父との思い出のゲーム

私と父は結構仲がいい方だと思う。
そりゃあ、家族という近い存在だから嫌な部分もあるけれど、それを差し引いても仲はいい。
昔から関係は悪くないが、私が思春期に差し掛かると父が気を遣ったのかあまり話さなくなった。

その頃父はゲームやパソコンに夢中で、私よりもそっちと向き合っているのが多かったのもある。そんなゲーム好きの父がとあるゲームをプレイし始めたことで、関係がよりよくなった。

そのゲームは

戦国無双

である。


ことの始まりは父が戦国無双を買ってきたことから始まった。
父が買ってきたこのゲームが当時中学生の私をゲームの沼、そして戦国時代への沼へ引き摺り込んだのだ。

父がプレイしているのを見ているととても面白そうだった。
男性キャラだけでなく、女性キャラもいて、自分が日本史で習った武将達が度々出て来る。

なんとなくやってみたいと言ってやらせてもらったのだが、どハマりした。
そしてこのゲームは2人プレイが可能だったのだ。
2人でプレイするうちに会話も生まれ、そして父の歴史に対する知識の多さにも驚いた。

父は戦国時代が好きで、小説もこの時代のものを好んで読んでいたらしい。
何を聞いても答えてくれる父はまるで歩く辞書だ。読み方が分からないモブキャラの読み方まで教えてくれ、そしてそのキャラのざっくりとした説明まで。
戦国時代が好きなら大抵知ってる名前らしいが、当時は何も知らなかった。
やればやるほどキャラクターの魅力や、父の知識の深さに驚かされ気付けば毎日の様にプレイしていた。
学校から帰ってきてはゲーム。
父が帰ってきてからは父とゲーム。

父との思い出はゲームといっても過言ではない。

戦国無双をやり出してから父との会話が一気に増えた。たわいないゲームの話から普段の話まで。普通なら父親と話すのが嫌になるのも多いが、全くそんなことはなかった。

当時はネットも今ほど発達していなかったから、ゲームの攻略本まで買い2人でやり込んだ。
今はYouTubeやネットに攻略サイトが転がっている。時代は進んだな‥。

父と攻略本を見ながら、より強い武器やアイテムを獲得しほぼゲームの攻略が済む頃には家族全員でこの戦国無双をやり込んでいた。
それからは新作が出れば必ず購入。

高校生になっても反抗期が来なかったのも、このおかげかもしれない。
平日の夜や週末は家族で順番にピコピコと、テレビの前でゲームをするのが恒例になっていた。
順番と言いつつほぼ私と父がプレイしていたのだが。
夜中までやっていたせいで2人ともプレイ中に寝落ちしてしまい、自分の操作しているキャラが壁に向かって走り続けたのは良い思い出だ。

それから同じ会社が出している三國志の時代を題材にした三國無双も同じ様に家族でやり込んでいった。
父は三國志の漫画を読んだことがあり、簡単にキャラや時代背景を説明してくれたりした。
これまたキャラクターが多く、家族全員それぞれ推しキャラが出来たりしたのが懐かしい。

父との思い出というか家族の思い出のゲームな気がするが、そこはまあ置いておく。

このゲームを皮切りにアニメや漫画に関しても父と話す様になったり、実際の城の跡を見に行ったりした。ゲームをプレイしていなかったら絶対行かない場所である。
今でも城巡りが好きなのもきっとこのおかげ。

今でも父とはいい関係のままだ。
昔、娘に邪険にされずに話せるのが嬉しいみたい。と母が言っていた。
戦国無双がなければ今のように話すこともなかったかもしれないと思うと、ゲームというか共通の趣味というものは偉大だと思う。

最近は無双シリーズの最新作を追いかけてはいないけれど、久しぶりに買ってやろうかなと思ったりする。
父が操作していたキャラを父より使いこなしてみようか。きっとそれも面白い。



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