見出し画像

すべてしっくりこない | 2024/01/31

言葉を紡ぎながら表現をする仕事に、軸足の半分を置いている最近。

産み出している最中は、自分の中で湧き上がる思いと向き合っているように思う。むしろ、湧き上がらせるように日々、いろんな言葉を探す。

でも言葉がうまく出ない。どれもこれもしっくりこない。このゾーンに入ってしまったら本当に苦しい。とても苦しい。(いまがそれ)

言葉を紡ごうとすればするほど、祈り、答えのない旅に出ているような感覚になる。良いことなのか、悪いことなのか。

私は、子どもの横にしゃがんで、子どもの背中をさすり「辛かったよね」「そうだよね」と、生活のなかで感情の共有を行う存在ではない。“そんな私が”言葉を紡いでいいのだろうか。と、私は揺れ続けている。

そんな最中に言葉を紡ぎ出そうとするものだから、いろんなことをシンプルに考えられなくなっている。

もう一度情景を思い描き、丁寧に言葉を紡ぐ作業をしなければ。もっと思い出して、感じなくてはならない。

積み上げて、積み上げて、積み上げきったその時、ふっと抜けた瞬間に言葉って降りてくるものだから、変に焦っていない自分もいるのだけど。

でも、あんまりにもしっくり来てなさすぎて、ちょっと危機感がある。

気づけばもう、1月が終わっちゃう。この前「本年もどうぞよろしくお願いします」って言っていたのに。

東大入学式で、上野千鶴子さんがスピーチした祝辞。23歳の時に出会った言葉。いまでも大切にしてる。大事にしたい言葉は自分でも書いて身体にも染み込ませる。

 あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。
あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

 あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

平成31年度東京大学学部入学式 祝辞

いただいたサポートは心の栄養のために、大切に使わせていただきます…!