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Boosting Sales Strategies / 顧客に売り上げを上げてくれと言われたら


はじめに

みなさん、こんにちは。
いつもIBM UX Communityをご覧いただきありがとうございます。

IBM UX CommunityのUXデザイナー、前壮一郎です。
現在、IBMの新しく立ち上がった部門ICE( IBM Client Engineering )でUXデザイナーをしています。

この記事では、過去数世紀にわたって、顧客からの声にビジネスマンは様々な試練や挑戦に立ち向かってきたのではないでしょうか。少し大袈裟ですが、その歴史の中で、我々は失敗と成功、困難と希望を織り交ぜながら進んできました。

本記事の題となる「売り上げを上げてくれ」このシンプルかつインパクトのある言葉は、デザイナーの視点からもアプローチできる要素が多く含まれているのではないかと思います。

本記事を通じて、売り上げ向上のための新たなアプローチを模索するきっかけとなれば、大変光栄です。

今回取り上げるテーマについて

売り上げを上げるにはいくつかの方法があると思います。
以下は、ビジネスや商品の種類に関わらず、一般的なアプローチとしてあげます。

  1. ターゲット市場の理解と顧客ニーズの把握
    まず第一に、ターゲット市場を詳しく理解し、顧客のニーズや要望を明確に把握することが重要です。顧客が何を求めているのかを理解し、そのニーズに合わせた製品やサービスを提供することで、売り上げを向上させることができます。

  2. 優れた製品やサービスの提供
    品質の高い製品や価値のあるサービスを提供することは、顧客の信頼を獲得し、リピーターを増やす重要な要素です。顧客が満足する製品やサービスを提供することで口コミが広がり、新たな顧客を引き寄せることができます。

  3. マーケティング戦略の最適化
    効果的なマーケティング戦略を構築しましょう。デジタルマーケティング、ソーシャルメディア、コンテンツマーケティングなどの方法を組み合わせて、広告やプロモーションを行います。ターゲット市場に合ったアプローチを取り、顧客に訴求するメッセージを工夫しましょう。

  4. 顧客体験の向上
    顧客が購買からアフターサービスまで、快適な体験を得られるよう努めましょう。良い顧客体験はリピーターを生み出すだけでなく、口コミを通じて新たな顧客を呼び込む要因にもなります。

  5. 価格戦略の見直し
    価格設定は売り上げに大きな影響を与えます。競合相場を調査し、適切な価格設定を行いましょう。時にはセールや割引キャンペーンを活用して新たな顧客を引き寄せることも検討してください。

  6. 新たな販路の開拓
    新しい販路やパートナーシップを見つけることで、新たな顧客層にアプローチするチャンスを得ることができます。オンライン販売や卸売業者との提携などを検討してみましょう。

  7. フィードバックの収集と改善
    顧客からのフィードバックを真摯に受け止め、製品やサービスの改善に活かすことが大切です。顧客の声を聞き、問題点を解決することで顧客満足度を向上させ、長期的な成功につなげましょう。

などなど、、、これらの戦略は単体で効果的な場合もありますが、複数の要素を組み合わせて総合的なアプローチを取ることが、売り上げを上げるためには重要です。状況や市場環境に合わせてカスタマイズした戦略を展開し、持続可能な成長を目指す必要があります。
では、実際の現場ではどうなっているのでしょうか。

これまでのユーザーエクスペリエンス

これまでのユーザーエクスペリエンス
これまでのユーザーエクスペリエンス イメージ

上の図のように、
戦略的なビジネス成長を追求するための3つのステップ:How、What、Who?

  1. まずHowから検討が始まり事業部の予算どりが始まる

  2. それによりどんなシステムが必要だろうという思考に偏りがちになってしまう(原因として部門連携がうまくいっていないのも大きい)

  3. Whoに思考が行くつく頃には経験とかんで進めてしまう

本来のユーザーエクスペリエンス

本来のユーザーエクスペリエンス
本来のユーザーエクスペリエンス イメージ

上の図のように、
戦略的にビジネス成長を追求するための3つのステップ:Who、What、How
これだよね

  1. だれに(ターゲット)から始める理由
    ユーザーエクスペリエンスは、ユーザーのニーズや要求を満たすことが目的です。ユーザーに何が必要で、どのような課題や望みを持っているかを理解することなしに、検討が進められても、最終的な結果はユーザーの期待に応えられないものになる可能性が高いです。

  2. 何を(コンセプト)への着眼
    ユーザーのニーズを把握した後に、どのようなコンテンツや機能が提供されるべきかコンセプトを決定します。ユーザーが求める価値を提供することなしに、どのように実装するかを考えても、ユーザーが求めるエクスペリエンスを提供できない可能性があります。

  3. どこに(Channel)の重要性
    ユーザーのニーズと提供するコンテンツが明確になった後に、それをどのようなChannelでどのように配置し、どのようにデザインするかを検討します。デザインやレイアウトの決定を、ユーザーのニーズや提供コンテンツなしに行うと、意味のあるユーザーエクスペリエンスを提供することは難しいです。

この順序を逆にすると、ユーザーエクスペリエンスがユーザー中心のものではなくなり、むしろ機能やデザイン中心のものになる可能性が高くなります。ユーザーのニーズや要求を無視することで、ユーザーが実際に求める体験を提供することができなくなります。したがって、正しい順序を尊重してユーザーエクスペリエンスを検討することが重要となります。

顧客の定義:だれに(ターゲット)は誰?

顧客ピラミッド(Customer Pyramid)は、ビジネスやマーケティングのコンセプトの一つであり、顧客のセグメンテーションと重要性に関連しています。この概念は、顧客の行動や価値に基づいて、顧客を階層化し、異なるレベルの顧客セグメントを表現するために使用されます。

顧客ピラミッド イメージ
顧客ピラミッド(Customer Pyramid) イメージ

上の図のように、
このピラミッドのコンセプトを理解することで、ビジネスは異なる顧客層に対して適切な戦略を展開し、収益を最大化することができるようになります。現状リーチしているユーザー層、今後リーチしたいユーザー層を見極めそれぞれの顧客セグメントに合わせた施策を展開することが重要です。

売上拡大のロジックツリーはシンプル

では、だれに(ターゲット)を決める上で先に記載した「今回取り上げるテーマについて」が戦略だとすると、売上拡大の戦術をもう少しシンプルに考えてみたいと思います。実務として具体化していくといったイメージです。

売上拡大のロジックツリー イメージ
売上拡大のロジックツリー イメージ

上の図のように、なります。

現在リーチしているユーザー層 イメージ
現在リーチしているユーザー層 イメージ

この中でも上の図のパープル色部分の現在リーチしているユーザー層について今回は触れてみたいと思います。

現在リーチしているユーザー層へアプローチする理由

現在リーチしているユーザー層へアプローチする重要な理由がいくつかあります。以下にいくつかの主な理由を示します。

  1. 顧客維持とロイヤルティの強化
    現在リーチしているユーザー層は、すでにあなたの商品やサービスに満足している可能性が高いです。彼らを大切にし、継続的な関係を築くことで、顧客のロイヤルティを高めることができます。また、顧客が他社に流れるリスクを軽減することもできます。

  2. リピートビジネスの促進
    現在リーチしているユーザー層に対するアプローチは、彼らに新たな商品やサービスを提供し、リピート購入を促進する機会となります。これにより、売上を増加したり、収益を増やすことができます。

  3. アップセルとクロスセルの機会
    現在リーチしているユーザー層は、すでにあなたの商品やサービスに興味を持っているため、関連する商品やサービスへのアップセルやクロスセルの機会があります。これにより、単一のトランザクションでの収益を増やすことができます。

  4. フィードバックと改善の機会
    現在リーチしているユーザー層からのフィードバックを得ることで、製品やサービスの改善点や問題点を特定しやすくなります。顧客の声を聞きながら進化させることで、より良い品質を提供することができます。

  5. 口コミと評判の構築
    満足した現在リーチしているユーザー層は、他の人にあなたのビジネスを推薦する可能性が高いです。良好な口コミと評判を築くために、顧客との関係を大切にすることは重要です。

  6. 顧客のニーズと傾向の把握
    現在リーチしているユーザー層との長期的な関係を築くことで、彼らのニーズや購買傾向をより深く理解できるようになります。これにより、市場への適切な対応や新しい戦略の立案が可能になります。

ロイヤルカスタマーの創出と「カスタマーエクスペリエンス」の重要性
出典:ロイヤルカスタマーの創出と「カスタマーエクスペリエンス」の重要性

上の図のように、新規顧客獲得には非常にコストがかかります。

進め方イメージ

進め方 イメージ
進め方 イメージ

上の図のように現状リーチしているユーザー層から今後リーチしたいユーザー層へ2段階のStepに分けてアプローチをすることが望まれます。

繋がり続ける仕組みを構築し現在リーチしているユーザー層をどのように見つけるか

繋がり続ける仕組み イメージ
繋がり続ける仕組み イメージ

上の図のように

  1. 様々な顧客接点
    複数の顧客接点を活用し、幅広い高頻度の接点からデータを収集し、戦略的なアプローチを実現します。

  2. 情報可視化
    顧客のライフスタイルと行動を的確に捉え、深い理解を得ることで、より効果的なアプローチを実現します。

  3. CX最大化
    個々の顧客に合わせたカスタマイズされた提案を提供し、最適な価値を提供します。

「ファンの愛」を科学するファンマーケティングの方法論
参考:「ファンの愛」を科学するファンマーケティングの方法論

上の図のように私の業務経験で見つけるはできている顧客は多い印象がありますが、育むのステップにいる顧客は少ない印象があります。

顧客の解像度を高めることからはじめる

顧客の解像度を高めるためには、

  1. データ分析の活用
    顧客に関する詳細なデータを収集し、分析します。購買履歴、行動パターン、好みなどのデータを解析することで、顧客の嗜好やニーズを深く理解することができます。

  2. 顧客セグメンテーション
    顧客を異なるセグメントに分けることで、より細かな特性を把握しやすくなります。顧客の共通点や異なるニーズを特定し、それぞれのセグメントに合わせたアプローチを検討します。

  3. 顧客インタビューやアンケート
    直接顧客に対話し、彼らの意見やフィードバックを聞くことで、より深い洞察を得ることができます。定期的なインタビューやアンケートを実施して、顧客の声を収集します。

  4. ソーシャルメディア監視
    ソーシャルメディアの投稿やコメントをモニタリングすることで、顧客の感情や反応を把握できます。これにより、リアルタイムでの顧客の状況や要望を把握しやすくなります。

  5. 行動分析と予測モデリング
    顧客の過去の行動を分析し、将来の行動を予測するモデルを構築します。これにより、顧客のニーズや傾向を把握し、適切なタイミングでアプローチできるようになります。

  6. パーソナライゼーション
    顧客に対して個別に合わせた提案やコンテンツを提供することで、顧客の興味を引き、関心を高めることができます。データに基づいたパーソナライズドなアプローチを取り入れます。

  7. 継続的な学習と改善
    顧客の解像度を向上させるためには、常に新しい情報を収集し、アプローチを改善していく姿勢が重要です。顧客の変化するニーズやトレンドに敏感に対応し続けます。

これらの方法を組み合わせることで、顧客の解像度を高め、より効果的なアプローチを実現することができます。

顧客に売り上げを上げてくれと言われたら

「顧客に売り上げを上げてくれと言われたら」売上を増やすため、顧客獲得の効率を向上させる戦略を展開します。
以下は、他社でもデータ活用を実施し顧客の解像度を上げ、売り上げを向上する施策なのではないかと思いますので参考として載せさせて頂きました。

1.顧客体験(CX)の向上
 より正確な”個客”最適化
 チャネルを横断した、統一された顧客サービス
 感動の瞬間をつくる
 既存顧客への特別な体験の提供

2.最新のデータで顧客とのエンゲージメントを強化する
 最新のデータをいつも利用し最も意味のある瞬間に合わせた顧客体験を提供(リアルタイム性)

3.クロスセルとアップセル
 顧客の購入パターンをよりよく理解することで、フォローアップメッセージを自動化してリピート販売を促すためのルールを作成
 ルールを設定し、その結果に基づいて最適化し学習していくことでモデルはより正確になり、予測はより確実になり、顧客体験を最適化し続ける

4.新商品・新サービスの発売
 市場調査データを扱うことで、カスタマージャーニーを理解すると同時に、市場では満たされていない顧客の真に求めていることを明らかにすることができます。つまり、次の製品やサービスを提供する際の対象者が決まっている、というデータドリブンな研究開発が可能

参考:施策の実行と顧客体験の向上

さいごに

顧客に売り上げを上げてくれと言われたらという壮大なテーマについて記載してみました。
私はCRM関連のUXデザイナーとしての経験を通じて、このテーマについて深く考える機会がありました。この経験から、ビジネスサイドだけでなくデザイナーとしても、顧客関係管理の重要性に気付きました。このテーマに関する情報は、既にご存知の方もいるかもしれませんが、私の経験から得た視点や知見をまとめてみました。これは、今後ますます増すであろうこのテーマの重要性を、デザインの観点からも考える一助となることを願っています。
最後まで記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。

※当アカウントで発信する情報は会社を代表してのコメントではありません。

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ビジネスとカーボンデザインシステムについてデザイナーが考えた
IBM UX Designer 紹介 #2「前」