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行方不明になるわたし。

『ソフィの世界』といえば、
ノルウェーの高校教師ヨースタイン・ゴルデルによって書かれた哲学の入門書。
世界各国で翻訳され、2300万部以上売り上げた、
ベストセラーです。

ある朝、ソフィが郵便受けをのぞきにいくと
一通の手紙が届いていた。
差出人は不明。
封筒を開けてみると、
そこには、一言こんな言葉が添えてあった。
「あなたは誰?」

彼女は、思わず、答えた。
「私は、ソフィ。」

しかし、すぐに彼女は、
それは答えになってないことに気づいた。

ソフィというのは、私の名前。
私そのものじゃない。

今度は、鏡の前に立って、
「これが私」と言いますが、
これも私じゃない、と気づく。

これは私の体。

ちょうど、私の時計、私のスマホ、私の服、
というように、
この体も、私の所有物であって、
私そのものじゃない。

では、私は、どこにいるの?
脳?
それとも、心臓?

臓器移植したとしても、
私が変わるわけじゃない。

そもそも人間の細胞は、
約7年間で、全て入れ替わるといわれます。
つまり、7年前の私と、今の私、
物質的には全く別人ということになります。
でも、私は私のままです。

そう考えていくと、
どこかに私はいるはずなのに、
その私が行方不明になります。

古代ギリシャの時代から、
「汝自身を知れ」と言われますが、
遠く宇宙のことが分かっても、
目に見えない原子や分子の世界が分かっても、
依然として分からないのが
自分自身です。

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