チーミング

トップ研究者:Amy Edmondson

Ted talk でAmy Edmondson のビデオがあったので視聴。彼女はHarvard Business School を教鞭をとる世界を代表する研究者の一人であり、トップジャーナルに論文を出すだけでなく、書籍も多数出版している素晴らしい研究者である。

彼女の最も大きな研究業績は、おそらく psychological safety という概念を明確化し、理論化したことだろう。2019年3月25日時点において、Web of Science で彼女の代表的な論文 (Edmondson, 1999) を調べると、被引用件数が2,503件となっている。

これは個人的な基準だけれども、被引用件数が100件あると、その論文は影響力があると思っている。少なくとも、被引用件数が1000件を超えるような論文はなかなかお目にかかれないと言ってよい。逆に、1000件を超えるような論文はその分野において読むのが必須レベルのものでもある。

経営学で言えば、Burney の 1991年のResouce Based View に関する論文や、Teece の1997年に発表したDynamic Capability に関する論文が代表例である。

そんな彼女のTed Talk のテーマはチームについてであった。

現代における働き方の一つ:Teaming

チームは組織行動論において研究されている重要なトピックである。多くのビジネスの現場で、個人で仕事をすることは少ないだろう。むしろ、人々と協働する、すなわちチームとして仕事をすることが多いのではないか。

スポーツチームを考えてみてほしい。多くのスポーツはチームで活動しているし、個人競技であっても監督、コーチ、その他さまざまな人が一人の選手を支えているのが分かる。

彼女は長年、病院を研究対象としてこのチームについて分析してきた。病院もまたドクター、ナース、セラピストなど様々な人が異なる患者に対してチームで対処する職場である。しかも、そのチームは毎回患者ごとに違ったりする。ここが病院でのチームとスポーツチームの大きな違いである。

すなわち、スポーツチームの場合、メンバーが概ね固定されるのに対し、実際の仕事の現場(例えば病院やプロジェクトベースの仕事)はメンバーが毎回異なっている。彼女はこのような状況によってメンバーが変わるチームワークのことをteaming と呼んでいる。

Teaming を成功させる秘訣

毎回メンバーが異なるような状況でタスクをうまくこなすためにはどうすればよいのか。彼女はリーダーの重要性をまず主張する。すなわち、その状況を解決する明確な回答が分からないことを自覚しているリーダーが、あらゆる階層で存在している必要があると述べている。すなわち、どうしたらよいのかわからないことを自覚しているリーダーが様々な階層で存在していることである。彼女はこれを、「状況に応じた謙虚さ (Situational Humility)」と呼んでいる。

二つ目に「好奇心 (Curiosity)」にあふれたメンバーがいることである。例えば、こうしたらよいんじゃないのか、など、様々なアイディアを出してくれるのはまさに好奇心旺盛なメンバーがいるからだと言える。

最後に、状況に応じた謙虚さと好奇心あるメンバーの存在によって、「心理的な安心感 (Psychological Safety)」が生み出されるという。この安心感は、人を思い切った行動に移すうえで重要な役割を果たす。

例えば、他の研究では、心理的な安心感は人々が意見を言いやすくするために必要であることが明らかになっている。彼女は、心理的な安心感があれば、人に助けを求めたりしやすくなるという。

Teaming が行われる状況ではメンバーがお互いのことをよく理解できていない場合や、職種が違って異なる価値観や考え方を持っていることが多々ある。このような場合、チームとして力を発揮するためには、謙虚さを持ちつつ、好奇心の旺盛なメンバーによっていろいろなアイディアを出し合い、実行してみることが成功の秘訣と言えるだろう。

https://www.ted.com/talks/amy_edmondson_how_to_turn_a_group_of_strangers_into_a_team?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshare

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