぎて、何もかも単純には理解できないし、全てを受け入れられない時もあるだろう。  自分の身に起きたことは、同時に誰かの身にも多かれ少なかれ降りかかっていているわけで、関係した人たちの目を借りれば、出来事の解釈は三者三様であるはずだ。  そのことを踏まえて自分の置かれた状況を俯瞰してみると、さまざまな切り口で受け入れ難い出来事を追体験し、観察することがで