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【短歌一首】 爽やかでなく清々し母の口ぐせ懐かしき葉桜の道

爽やかで
なく清々(すがすが)し
母の口ぐせ懐かしき
葉桜の道

短歌はノスタルジア&季節セラピー。

いよいよ初夏に入りつつある。
初夏の新緑は本当に五感に、体全体にとても気持ちが良い。
若葉の柔らかい緑、葉桜の葉っぱの匂い、葉擦れの音、新緑を抜けて顔や半袖の腕やくるぶしに当たる穏やかな風、全てが心地よい。

青空に葉桜が萌える

前日のどんよりした曇りから一転して快晴に。
子供の頃から、新緑、特に葉桜の季節になるといつも「あ〜、さわやかで気持ちいい〜。」と言っている。 ところが、そうすると亡くなった母がいつも口癖のように「爽やかは秋につかう言葉で、初夏なら清々しい(すがすがしい)というべき。」と言ってきた。
「えっそうなの、別にいいじゃん、そんなのどっちでも。」と小学生や中学生の私は反論していた。

トップに花が微かに

ずっと大人になって、短歌が好きになってから、その点が気になって調べてみると、例えば広辞苑では

広辞苑 「さわやか」(爽やか)
①すがすがしく快いさま。気分のはればれしいさま。爽快。〈【季】秋〉

広辞苑

なに〜、爽やかとは秋の季語になっとるやんけ。でも意味はすがすがしく快いさま、とある。爽やかと清々しいって同じなんじゃないの。
ちなにみ、「すがすがしい」の意味は、

広辞苑 すがすがしい(清清しい)
①さわやかで気持ちがよい。

広辞苑

こりゃ、「さわやか」と「すがすがしい」は、どちらも相手に依存して責任を取るつもりはないってことね。

葉の成長に生命力を感じる

次いで、明鏡辞典も見てみると、

明鏡 「さわやか」(爽やか)
① 気持ちがすっきりして快適であるさま。すがすがしい。爽快だ。
 「朝はきぶんがーーーだ」「ーーーな春の風」

明鏡

なんと、「爽やかな春の風」という例文があるんだから、秋だけではなく春や初夏に使ったっていいってことだろ、っと、もし自分が今中学生なら、間違いなく母に鬼の首でもとったかのように得意げに語り論破を試みるだろう。

窓からの毛虫の侵入に注意

しかし、短歌をやるようになってから、天気予報やニュースでも季節や天候に関する言葉には昔よりもずっと敏感になった。 そうして注意して聞いていると、NHKのアナウンサーは初夏には「さわやか」ではなく、必ず「すがすがしい」と言い、秋には「すがすがしい」ではなく「さわやか」と言っている。(私が見たニュースや天気予報の範囲ですが。)

お袋、ちょっと俺の負けかも・・・・。

川沿いの葉桜
ひったくりに注意の赤と葉桜のコントラスト?

とりあえず、(自分が生きている間になるかもしれないが)当面の間、初夏には「さわやか」ではなく「すがすがしい」と言うことにしよう。
どっちが正しいとかいう話は置いておいて、季節や天候に合わせていろいろな言葉を使い分けるってのは、とても素敵に感じるから。

猫間英介



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