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高校生のための人権入門(4) 人権侵害の基本的構図

前回、述べたようなパワーハラスメントが起きる構造は、ほとんどの人権侵害に当てはめることができます。つまり、「強い立場の人」と「弱い立場の人」がいて、その間に「気持ちや思いのズレや断絶」があります。この状態において、「強い立場の人」が、自分(たち)の「正しさ」に基づいて、「弱い立場の人」に、自分(たち)の持つ力を振るった時、人権侵害が起きるのです。

重要なことは、人権侵害をしている側は、自分たちのしていることを悪いことだとは思っていないということです。悪いのは相手の方なので、このくらいのことをされても当たり前だと思っています。だから、人権侵害や差別はなくならないのです。

一方で、人権侵害を受けている側からすれば、自分が受けている非難や攻撃や差別は、まったく理不尽で、なぜこんなことが今も行われているのか、まったく理解できません。そのため、被害者の側は、「これは人権侵害だ。なんでこんな理不尽なことがまかり通っているのか。こんなことがまかり通る世の中がおかしい。」と考えます。しかし、被害者が考えるそのようなまっとうで、正しい主張は、現実には、なかなか周りの多くの人を動かすことにはなりません。

これが人権侵害が起きている状態です。ここでは、決して互いに交わることのない、二つの「正しさ」がぶつかり合っています。人権侵害の問題を解決することの難しさは、ここから生まれているのです。

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