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赤ワインの醸造方法

白ワインと赤ワインの製法で一番違うのは、ブドウから絞った果汁で発酵させるのが白ワイン、ブドウを発酵させそれを絞ったものが赤ワインです。
発酵させる工程が違うと理解していただければ大丈夫です。

ブドウ収穫後の作業


畑でブドウを収穫します。
この時に日本の多くのワイナリーでは、畑で、人力で、良い果実、病気の果実、未熟な果実の選果をします。
ぶどうは房の中にたくさんの果実があります。
それをより分けるのです。

醸造所に届いたブドウは、除梗機にかけて梗(こう)を取り除く場合と、全房発酵といわれる梗を取らない場合があります。
醸造家がイメージするワインにするために、梗をどう使うかにより工程が変わります。

除梗する場合でも、除梗と同時に果実を破砕する場合、破砕をできるだけ少なくする場合など、破砕の方法も様々です。

発酵タンクでの工程


醸造家が作りたいワインのイメージに合わせて前処理されたブドウは、発酵タンクに入れられます。

発酵タンクに入れられたブドウは、何もしなくても発酵を始めます。
それは自然界に酵母があり、その酵母(野生酵母)が、ブドウを発酵させるのです。
不思議ですよね。

この酵母についても、研究が進んでおり、野生酵母以外に、培養された酵母がありそれを利用する醸造家もいます。
培養された酵母は、研究により発酵後にどのようなワインになるかある程度わかっています。

ワイン教室の教材では、「醗酵タンクに入れる」と記載されていますが、何日いれるのか?保存温度は何度なのか?などは書かれていないことが多く、ブドウの状態を見て、醸造家が判断をしています。

果皮と果実を含めて発酵させるため、果皮と果汁が発酵により作られる二酸化炭素により、液面まで持ち上げられます。
この塊を果帽と言います。
この果帽の上側は、液体ではなく空気と触れており、空気中の悪い菌と接触する可能性があり、毎日数回、果帽を下に押し込む作業をします(ピジャージュ)。
果帽が液体にふれればいいので、下からワインを抜いて上からそのワインをかける方法なども開発されています。

発酵が完了した後の工程


このように、発酵タンクで発酵が完了すると、発酵した液体を取り出す作業に入ります。
ワイン教室のテキストでは、「圧搾する」と一言でかかれています。
なかなか圧搾の方法までは書かれていないのが実情です。
発酵タンクから圧搾機への移動方法や、圧搾機にも複数あるのですが、ここでは深く触れず後日お話をするとして前に進みます。

圧搾機に発酵タンクの中身を移動すると、圧縮開始前にフリーランと呼ばれるワインを得ることができます。
これを得た後に、圧搾が始まります。
圧搾についても、どのような強さで、何分、どのようなサイクルで行うか、どこまで絞るか、は醸造家の考え方で決まります。
たくさん絞れば、果皮・果実・種から抽出される成分が多くなり、複雑性を増すかもしれません。
一方で雑味が増す可能性があります。

圧搾後の工程


圧搾後の果汁は、再びタンクに戻され、鎮静化後に樽に入れられるものと、樽を使わないものとに分けられます。
ワイン教室のテキストでは「樽」に入れると書かれていることが多いのですが、この樽も何種類もあります。
新樽、1年目の樽、2年目の樽、大きい樽、小さい樽。どの樽を使うかは醸造家にかかっています。


樽に入れられたワインは、蒸発により少しづつ減少します。
ワインが減少すると樽の中のワインが触れる水面の面積が大きくなり酸化リスクが高まるため、ワインを樽の穴ギリギリまで追加します。
これをウィヤージュと呼びます。
ワインの状態、気候次第ではワインが瓶詰めされるまで、ボトル2本ものワインを継ぎ足すことがあります。

瓶への充填


ワインが安定した時点で、樽から瓶へワインを移動します。
移動後に栓をします。最近では、コルク以外にもスクリュー式なども多くなってきました。


栓の話も奥が深いのでまた後日お話をします。