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表参道にて | 500文字のエッセイ

この街は綺麗だ。汚いものや醜いものが極限まで排除されて、綺麗に上澄みの部分だけが映し出されているようだ。

でも生きることや暮らすことはこんなに綺麗なものなのだろうか。食えば排泄をするし、生産には廃棄がともなう。そしていづれ、死に向かう。

光には影の部分があるように、生には負、綺麗には醜さがつきまとう。

でも、この街にはいつまでも夜は来ないし、醜さがあらわれてくることもない。だからこの街は綺麗だ。それでいてどこまでも空虚だ。

影を消したくば光を消さねばならぬように、
影を否定するということは、光を否定するということだ。

であるならば、生きる上での醜さを否定するということは、生きることそのものを否定するということなのではないだろうか。

ぼくたちの影はどこへ行ったのか。満たそうとすればするほど、次第に空虚になってゆく街を歩いて、影の所在を探している。

今日の文字数:375文字

#日記 #表参道 #存在 #自分 #街 #生きる

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