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じぶんにとっての理想の図書館を考えてみる

自宅から比較的アクセスの良い中央図書館が、数年後に移転されることになった。
週に何度も立ち寄り、我が家の本棚がわりに利用していただけに、図書館がなくなってしまうのはなんとも寂しい。

同時に、本好き、図書館好きのわたしにとって、少し利便性がダウンしようとも、新しくなった図書館に通えることは楽しみでもある。

ラッキーなことに、わが市の市役所は良心的で、お金や時間を使って、市民のニーズを把握・反映してくれようとしている。
今月には新しい図書館づくりのためのインタビューやワークショップもすでに企画されていて、今後も同様の機会が設けられる可能性がある。

いつ、どんな形で意見を求められても即答できるように、自分にとっての理想の図書館について考えをまとめておこうと思う。


新図書館についてわかっている情報(2023年11月現在)

工事:2024〜2028年(予定)
移転終了時期:202✖︎年
規模:現在の中央図書館と同程度
予算:37億円(第5次計画の超概算)

市役所周辺の再開発エリアに建設され、近くには商業施設や病院もあって、ゆくゆくは文化ホールも移転されてくるとのこと。
現在は、普通列車しか停まらない駅より徒歩10分という立地。大きな駅に隣接した土地に移転することでかなりアクセスが改善して、利用者増が見込めそうだ。

じぶんにとっての理想的な図書館

わたしが求める新図書館像は、「市民が誇りに思える、市民に愛される図書館⭐️」だ。これを実現するための条件を3つ考えてみた。

その土地らしさが感じられる

全国で注目されている図書館を調べると、全国展開している本屋がプロデュースするカフェの併設や物販が行われている、海外の有名図書館のように本が整然と並んでいるといった傾向がある。
確かに人気は出る理由はわかるけど、もっと地域の特色を感じられる場所である方が個人的には好きだ。

ちょっと話はずれるかもしれないけど、国内外どこへ行っても、マクドナルド、スタバ、ユニクロ…みたいに同じ店が並ぶ風景にしか出会えないと、面白みがない。わざわざその土地までやってきた感ゼロなのが、ずっと気になっていた。

たとえば、洋風レンガの酒蔵風の建物にする、名産の和紙を多用している、西宮の名店(ツマガリ、エルベラン、ミシェルバッハ…etc)の洋菓子とともにスペシャルティコーヒー(ゆげ焙煎所、TAOCA)が味わえる、阪神・甲子園グッズが買える?、など西宮らしさを全面に出して、市民がローカル愛を感じられ、市外や他府県の人にも「西宮って魅力的」と思ってもらえるような図書館になったらうれしい。

名前に愛称がある

民間の図書館ではないので、正式名称は「西宮中央図書館」となるものの、かわいらしい愛称があると親しみがわくかもしれない。
ちなみに、全国で人気上位の図書館の名前をしらべてみたら、「雲の上の図書館」「みんなの森」「みるる」があった。自然界にあるものを含み、ひらがなを使用した名前だと、やわらかくやさしい印象を与えてくれる。
図書館に苦手感がある人でも、なんだか一度くらい足を運んでみようかなと思わせるような愛称を、(ベタだけど)市民に公募してもよいかもしれない。

さまざまな世代が楽しめる設備やしかけがある

来年小学生になる息子をもつわたしの目線で考えると、わたしより少し下の年代の方にとって、今足りていないかもと思う設備は、小上がりのキッズスペース、ベビールーム。芝生の庭と遊具もあって、乳幼児を遊ばせたり、ヨガのレッスンが受けられたりしたら楽しいかも。

息子が小学生になった時にあったらいいなと思う設備は、フリーのレンタルイベントスペース、調理室、こども食堂など(館内ではなく併設でもOK)。料理教室や子供向けイベントに参加して、そのまま図書館で本や漫画を読んで半日〜1日過ごしてくれるとありがたいなと思ったりする。

自分が利用するとして必要な設備は、ちょっと疲れたときやゆっくり本を読みたい時に座れる大小さまざなイスやソファ、自習室の個人用デスク(コンセント付き)&wifi。ちょっとしたイーティングスペースもほしい。

わたしがつねづね思うのは、本の分類はもっと自由がいいということ。「食べ物」「宇宙」とかざっくりしたキーワードで、絵本も小説も写真集も同じ場所においてほしい。子どもが大人の本にふれることでクリエイティビティを刺激されたり、大人が子どもの頃に読んだ本に思わず再会したりといった、新たなドラマが生まれそうだから。

司書の仕事をほとんど理解していないわたしがいうのは失礼だけど、本の貸し借り、予約本の受け取りはすべて機械化してほしい。その分、図書館のスタッフさんは、本のコンシェルジュや、イベントの企画・運営など人間にしかできない業務を中心に行なってもらえるとうれしい。当然、AIと協力しながらになるとは思うけど、人と人との交流のきっかけを作ってもらえたらありがたいな。

増やしてほしい本のジャンル

わたし自身、子どもの本以外は、Kindleで読むことが多い。わざわざ手にとって読む価値のある、五感を刺激するようなジャンルの本を希望する。
具体的には、装丁が美しい絵本、写真集、画集、図鑑。重い、仕掛けがある、特殊な紙を使用しているなどの特徴があって、高価だから自分ではなかなか買わない本を置いてもらえるとありがたい。

きくところによると、図書館カードは市民の2割程度しか取得されていないらしい。そのうち定期的に利用している人というと、かなり限られているはず。あくまで個人的な印象とはいえ、図書館の利用者は子育てをしている20〜40代とその子供、60代以上が多い。

子どもは、小学校中学年あたりまでは親や友達と一緒に来ているようだけど、中高生の姿はまずみかけない。館内の自習室は利用するものの、本を借りて帰るケースはほとんどないように思う。カードは作っていない可能性もある。
余計なお世話かもしれないけど、この世代にもっと活字にふれて、読むことでしか味わえない世界にひたってほしい。最新の漫画や、ライトノベルの蔵書を充実させることで、この世代をひきこめるのではと思う。

読書という個人的な活動で人々がつながれる

実は先日、市が開催する新図書館のインタビューに参加させてもらった。
年齢、性別、バックグラウンド、ふだん読んでいる本のジャンルも異なるメンバーだけど、本好き・図書館好きという共通点があるだけで、お互いに興味がわき、話が盛りあがった。インタビューの時間だけでは足りず、そのあと控え室でコーヒーを飲みながら、情報交換をしたほど。

他の人がどんな本を読んでいるのかを知るのは、ほんとうに興味深い。
その人の性格、好み、どんな人生を送ってきたのかが見えてくる気がして、親近感がわいてくる。
本当によい機会を与えてくださった市役所の方にお礼をいいたい。

ゲームやSNSが普及し、サブスクを利用して家でも映画を見れるなど、今では簡単に娯楽を楽しめる時代になった。
AIやVRの時代に、紙の本を読む作業は超アナログだ。でも決して、オワコンではない。デジタルでは得られない五感への刺激、読書を通じて得られる他人とのつながり。古いものはどんどん消えさっていく時代だけど、本だけはずっと受け継がれていくものだと思う。


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