中国語で聴く漢詩・22年6月・『夏夜叹(夏夜嘆)』(唐・杜甫)

はじめに(ポトキャストでは「最後に」)
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気になる方はぜひポットキャストを聴きながらチェックしてくださいね。

みなさん、こんにちは。速攻中国語コーチの氷雅です。
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大家好,我是速成中文老师——冰雅。
欢迎你们收听我的播客。

今日の内容は月一の漢詩です。作品は、杜甫の『夏夜叹(夏の夜に嘆く)』。
杜甫はかの有名な「春望」(国破れて山河あり)で日本のみなさんにもよく知られていますね。今回は「诗(詩の聖人)」とも呼ばれる彼の作品の中、わりかしマイナーな一曲を取り上げます。

令和4年のこの灼熱な夏にぴったりと思います。
ではスタート!

夏夜叹(唐・杜甫)


永日不可暮,炎蒸毒我
安得万里
飘飖吹我裳。
昊天出
月,茂林延疏光。
仲夏苦夜短,开
轩纳微凉。
虚明见纤毫,羽虫亦飞扬。
物情无巨细,自适固其常。
念彼荷戈士,穷年守边疆。
何由一洗濯,执热互相望。
竟夕击刁斗,喧声连万方。
青紫虽被体,不如早还乡。
北城悲笳发,鹳鹤号且翔。
况复烦促倦,激烈思时康。

ちょっと長めな一曲ですね。
こうした場合は、ちょっと邪道ですが、
上曲・中曲・下曲のように、3曲として分けて楽しむのもありです。
実際に、この作品もよく知られているのが上曲の部分でした。

ただし、全体をよくみると、この作品はピッタリ二部に分けています。
前半が夏に対する描写で、後半が辺境の戦士を思う内容。
まあ、国を憂う杜甫らしいですね。

今回は時間のことで、上曲だけを解説して行きますね。
残りの部分は、文字で楽しんでください。
では、逐次解説して行きます。

永日不可暮,炎蒸毒我肠。

真夏の日中は、太陽はながくてりつづけ、なかなか暮れない。
燃えるような暑さで、内臓(腸)まで蒸されるほど毒だった。

永日:真夏の太陽
不可暮:なかなか暮れない
炎:燃えるような暑さ
蒸:蒸される、茹でられる。炎蒸で真夏の蒸し暑さを想像して下さい。
毒我肠:胃腸が痛めつけられて、食欲がないこと

安得万里风,飘飖吹我裳。

遠く遠くから吹いてきて、僕の(服)裾を揺れるほどの涼風は、
どうやって得られるのだろう。

安:どうやって。安得:どうやって得られるのだろう
万里风:風の前に万里をつけ、中国らしい誇張的な表現
飘飖:飘摇のことで、ゆらゆら。
裳:衣装のこと。ただし、下半身のスカート状の「裳(も)」なら、chang(2声)と発音する

昊天出华月,茂林延疏光。

夏の夜空で、月も大きく綺麗に見え、
うっそうと茂った林に、月の光が木々に差し込む。

昊天:大空。または、旧暦5月のことも指す。よって、夏に訳しても結構。
华月:美しい月、华は大きい意味もあるため、大きくて綺麗な月。
茂林:茂っている林
延:伸びている
疏光:光がまばらな状態、まあ、林に差し込むので、まばらになるわね。

仲夏苦夜短,开轩纳微凉。

(ここが肝です。)
真夏の夜が短いことが苦しいことだ。
窓を開けて、少しでも涼しげを部屋に納めよう。

仲夏:夏の二番目の月。旧暦の5、6月。今の7月。
轩:窓
纳:収める
微:微々たる。微涼:ほんのわずかの涼しげ。

以上が上曲の解説、もし上曲ですら難しく感じる場合は、「仲夏苦夜短,开轩纳微凉。」の一句だけでも十分です。

日常で、こんな会話ができます。

A:你会背中国的唐诗吗?
B:会啊。【国破山河在,城春草木深。感泪,恨别鸟惊!】
A:哇!厉害!杜甫的诗啊!还会什么?
B:嗯,现在这么热,【仲夏苦夜短,开轩纳微凉。】正好应景!

应景:季節にふさわしいこと。

中国で詩は暗記するもので、動詞「」を使います。漢詩の最盛期が唐の時代ですから、漢詩は中国語でよく「诗」と呼ばれています。
唐の詩、宋の詞、元の曲。繋がって「・宋・元曲」と言います。
確かに、唐以外のものもありますが、その時は「诗」にして下さい。

今回の詩がかなりマイナーですから、
もし一句でも余裕がない場合、まず「春望」を暗記しましょう。
一曲丸ごとが無理な場合、少なくとも、出だしの「国破山河在」ぐらいは、格好よく言えて下さいね。
以上が今月の一曲(春望も入れて2曲かな)でした。
また来月の「中国語で聴く漢詩」の回を楽しみにして下さいね。

我们下次再见!ではまた次回お会いしましょう!

【残りの解説】

虚明见纤毫,羽虫亦飞扬
暗い中では、よくものが見える。蛍が飛んでて(、また美しい)。
纤毫:細かいもの
羽虫:蛍など夏の虫。

物情无巨,自适固其常。
命には大きいも小さいも無く、ありのままこそが世の常。

念彼荷戈士,年守疆。
そこで、遠くの国境の兵士たちのことを思い出した。
彼らが一年中、国を守る(ため、故郷には帰れない)。
荷戈士:「戍卒」とも云う。辺境の守備の兵
边疆:辺境、国境

何由一洗濯,执热互相望。
こんな暑い日には、きっと風呂も入れず、
ただ暑さを我慢して、お互い見つめ合うだけだろう。

竟夕刁斗,喧声万方。
一晩中「刁斗」を鳴らして、音が連綿として遠くまで響きわたっている。
竟夕:一晩中
刁斗:古代中国の軍隊で、 鍋(なべ)と銅鑼(どら) を兼ねた銅器。昼は食物を煮て、夜は打ち鳴らして警戒するのに用いた。

青紫虽被体,不如早还乡
たとえ出世したとしても、やはり早く故郷に帰ることに越したことがない
青紫:古代中国の官位は服の色でランクが付けられている。最下位の青から、最上位の紫。体に「青紫」が被(かぶ)ることが、官位をもらって、出世したことを指す。

北城悲笳鹳鹤号且翔。
北の地で悲しげなあしぶえの音が吹かれて、
それを聴いたコウノトリも鳴いて、飛んでしまう。
北城:黄河の北の方の土地、戦地。
笳:蘆笛(あしぶえ)のこと。
鹳鹤:コウノトリ

况复促倦,激烈思康。
この不安定なご時世(で気持ちが煩わしい)の上に、この暑さで体もだるくなり、
天下安泰の時の平和を甚だしく乞いたくなる。


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