そんな自分が好きならええねん。

#2 『ええねん』-ウルフルズ
 病院帰りに寄ったマツモトキヨシでこの曲が流れていた。タイトルの通り「ええねん」という言葉を多用する曲なのだが、こんなにも聞いているだけで自分のことを受容してくれる曲があるのだろうかとフッと笑ってしまった。

*どうして大人になると自己肯定力が弱くなるのか
 もしかしたらこれを読んでいる人の中には、自己肯定力が強い人もいるかもしれない。そんな人は回れ右してほしい。子供の頃は大人が見ている前でも歌ったり、踊ったり、馬鹿なことをたくさんしていた。失敗なんて恐れずに。他人の前で泣いて駄々をこねることも出来た。自分が決めたことの一番の味方は「自分」だった。

でも大きくなるにつれて私たちは自分が一番であることを、ひっそりと心の中にしまうようになった。空気をいかに読むか、周りの目を気にし、自分の決定に自信すら持てなくなっていく。怒られないように、目立たないように、周りに合わせて臨機応変に。器用になったものだ。

社会人になった1年目で上司に言われた言葉がある。
「自分が中心に世界が回っているとでも思っているのか。」と。
確かに会社では、周りと協働することが大切だ。だからあまりにも皆と違う意見を主張するのは、士気を下げてしまう。そんなこと分かっていた。
どんな新人だって、怒られたくない。
どのよう動くのがなるべく上司に怒られないのかを誰だって考えるはずだ。

行きたくもない飲み会の準備をし、
愛想笑いで上司の冗談を流し、
もう手一杯なのに増やされる仕事を笑って請け負い、
もう体力的にも仕事の量的にも稼働できないと言うと、
「出来ない理由ばっかり探すな」と言われ謝る。

怒られる日々は続いたけど、自分の中で最大限上司や周りの人たちの迷惑にならないように頑張っていたつもりだった。
それでも一つ「これは苦手、嫌いだな」というのをぽろっと言ってしまった。これは自分中心に世界が回っている人の考えならしい。
悔しくて涙が出た。
苦手でも嫌いでも仕事なのだから、やらないなんて言ってないのに。
いろんな気持ちを毎日必死に押し殺して、押し殺して、笑って。

その時気づいた。
「あ、今の自分本当に嫌いだ」って。

自分が好きなことを好きと言えず、びくびくしながら過ごす日々。
友達と会ってもお互い会社の愚痴ばかり。
何時からこんなにも我慢ばかりして、自分の意見を何度殺してきたんだろう。自分の味方は自分じゃなくなっていた。
自分を肯定してあげられなくなっていた。

周囲に合わせることばかりが大人じゃないよ。
大人だって好きなことは好きって言いたいし、無敵になりたい時もある。
自分をもう少し大切にしてもいいと思うんだ。

"
情けなくても ええねん
叫んでみれば ええねん
にがい涙も ええねん
ポロリこぼれて ええねん
ちょっと休めば ええねん
フッと笑えば ええねん
それでええねん それでええねん
"