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本宮大輔という「奇跡の子」を中心に考える八神太一(Vテイマー01)・四ノ宮リナとの関係性〜ブイモンテイマーが抱える「みんなでいる孤独」の本質〜

さて、現在「デジモン」シリーズを中心に批評を進めてきたが、改めてここで私の推しである本宮大輔・八神太一(Vテイマー01)・四ノ宮リナとの関係性を考えてみたい。
というのも、20年ぶりくらいに「Vテイマー」の作者であるやぶのてんや先生が「02 THE BEGINNING」に際してかっこいい大輔のイラストと感想をXに上げてくれていたのだ。

「高石タケルの私小説」という脚色の一切ないやぶのてんや先生が描く本宮大輔とブイモンは男前度が半端ないというか、本当に「THE・少年漫画主人公」という感じである。
というか、あの関弘美がプロデューサーやってるアニメ版の「02」大輔は少女漫画・アニメ風のフィルターがかかり過ぎではあるのですけども……(個人的には関弘美≒高石タケル説を提唱したい(苦笑))
やぶの先生が描いてくれるタイチとのコラボ回は本当にその後のデジモンシリーズの客演にも大きな影響を与えたと思しき神回で、本当に「本宮大輔」という主人公の魅力が全部詰まっていた。
仲間が純粋に心配してくれているのを「否定」としか捉えられずヤケになって暴走しヒカリとタケルの関係をタイチにいじられて嫉妬し、タイチが褒めてくれた大輔の才能すら自信がなくてというのが見ていて辛かった。

まだ一乗寺賢が仲間になっていないけどメンバー全員が一通り通常進化を済ませていたところだから物語としては中盤くらいであろう、けどそこからの立ち直りとパラレルモンを倒すための作戦を一瞬で閃く瞬間最大風速が凄まじい。
仲間たちの想いを集めて生まれた奇跡のデジメンタルを手に入れた瞬間にまずはフレイドラモンを囮にしてパラレルモンに狙わせてアーマー解除によって隙を作り、ゼロマルがVブレスアローでパラレルモンの隙を突く。
そしてマグナモンへアーマー進化させてエクストリームジハードで倒すという流れだが、何が素晴らしいってやぶの先生が大輔を単なるいじられの三枚目で終わらせず、その中に秘めたる聡明さ・賢さを描いてくれたこと。
02後期で一乗寺賢を相手に見せていく神がかったクロンデジゾイドメンタルの一端を垣間見せてくれて、この回でおそらくは迷走が長らく続いた本宮大輔というチート主人公の芯が形成されたと思われる。

んで、「02」→「ディア逆」と続いていくわけだが、更にそのあとにドラマCDで自分がゴーグルを着け始めた真の理由を取り戻し、その後に「夏への扉」でなっちゃんと出会い神メンタルが全開、カリスマリーダー太一とは違う路線を確立した。
因みに大輔ファンならば夏の劇場版「ハリケーン」とドラマCD「夏への扉」は彼のクロンデジゾイドメンタルが濃厚に凝縮された、正に「守りの要」であるマグナモン大輔が見られる神回なので必修科目として履修しておくように
そこからしばらく動きがないのかなと思いきや、何と「クロスウォーズ」の客演回ではマグナモンとインペリアルドラモンを自在に使いこなして戦闘でも太一以上に場を仕切るリーダーっぷりを発揮、カリスマリーダーのお株を奪う
そしてその後もPSP「デジモンアドベンチャー」でマグナモンと共に出張、その後「Re:Digitizeデコード」でも出張し、更に「ラスエボ」「THE BEGINNING」と再び彼の物語が動き始めている。

今こうしてデジモン同士のパラレルワールドの客演が可能となったのも全てはやぶの先生がVテイマーのタイチと02大輔を「パラレルワールド」という形で引き合わせてくれたお陰なのだ。
ただ、同時にこれが本宮大輔とブイモンの過酷な人生を決定づけたともいえ、大輔がパラレルワールドに出張して共演というのをやった第一人者なので「奇跡の軌跡」がとんでもないことに。
現時点で判明している彼の人生をまとめるとこんな感じ。

1999年……お台場霧事件で一家ともどもヴァンデモンの人質にされる(この時にデジタルワールドに選ばれている

2002年……ブイモンと共に選ばれし子供に選ばれ獅子奮迅の大活躍、「Vテイマー」のタイチとも共演(原作02)

2003年……ディア逆・ゴーグルをつけ始めた理由を思い出す(記憶喪失が判明)・夏への扉・「クロスウォーズ」「リデジ」「デジアド」とあっちこっちの並行世界へ出張

2010年……専門学校でラーメン修行の傍ら、デジタルゲートを使ってあちこち出張してることが判明(ラスエボ)

2012年……「はじめての選ばれし子供」の大和田ルイ・ウッコモンとの邂逅と救済(THE BEGINNING)

2027年……ニューヨークで始めたラーメン事業が大成功しメンバー一の金持ちになる(02最終回)

こうなっているわけだが、気になるのは当然2012年から2027年の15年間であり、大輔の息子が一番年上っぽく描かれていたから、最低でも2016年か2017年には結婚して子供作ってなければいけない
ということは「THE BEGINNING」辺りの段階で彼女ができてないとおかしく、大輔は相手の本質を見抜く直感力に優れているので自分の彼女はもう結婚前提の嫁さんを選ぶはずである。
その嫁さん候補が色々いるわけだが、まず大前提として無印組の空・ミミ・ヒカリはまずあり得ないだろう、これはそもそもの冒険のベースからして違いすぎて共有できないから。
特に長らく大輔ファンの間で最有力と思われていた大ヒカは「tri.」のヒカリの暗黒進化と「ラスエボ」「THE BEGINNING」での距離感から見て「仲間以上友達未満」でしかないことが判明したのでフラグ消滅

そう考えると候補としては同じ古代種デジモン、特に「夏への扉」で打ち出された「みんなでいるからひとりぼっち ひとりでいるよりひとりぼっち」というブイモンテイマーの孤独を共有できる人に絞られる。
だからこの時点でブイモンテイマーはVテイマーの八神タイチと「デコード」で初登場の四ノ宮リナに絞られてくるが、矛さんも指摘したようにリナちゃんの女性としての要素をギャグ抜きで向き合えるのは大輔だけだろう。
因みに八神タイチには既にライバルの彩羽ネオの妹・レイというヒロインがいるので固定されており、またタイチとゼロマル自身もその後漫画版「クロスウォーズ」の世界に出張していることが判明している。
こうなるとVテイマーのタイチと02大輔がその後のデジモンシリーズの可能性の扉を開いたことになるのだが、じゃあVテイマーのタイチは何なのかというと野球選手でいう大谷翔平選手みたいな存在ではなかろうか。

アグモンからのバグ進化でブイドラモン系列を引き当てた彼だが、これは決して偶然ではなく必然であり、またデジタルワールドからも真の勇者認定されているので、いわゆる「大樹のご神木」みたいなパワースポットであろう。
自らが動かなくとも自然に人が集まってくるというか、大輔・拓也・遼・太一(アドコロ版)との共演にしたって自らが望んだというよりもデジタルワールドの定めた固定の宿命に従って生きていたら自然と出会えた感じ。
無印やアドコロの八神太一の紋章が「勇気」でありカリスマ性抜群の冷徹なホリエモンタイプの「軍人」だとするなら、Vテイマーのタイチに似合う紋章の個性はおそらく「宿命」、ウォレスの「運命」よりももっと過酷なものだ。
ウォレスの「運命」は自分の選択次第で帰ることができるし分岐も派生するが、Vテイマーのタイチの「宿命」はもう逃れられない固定のものだから、「あなたにはこの道しか歩めません」と最初から決められている

そしてこれこそが最大の違いだが、アニメの太一が最初からカリスマリーダーだったわけではなく物語の中で徐々に基盤を形成してダークマスターズで開花したのに対して、Vテイマーのタイチは最初から完成されていた
テイマーとしての頭脳面も何もかもが出来上がっていて、後はゼロマルと共に古代種が抱える「オーバーライト」の宿命をいかに乗り越えるのか?しかなく、そこを見事に乗り越えてアルフォースブイドラモンへ辿り着く。
だからこそ、Vテイマーのタイチと出会った大輔・拓也・遼は彼と出会うことで自らの「本質」と向き合い、自分が何のために生きるべきなのかというヒントを客演という形で貰っているのではないか。
実際、大輔はタイチと出会い「パラレルワールド」の可能性を知ったからこそ彼自身の中に眠る「奇跡」という個性に気付き、それを後半に向けて開花させていったのだから、逆に言えば「Vテイマー」のあの姿が本来の本宮大輔である

それを踏まえての3人目(秋山遼も含めれば4人目)となるブイモンテイマーの四ノ宮リナはタイチの「宿命」や大輔の「奇跡」とも異なる「デコード(デジモン本来の適性を引き出す能力)」が付与されているのだ。
これは同じくアグモンテイマーのタイガも持ち合わせているものだが、あの「リデジ」の世界で古代種デジモンをパートナーにしているのはリナだけであり、やはり彼女も大輔と同じく「みんなでいるからひとりぼっち」である。
私が本宮大輔が本当の意味で幸せになれる世界線が四ノ宮リナというもう一人のブイモンテイマーと出会い孤独を共有し結婚する以外にあり得ないと考える理由も正にそこにあるのだ。
そしてそんな二人が実は「デコード」で出会っている可能性だってあるわけだから(実際大輔はこっちにも出張している)、そこからリナの物語も始まったのではなかろうか。

実際矛さんや私以外にもdigitalgate02(旧Ni)さんやZero Slash Oneさん、最近ではPatoman000さんら海外のファンが本宮大輔と四ノ宮リナのカップリングを推し始めているのが面白い。
なので、私の中ではもう大人になった大輔とVテイマータイチ、そしてリナの3人のブイモンテイマーで仲良く屋台ラーメンで楽しく食べて語り合っている姿が想像できている。
んで、無印の太一はもう一人の八神タイチに、そして八神ヒカリは四ノ宮リナに大輔を取られたことを嫉妬して一生立ち直れないぐらいに打ちひしがれていると尚良し(笑)

とりあえずタイチ・大輔・リナのブイモンテイマー3人で腕を絡めて馬鹿騒ぎしている絵を是非やぶてん先生に描いて欲しいという願望も込めて、今回の考察を終わりとする。
みんなでいるからこその孤独」という点においてこの3人は共通しているのではないだろうか。

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