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【鉄日】24/02/09. マンガの神様崩御の日


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マンガの神様・手塚治虫の命日(1989年2月9日没)
献杯death、もう呑み始めてしまいましたよ。
こないだ書いた【映観】「クレオパトラ」の後、前作「千夜一夜物語(1969)」も観ました。
amazonプライムでは、あの実験アニメのシリーズもあるのでゆっくり観たいと思います。
アニメ化されると、やはり原作マンガと比べてしまいがちなので、ここは難しいところ。
「千夜一夜物語」の場合、オリジナル作品なので直球、商業的にも成功した映画というコトでもあり、
2時間強で少しダレるのですが、先生も思い通りにやれたのだろう大河ドラマとして完成されてる。
アルディン(シンドバッド)を中心にしたひとつの大きな流れに、それぞれのキャラが乗っかっていって最後まで描かれる。
もう少しアルディンの質が立っていたら(はっきり性格づけされないまま進行してる感じ)もっと面白くなったろうけれど、
青島幸男に恋人役の岸田今日子など役者を起用したことで救われている。他の声優も"劇団・雲"の面々が請け負っていて、とても魅力的だ。監督を山本暎一(その後TV宇宙戦艦ヤマトに参加)に任せたことで、先生の負担が減ったのかもしれない。
とにかく先生はぜんぶをやろうとしてしまうところがあるようなので、分担は必要なことだと思う。
うまく補佐できる人が付いていたら(宮崎駿に対する鈴木敏夫のような存在)もっと商業的なヒットを作ることができたような気がします。
音楽はイカしてて、チャーリー・コーセイですよ、この後ルパン三世への起用となったそうだ。

老骨の思い出に付き合っていただこう。
神様のマンガに初めて出会ったのは小学生の頃、もちろん他のマンガ家と共にあったのだけど、小学時分はいわゆるマンガの虫で狂ったように読んでいた。小学生を過ごした名古屋には、今でいうマンガ喫茶の走りのような店があって、1時間幾許かで図書館のように並んだマンガを読むコトができて、学校が休みになると通っていた。
それで気に入るとお小遣いを叩いて購入する。

「三つ目がとおる」が一番のお気に入りで、当時の超能力ブームに乗っかったような格好で、そこに古代文明が絡むという、たまらない設定、写楽クンはオデコにあるバンソーコーで隠された三つ目がひっぺがされると、先祖返りして悪魔のような能力を発揮する古代人の末裔なのだ。その彼をサポートする和登さん(女子)が大好きで、僕のそこら辺の癖はそこに起源があるんじゃないかと思うくらい。ぜんぜん男まさりで女っぽくないんだけど、妙に艶かしいのです。先生の描く女性のラインは艶かしい。
僕はいまだに三つ目族の先史文明があったコトを信じてる(笑)
琵琶湖の底に蓋があって、そこに遺跡が眠ってるハズだ。

TVアニメ「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」それから特撮「マグマ大使」それらは僕より上の世代の物語だったけれど、何度も再放送された。
小学高学年になると「ブラック・ジャック」だった。
どうもキャプテンハーロックもそうだけど、顔に傷があるアウトローに弱かった。
BJについて語り出したら止まらないので止しておきますが、病についての知識はそこで習得した。
医学用語がドイツ語だということも知った。オペだのクランケだの。
それよりも人間ドラマ、病気を起にしてココロを解き放つ、西洋医学を用いながらも人間の持っている治癒力や、不可思議な現象についても言及していくただの医療マンガではない。BJは身体を治すことにかけては天才的だが、心までは治癒できないのだ。その無常感がこの物語をいっそう引き立て唯一無二のものにする。

「どろろ」「バンパイア」小学時代に読んだ大切な物語。時代物にオオカミ男。
自身の失われた身体の部位を妖怪退治する度に取り戻す百鬼丸、そこに随行するどろろ、切ない時代絵巻。
方や、オオカミ族の生き残り、まさかの上京で手塚治虫の元でマンガ家修行と、すげぇメタな話。
映画「おおかみこどもの雨と雪」を思い出しちゃうんだよね。

そして中学生になると、東京で父親と同居しての二人暮らしになる。
父が買ってきたのが「火の鳥」と「巨人の星2」でした。(雑誌サイズのやつ)
飼っていた犬がそれを噛み千切って(子犬だったので歯が痒かったのだろう)ギタギタにされたが、「火の鳥」だけは無事、いまだ手元にあります。
このマンガは僕の人生に大き過ぎるほどの影響を及ぼしていて、人生観ぜんぶがそれで決まってしまったかのように思える。
先生のライフワークと言われるこの作品は、過去と未来を行き来し、どんどん現代へと近づいていき、最終章は"いま"で終える構想であったそうだが、残念ながら"いま"には行き着けなかった。
「火の鳥」も何度となく実写・アニメ化がされているけれど、もう先生の描くマンガが絶妙なので、その聖域に手を入れないで欲しい。
マンガの良きところは、読者が自分のリズムで読み進められるとこ、これは著者にもどうしようもない、著者の刻むリズムに呼応しながらも、自分だけの方法で解き進めていき、人の数だけそれは細分化するので独特なのだ。
動画は余りにも全部の世界観を押し付けるので、マンガを通して独自の世界を構築した者にとって、それが重なり合うことは稀なので、永遠に平行線を辿ることになる。
もし原作を用いるのでれば、まったく違った世界観を提示し、さらに凌駕するくらい面白くないとならないので、かなり敷居は高い。それでも成功した作品もあるけれど、大概はいけないよね、金ばかりで愛さえ見えないものばかりだから。

「ブッダ」に於いては、徹底的に宗教観の基盤を刻み込まれた。
「火の鳥」でぶっ壊したものを再構築した感じか。
仏教が産土神を駆逐してく話はかなり衝撃的だった。
人てのは、時と場合でなんて都合よく解釈し、信じていたものの反対になるんだろうと。
宗教てのは殺し合いの道具ではないハズなのだけれど、人は勝手な解釈をしてそれを詭弁に用いて殺し合うし、
それは前世紀の話だと思っていたけれど、21世紀になっても殺し合ってるのだから、そんな動物なんだろう。

それから劇画に嫉妬した先生の一連の作品にヤラれました。
中でも「奇子(アヤコ)」は衝撃でした。
読んだのは十代の終わりくらい。
「上を下へのジレッタ」「MW(ムウ)」「きりひと讃歌」「人間昆虫記」、、、
いずれも日本人の暗鬱な気持ちと風土、世相、ことなかれ主義、戦争、飽くなき欲望、人間の根源と表皮をあからさまにした作品群です。

もうかなり酔うてきたのでもう止します。
マンガの神様・手塚治虫、ご在命でしたら今の世界をどう思うのでしょうか。
てなコトを云うてもかないませんわ。
全集を買うて(まだ読んでいない作品もたくさん)それからどうしようかな。
まだ当分こちら側で踏ん張っときますんで、あっちいった際はよろしゅう頼んます。

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