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四大からデザイナーを目指すのは不利ではないか?

なりたいと思ったから目指した。それだけのこと。

「なんで急にデザイナーになろうとおもったの?」
…そもそもなりたいと思ったことに理由って必要なのか。
「四大からだと不利なんじゃないの?」
…不利だとは思う。だがほっといてくれ。気が済むまで挑戦させてくれ。

いやしかし、たしかに“不利”という意見があるのは否定はできない。判断軸が人によって異なるので難しい課題ではあるが、「デザイナーとして出世しにくい」という評価軸があることは感じる。

とはいえ私は「四大→デザイナー」という経験しかしていないので、相対的に「美大→デザイナー」という構図より不利なのか?を判断できないし、個人的観測にはなるのだけど。

言葉で言い表しようのない革新的なデザインはすごい。

デザイナーの人からしたら一般常識ではあるが、亀倉雄策というデザイン界の巨匠のなかの巨匠。
その亀倉雄策が制作したものの1つがこの1964年の東京オリンピックのシンボルマーク/エンブレム。

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出典:https://nostos.jp/archives/113987

シンプル。
シンプルなのだが、ものすごいエネルギーを感じる力強さがある。
色の使い方なのだろうか、余白の使い方なのだろうか、それぞれのバランスをもってそのような印象を与えているのだろうと思う。
わたしがもっとも衝撃をうけた作品の1つ。

この1964年のオリンピックで、今回の東京2020の開会式で話題となったピクトグラムも生まれている。

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出典:https://olympics.com/ioc/news/the-olympic-pictograms-a-long-and-fascinating-story

「世界中から訪れる人のための案内表示シンボル」の作成を目的とし、外国人向けの案内板が整備されていない当時の日本で、来訪者をもてなす方法として制作されたよう。
田中一光を含む若手クリエイターによって生み出されたピクトグラムは、「社会に還元すべきだ」という考えのもとに著作権放棄され、全世界で広く使われるようになる。
また競技種目のピクトグラムは、現在でも各大会に合わせて制作され続けている。

今オリンピックのピクトグラムは、全体のトンマナとデザインの統一性を持たせる方向で調整され、1964年のピクトグラムと比較するとより躍動的なものになっているように思う。

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出典:https://www3.nhk.or.jp/sports/story/6244/index.html

こういった素晴らしいデザインを見るたびに、すごいな、かっこいいな。と思うと同時に、自身で作りあげるまでにどれほどの年月、どれほどの努力が必要なのだろうか?と、自分との差に目の前が暗くなる気がする。こういったデザインに携わっている人のほとんどはやはり美術大学に通っている。

ふとした瞬間不安がこみ上げてくる。

とはいえ、不利なのだろうか?

単刀直入にいってしまうと不利だろうと思う。
美大生が学校生活で培ったセンスや知識の差を埋めるには、寝る間も惜しんで血眼で手を動かす、のように相応の時間と努力を自分自身に費やさないといけないだろうし、
どんなことを学べば良いのか、どんな風に学べば良いのか。それを学校側に提供してもらうのと、あれでもないこれでもないと自分で探し求めるのとでは前者の効率のよさは言うまでもなく。

しかし、くだんの通りすべて自分の時間の使い方で変わるものではあると思う。実際に私自身がデザイナーとして飯を食っていけてるように、かっこいいデザインをする方の中に分母は少ないだろうが、四大出の方ももちろんいる。

身も蓋もないが、結局自身でどれだけ努力して行動したか?で左右される。
就業後のちょっとした一杯や、ベッドの上での漫画タイムを削ってどれだけデザインをしていくか。
不利というのは不可能という意味ではけっしてなく、何倍も頑張らないといけないよという意味に言い換えられるはず。

何事も表裏一体というか。有利なこともあるやもしれない。

四大という時間だけはたくさんある学校(偏見)にいるからこそ、有効に活用したい。私は海外をぶらぶらしてみたり、ベンチャー企業でのインターンを2年弱やってみたりした。

そのインターンでの経験が、今とても生かされている。

「まずは電話応答ね。マニュアルみながらやってみて。」
いきなりですか…電話は苦手なんだけどな…
「CVRを改善したいならどこに着目してPDCA回したほうが良いと考える?」
え…まず何をおっしゃって…
「どうやってタスク整理している?trelloとか試してみたら?」
やってみる
「『ご調“節”いただけますか?』はNG。『ご調“整”いただけますか?』が正解。」
メールひとつでもこんなに神経つかうのね…
「どうやって提携してもらえるか。向こうにとってうち(インターン先)と組むことで得られるメリットを伝えないと。だけどもちろん、こちらの要望も通すこと。」
ハードル高ッ

ベンチャー企業だったからか、それともその会社がそういう風潮だったのか、なんでも「やりたい」と言ったことには挑戦させてくれた。
いや、何も分からないことでも否応なしに「はい、おねがいね〜3分考えて分からないことは聞いてね〜」といった具合だった。10分だったけか。

無茶振りが飛び交うインターン生活のなかで、いわゆるビジネススキルが培われたのか、現在いわゆるディレクターのような動き方もやらせてもらえている。
直接クライアントさまの要望を聞き、デザインに落とし込んでいき、実装者さんに伝える。
こういった、独立した際にも必然的に求められるスキル部分については、やはり実務経験しかないだろうと思う。
時間的猶予の大きい四大生は活用して自身の土台として積み上げていくことで、いつかどこかで自分自身の力になるはず。

とはいえ、やはりデザイナー。

もっとも求められるのはデザイン力。デザイナーですから。
美大あるいは独学で培うデザイン力を7とした場合、実務経験で得られるビジネススキルが必要な場面は3ほどなのではないだろうか。

「四大からだと不利なんじゃないの?」

うん、やはりそうだと思う。

終わりのどんでんがえし

コミュニケーションはやや難ありだが、デザインが素晴らしい人
コミュニケーションは円滑にできるが、デザインがいまいちな人

どちらにお金を割いてデザイン依頼したいだろうか。
多くのひとは、コミュニケーションが円滑にできて、かつデザインが素晴らしい人を選ぶ。
そういう理由(わけ)で、不利な状況なぞ知らぬ顔し、足りない時間と努力、ときおりお金で解決しながらデザイン力を積み重ね、そんな評価軸はふっとばしてしまおうと思う。

「四大からだと不利なんじゃないの?」

最適解 : たしかに不利だが、すべては自分次第✊✊


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本名(HUSMA / デザイナー)

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