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吉田大八 騙し絵の牙

『桐島、部活やめるってよ』から欠かさず観ている吉田大八作品。『美しい星』や『羊の木』とここ最近は実験的で難解なものが続いていたが、今作は桐島の頃のようなエンタメ作品に回帰していて素直に楽しめた。

この作品は不況で岐路に立たされている出版業界の中で、主役の大泉洋に振り回されながらも自分を貫き奮闘する松岡茉優の成長の記録だ。過去の地位や名誉に左右されず、今心の底から面白いかどうかのモノサシをちゃんと持っている両者。最後は大泉と同じ土俵に立ち壮絶なバトルが始まりそうなところで終わる。2人の演技は魅力的で特に松岡茉優は圧巻だった。

勝手にふるえてろ、万引き家族、蜜蜂と遠雷などの話題作に出演し着実に進化を遂げている。攻めと引きの演技に無駄がなく、コメディアンヌとしての間の取り方など松岡だけでもこの作品を見る価値がある。逆に彼女ではなく違う女優だったらどうなっていたかゾッとするぐらい作品に決定力を与えている。そういえば桐島にも出演し良い味を出していた。

そして是枝裕和が監督するNetflixのドラマにも出演するという情報をキャッチした。
そう松岡茉優は欠かさずに。