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互いの道がまた交わる日を楽しみに待っている。

2022年4月6日

J1リーグ 第7節 FC東京 vs ヴィッセル神戸

ついにこの日が来ました。
報道では、ケントのJリーグ復帰戦の可能性を報じていて、自分の中で落とし込んだはずの気持ちが、まだ疼き出していました。

※本日は、先日と同じく橋本拳人選手について書いていきます。
彼の移籍に怒りや心が痛んでいる方は、この先の記事は了解頂いた上でお読みください。

白いユニフォームはFC東京のアウェイユニフォームだと信じたかった。

私がいかにケントの移籍にショックを受けたか、そして自分の中でどう落としどころをつけたかは、以下の記事を読んで頂ければと思います。

2018年、私がまたJリーグ観戦を再開し、のめり込むようにはまるきっかけを与えてくれた選手。
だからこそ、FC東京に戻ってきてほしかった。
キックオフ開始2時間前、ヴィッセル神戸戦のスタメンが出た時には、複雑な気持ちでサブメンバーを見ていました。

そして後半13分。
イニエスタと交代で、ヴィッセル神戸の選手としてピッチに立ったケント。
本来なら青赤のユニフォームで出てきてほしかったのに、アウェイ用の白いユニフォームを纏って出てきました。

あの白いユニフォームが、FC東京のアウェイユニだったらよかったのに!

ピッチを走り回る彼の姿が目に入るたびに、強く思いました。

ただボールを刈り取る姿、猛然と走る姿は、FC東京の時に私が惚れたプレーそのまま。
FCロストフの試合はもちろん中継等はないので、彼のプレー姿を見られるのは本当に久しぶりで、悲しい気持ち半分、嬉しい気持ち半分の複雑な気持ちで試合を観続けていました。

勇気を持って、挨拶に来てくれてありがとう。

試合はFC東京の3-1で勝利。
最後の方は、「ケント…」とセンチメンタルな気持ちで戦況を見つめる暇もなく、ダイナミックな試合展開にのめり込んでいて、あっという間に終わってしまってました。
大逆転での勝利。
山下くんの得点が取り消されたのは残念過ぎたけれど、次の試合の楽しみに取っておこう。
(この試合は、山下くんの活躍以外にも書きたいことはたくさんあるんですが、それはまたいつか機会があれば…)

そして気になっていた選手挨拶。
移籍した選手は試合終了後、サポーター席に挨拶に来てくれることが多いのですが、今回はどうなるんだろう…、と内心ドキドキしていました。

正直Twitter上では荒れに荒れていたサポーターも多かったですし(さすがにこれはないだろ…と思う酷いコメントもちらほら…)、きっと彼の元にも誹謗中傷の類は届いていたと思います。
挨拶に来てくれたとしたら、サポーターのヤジは飛ばないだろうか…。
お互い辛い気持ちにならないだろうか…。
でも、挨拶に来てくれなかったとしたら、それはそれで寂しい…。

そんな複雑な思いでいたのですが、

ケントは来てくれました。

挨拶に来てくれて、ありがとう。
俯いて、少し気まずそうな様子(のように見えたけど)のケントが、ゴール裏に来て涙を流す様子を見て、彼は心からこのチームを愛して、そして悩みながらこのチームに戻らない決断をしたんだ、と。
そんなケントを見たら、もう何も責める気持ちすら起きなくなりました。

深い一礼をして、そして謝るように手を合わせたその姿からは、本当に悩んで悩んで悩み抜いて今回の移籍を決めたことを感じさせてくれました。
私の推測の域を出ないのですが、彼はFC東京のことを忘れたこともなかったし、帰れるのであれば、きっとFC東京に帰ってきたんでしょう。
ただ、色々な条件が折り合わなかったのでしょうし、それこそ先日の記事のタイトルにもした「大人には大人の事情」があったのだと思います。
世界情勢がこんなことになっていなければ、そもそも日本に帰ってこなくて良かったですし。

もう十分でした。
彼にFC東京を思う気持ちは十分にあった。
それを知れただけで、私の中で今回の移籍問題は終わりを告げました。

ケント、泣かないでよ。
私まで泣けてきちゃうじゃん!

今はただ、歩む道が違うだけ。

そして今日の挨拶ではっきりと分かったことがありました。

ケントとは、今、別々の道を歩み始めたんだと。

そこに対して悲しい、という気持ちというよりかは、自然とストンと腑に落ちる感覚でした。
ケントが移籍した後、健太トーキョーでは彼の後任を探し続け、そして結局適任アンカーが見つからずに、ダブルボランチのまま健太さんの退任まで来ました。
今思えば、ケントの穴を埋めようとすればするほど、いないはずのケントの存在を強く感じさせる日々でした。

けれど、今季の東京は生まれ変わろうとしています。
筆頭株主が変わり、指向するサッカーも変わり、そして監督も変わった。
新加入選手も入り、期待できる若手も出てきた。
アンカーには今や不動の存在である、青木選手がいる。
ケントがいる神戸戦で、ケント不在でもFC東京のサッカーは地に足を付け前に向かって進んでいることを確かに感じました。

なんでよりによって、このタイミングでヴィッセルとの対戦があるんだよ、と最初は思っていました。
でも、かえってこの時期で良かったのかもしれない。
神戸での試合を何試合も重ねた状況で迎えるよりかは、復帰戦でサポーターと直接会う機会があって良かったと思います。
多くの言葉は交わせないけれど、彼から直接想いを感じることができて、これからの彼の旅路を後押しする気持ちになりました。

彼のFC東京への愛を確かに感じ、そして今は共に歩むべき時期ではないんだと、お互いにその気持ちを確かめ合うために、彼の挨拶は必要な儀式だったのではないかと、今は思います。

今は違う道でお互い頑張るけど、またいつか、いつか絶対に道が交わるときが来る。

その時まで、選手として、クラブとして、サポーターとして、それぞれがもっともっと大きくなってまた会いたいと思いました。
心から応援しています。
神戸戦のケントは、私が好きなケントでした。

今はもう、一点の曇りもなく彼に言えます。


無事で良かった!頑張れ拳人!



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