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「負の性欲」漫画の時代が来たぞ!

 今回、マガジンというものをまとめてみました。
 今まで何度か女流漫画家の作について述べてきましたが、それらnoteはいずれも連作であり、一望するのもひと苦労なので、その目次代わりです。

 さて、これら作品は基本、本人が自覚しようとしまいと「フェミニズム」漫画、「負の性欲」漫画の側面を持っており、あまりにも偏った男性観が基礎になっています。

 また同時に、近年あまりにも度を超えたような漫画が増えてきた、これはある意味で「コアなフェミニズムが一般女性層に浸透してきた」ことの証拠でもありましょう。

 そんなわけでボーナストラックとして(というかカネを取る口実として)以下に読書案内めいたことをしておきたいと思います。

『モテキ』
作者:久保ミツロウ
掲載誌:イブニング
発表期間:2008~2010
メディア展開:ドラマ版、映画版

 十年前、「萌え」全盛の頃に描かれた、オタクへの怨嗟、憎悪の念をただ、垂れ流した漫画、といった感。
 今になって思えば「モテたい、モテたい」とそれだけを考えている女流漫画家が「美女がヘタレ男を振る」という描写を繰り返し、憂さを晴らしているだけとも言え、微笑ましくもあるのだけれども、作者が本作をきっかけに非モテ女性のカリスマと化したといった経緯は、今思い返しても笑うに笑えません。
■久保師匠へのワンポイントアドバイス
「後は『私はバイセクシャルの女流官能漫画家』とでも主張し出せばおぢさんたちにもモテるぞ!」

『3D彼女 リアルガール』
作者:那波マオ
掲載誌:デザート
発表期間:20011~2016
メディア展開:アニメ版、映画版

 本作そのものの問題性を語る……というよりは、『モテキ』との対比をするために持ってきました。
「萌え文化」は女性性を称揚した。メイド服なり何なり、女の子にキレイなおベベを着せてあげた。
 メイド服の似合わない子は泣きながら『モテキ』を描き、そして美人でメイド服を着ても可愛いであろう子は本作を描き、「何か、オタクと言えばメイド服だろう」との担当さんの助言でメイド喫茶回を入れつつも主人公に着せることなく、「可愛いショタキャラ」に着せてはみたものの、腐女子作家とは異なって、それに萌えている様子はない。要するに、徹底して「萌え」に対しての反応が淡泊であった。
 そしてこれ以降は、『トクサツガガガ』のように誰も着せようとしてすらいないメイド服に憎悪を燃やす子が主人公を務める作品がデフォルトとなった。
 めでたしめでたし。
■那波師匠へのワンポイントアドバイス
「きっと“オタクに優しいギャル”とはあなたのことなのでしょう。これからもお互い、適切な距離を取っていきましょうね」

『トクサツガガガ』
作者:丹羽庭
掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
発表期間:2014~2020
メディア展開:ドラマ版

「特撮女子の日常を描く」ことがテーマとなっており、本作で「恋愛」はほぼ描かれません。ところがそれ故にかえって本作では作者の女性としての虚栄心、恋愛や結婚、女性性そのものへの屈折が立ち現れてくることになりました。
 こちらからするとNHKでドラマ化されたという経緯が腹立たしかったのですが、実のところドラマの方はそれなりの節度のある描かれ方をされておりました。
■丹羽師匠へのワンポイントアドバイス
「続編で仲村さんが戦隊メンバーに選ばれるがピンクに変身することを拒否するとか、そういうのを描いてテキトーに誉められててください」

『BEASTARS』
作者: 板垣巴留
掲載誌:週刊少年チャンピオン
発表期間:2016~2020
メディア展開:アニメ版

 本作は言ってみれば「BL」です。
 キャラクターたちに「可愛い動物さん」の皮を被らせてしまったがため、本作においてはただただ女性の節度のないエゴイズムが垂れ流しにされることになりました。この種の作ではありがちですが、男性キャラクターの主観で描かれていることも、そうした節度のなさにブーストをかけることになっています(ただひたすら主人公が女性様へと頭を垂れ続けているという作劇。これ、女性主観だとさすがに描きにくいでしょう)。
 ただ、そうした意味で本作を語ることは、作者が自分では豪快にパンチラしていることに気づいていないのを、こちらがガン見しながら「色気がない」と文句をつけているも同然であり、まあちょっと申し訳なくもあるのですが……。
■板垣師匠へのワンポイントアドバイス
「次回作では動物エロ漫画という誰も得しないものを描いて(本作のハルのような絵ではケモナーも喜びますまい)、週刊誌にマッチポンプで『男どもが血涙を流して悔しがっている』といった記事を書いてもらい、負の性欲を満たせばいいと思うよ」

『ミステリと言う勿れ』
作者:田村由美
掲載誌:月刊フラワーズ
発表期間:2016~継続中
メディア展開:ドラマ版

 詳しくは『Daily WiLL Online』様の記事にて。

 ストーリーとは何ら関係なく、とにもかくにも男への(論理性を全く持たない)罵倒をひたすら続ける主人公。
 支持者は「いや、この主人公はウザがられているわけで、万能型主人公ではない」と反論することが多いのですが、それは「滔々と自説を語ることのウザさ」に突っ込まれているだけであり、論旨を否定されているわけではない。「汚れ仕事は男にさせ、利は自分が持ってく」という「有毒な女性性」が読者には受けているわけですね。
■田村師匠へのワンポイントアドバイス
「今、ミスドで本稿を書いているんですが、本作とのコラボをやっていることに気づき、身体が震え涙が溢れ息子が気持ち悪いと泣き出したので、もうこの国にはいられません」

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