見出し画像

鬼滅の刃の流行に見る 『いま時代が求めるコンテンツ』 とは何か.

自己紹介

僕は、バーチャル上のたまり場をつくる ボイスチャットアプリ『パラレル』を運営している会社 React Inc. でインターンをしている徳永と申します。

普段は、PM/企画チームとして、プロダクトづくりに励んでおります。そうした活動の中で、社内的な話題としても「いまの若者や社会に求められるコンテンツや体験ってなんだっけ?」と考えること議論することが多く、そうした思考の整理の一環として本noteを執筆するに至りました。

鬼滅の刃やAmong usの爆発的流行

『いま、鬼滅の刃がやばいらしい』
そんなことは口に出す必要も無いくらい、「鬼滅の刃がやばい」(それでも口に出してしまう程やばい)

画像1

先日公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、公開から10日間で興行収入100億円を突破した。公開から10日間での興行収入100億円突破は、これまで1位だった「千と千尋の神隠し」の25日を大幅に更新して、日本国内で上映された映画の中で最も速い日数とのこと。また、コミックスの売上の方も「やばい」。オリコン週間コミックランキングでは、既刊全22巻が1位〜22位を独占する史上初の記録を残している。

また、同じコンテンツという話で言うと、ゲームがあると思うが、海外含め現在爆発的に流行しているゲームが「Among us」である。

画像2

この作品を端的にひと言で表すと“人狼”。Crewmateという宇宙飛行士に紛れ込む、Impostor(詐欺師・偽物)を探す、もしくは逆にCrewmateたちをやっつけるというゲームだ。AndroidとiOSでもアプリが出ているほか、PC、Steamにて配信されていて、クロスプレイによる異なる端末どうしでのプレイも可能。最少人数として4人以上が必要になる、マルチプレイが前提となっている作品となっている。
▼ 参考
https://www.famitsu.com/news/202011/09208954.html

まだ日本では爆発的に流行っていると言えるレベルかは分からないが、海外を見てみるとその人気は凄まじい。(App Store[JP]ではゲームカテゴリ内現在2位)

Global で2億DL以上されており、MobileとPCをあわせた同時稼働数は380万以上だと言う。要するに、いまゲームでめちゃくちゃ「やばい」のが、Among usということだ。僕も数回プレイしているが、まあめちゃくちゃ面白い。やったこと無い人は時代に置いていかれているので反省してください(ps. 一緒にやりましょう)

流行りのコンテンツに見る共通性

インターネットの進歩や技術の革新が急速に進むなか、今年は新型コロナウイルスの流行というパラダイム・シフトが起こり得る程の、社会的な変容が大きく進んだ年だと言える。そうした時代のトレンドを見て、テック界隈の多くの人が、「Next Big Thingが来るよね」と、薄々感じているに違いない。

そして、Next Big Thing の傾向は既に見えている(と敢えて断言する)


なぜ、そう言えるか?

それは、インターネットとテクノロジーの進歩で人々が得たもの・失ったもの・新型コロナウイルスの流行で人々が失ったもの・気づいたこと、これら全ての結節点の延長線上に、今流行っているコンテンツ・そしてこれから流行るコンテンツが乗っている(はず)からだ。

本 note では、今流行っているコンテンツに注目することで、これから流行るコンテンツ及び、Next Big Thing は何かという問に対する小さな答え(仮設)を得ることを目的とする。

01. 人と同じことを話したい

画像3

この10年で、僕たちが失ってしまった体験は何か?それは、親しい人と「共通の話題について話す」という体験である。

ここで、忘れてしまった過去の経験を思い出して欲しい。(僕は21歳なのでその経験が薄いですが)
学校に行って休み時間に話すことはなんだったか?それは当然クラスの可愛い子の話だったかもしれないし、憧れの先輩の話だったかもしれない。

でも、そうした会話の中に、「昨日見たテレビの話」は無かっただろうか?
僕の世代で言うと、「しゃべくり007」などの話をした記憶がある。もう一個上の世代でいうと、「学校へ行こう」などの話をしなかっただろうか?

「昨日の〇〇見た?」こういうごく容易に想像出来る会話だ。

これが可能だったのは、『全員が同じコンテンツを見ている・消費しているという前提条件がある程度満たされていた時代』であったからと言える。

そしてこれを可能にしていたのは、『お茶の間』である。一家に一台テレビがあり、家に帰ったら常にテレビが点いていて、家族みんなで同じ番組を見る。時に自分の見たい番組を見れないこともあったが、それこそがこのお茶の間的なコンテンツの消費方法だ。

そして、そうしたお茶の間的コンテンツの消費方法に、合わせてつくられている(いた)のが、テレビ番組であり、誰が見ても面白く・誰が見ても不快な気持ちにならないような番組が用意されている。

ここで今一度、現代の話に戻りたい。

画像4

先程の一家に一台テレビのように、1人に1台スマートフォンを持っているのが、現代である。個々人は自分のスマートフォンを駆使して、その小さな画面で自分の好きなコンテンツを消費するようになった。

お茶の間的コンテンツの消費方法が成り立っていたのは、逆説的ではあるが、それしか出来なかった時代だったからと言える。つまり、不自由が生んだ産物だった。

1人1人が自分のデバイスでコンテンツを消費するようになった時代では、誰が見ても面白くある必要はない。「あなたにとって面白い」それこそが正義である。したがって、少し尖ったコンテンツやニッチなコンテンツが作られ、消費されるようになった。これこそがインターネットの力であり、D2Cなどでも実現されていることではあるが、ある意味、このインターネットの力によって、お茶の間的なコンテンツの消費方法やコンテンツ自体が、失われてしまった時代になったとも言える。そして僕らは、親しい人と「共通の話題について話す」という体験を失った。

自分が好きなコンテンツを、友達のA君が知っているかも好きかも分からない。そんな時代になってしまった。

そうした時代において人々が取る選択肢は2つで、

①親しい友だちと自分の好きなコンテンツの話題については話さない(話せない)
②自分の好きなコンテンツを同様に好きな友達と話す。

多くの場合、①であることが多いように感じられる。〇〇が面白いとおすすめすることはあっても、実際にその人が同じコンテンツを消費してくれることは多くなく、また4-5人の仲の良いグループで雑談している場合、その全員が同じコンテンツを消費している状況というのは、滅多に無い為、1つのコンテンツの話題をグループ全体で共有し、話すというのは現実的にかなり何度が高い。

したがって、人が自分の好きな話題について話たい時、取れる選択肢としては「②自分の好きなコンテンツを同様に好きな友達と話す」になる。

スクリーンショット 2020-11-23 19.43.26

SNS上でハッシュタグ「〇〇好きな人」や、〇〇専用垢などを作って、自分の好きなコンテンツが同様に好きな人を見つけることが出来る。
これも、インターネットが可能にしたことの1つであり、世界中に居る自分と同じ趣味嗜好を持った人を簡単に見つけることが出来るのが今の時代だ。

そうした時代においては、「〇〇好きな人」というコミュニティが沢山生まれるようになり、そんな時代に爆発的に伸びているSNSサービスがDiscordなのかもしれない。

スクリーンショット 2020-11-23 17.10 1


個々人が個々人のデバイスで突き詰めた興味関心を共有出来る人を見つける場所・語り合う場所として、機能しているのだろう。
(事実、Discordは直近の調達を機にゲームSNS -> コミュニティサービスの方向転換を図っている)

さあここで、今一度話を「鬼滅の刃」に戻そう。

鬼滅の刃がこんなにも爆発的に流行っている理由。これは決してコンテンツの面白さそれ自体だけに突き動かされたものではないように感じる。その証拠にこんなにも流行っている鬼滅の刃を「そこまで面白くない・普通」と言う人が少なく無い。

では、鬼滅の刃のこの爆発的な流行をコンテンツそれ自身以外で支えたものは何か?

それは、我々がこの10年で失った体験。つまり、親しい人と「共通の話題について話す」体験の価値、それ自体を意味しているのでは無いだろうか?

なぜ、それが鬼滅の刃だったのか?という考察については、一旦考えないこととするが、根源的にはみな、仲の良い友だちと同じことについて話をしたいし、同じことで盛り上がりたい。そうした人間の求めている体験・忘れかけていた体験こそが、「鬼滅の刃の話をする」という体験に集約されているのでは無いだろうか。
また、もしかするとスマホネイティブ世代・Z世代の人はそうした体験自体をしたことが無いのかも知れない。その体験の面白さに気づいた世代なのかもしれない。人は友達と同じ話をするために鬼滅の刃を見始めるし、鬼滅の刃を見て同じ話をするという体験を楽しんでいるように感じる。

画像8

テラスハウスやバチェラー(バチェロレッテ)について語るのもそれに近い体験と言えるだろう。「今週の〇〇やばかった」「〇〇ちゃん応援している」などコンテンツを見ることそれ自体に加えて、それを語り合うという体験がセットになって面白いのであろう。

~ 01. 僕たちは、「人と同じことを話したい」~

02. 人と同じことを体験したい

新型コロナウイルスによる外出の自粛、及びそれに伴う行動変容(密は避けるなど)によって、僕たちの感覚にどうった変化が起きたのか。

単純に考えるなら、僕らは「孤独になった」

画像9

今まで友達と外で遊んでいた時間は、そのまま家に居る時間になり、物理的に1人で居る時間というものが増えたしそれに慣れたのが、この自主期間だった。カラオケに行ったり、フェスに行ったり、イベントに行ったり、そういった今まで当たり前に行っていた「人と同じことを体験する」ということが容易ではなくなった。物理的に「人と同じことを体験する」ということが難しくなった今、人はそうした体験を求めなくなるのか?やらなくなるのか?

勿論、答えは否である。

人はインターネットの力を駆使して、隣に居なくても一緒に同じ体験を出来る。そんな中で「人と同じ事を体験する」ツールとして非常に優れているのが、「オンラインゲーム」だった。コロナ自粛期間に入って、オンラインゲームの需要は超拡大し、各ゲームのDAUが軒並み爆伸びしたことがそれを証明している(パラレルも例外ではない)
先程、例に上げたAmong usなどは、そうした「人と同じ体験をする」コンテンツとしてゲームの中でも非常に優れている(それ故に流行している)

オンラインで人と同じことをする体験というのは、意外と簡単ではない。そもそも慣れない体験を人に押し付けるというのが難しいし、物理的情報が少ない為、相手が何を考えているのか?などが非常に分かりづらく、またそれ故に、コミュニケーションの合間で生まれる『一瞬の間』さえも気になってしまう。オンラインで一緒にコンテンツを消費していても「本当はつまらないのかな?」「楽しんでくれているのかな?」と要らないことを色々と考えてしまう。

その上で、Among us というゲームが流行っているというのには納得がいく。ルールが簡単で、ゲームを進行する上でコミュニケーションが必須(強制的に取らされる)である一方、ゲーム中の大半の時間はコミュニケーションを取ることが出来ない(変な間が生まれない)、離脱した人間にもやることがあり、各々のプレイングによって毎回ゲームの進行が変わる。また、通常の人狼と違って話術一本勝負ではなく、ゲームのプレイングでどうにでもなる部分もあり、話術に自信が無い初心者でも人狼側として楽しめるのも良い点だ。しかも、クロスプレイに対応していて、スマホとPCでの通信が可能であり、遊ぶ人の持つデバイスを問わない。

他にも、「人と同じことを体験したい」という人の欲求が顕在化しているシーンは多くある。例えば、ライブ配信サービスの成長や、そこでウケるコンテンツの変容もこの「人と同じことを体験したい」という欲求に紐付いている気がする。

画像6

Among usの前に、TwichやYoutube上で爆発的に流行したFall Gaysなどは、視覚的にルールがわかりやすく、ライブ配信者と一緒にゴールを目指している感覚(没入感)がある。
またAmong usも同様に、配信者の嘘や人狼に対する疑いを一緒に共有している感覚になり、同じ立場でコンテンツを消費しているような面白さがある。

流行るゲームは、実況者に取り上げられていることが多く、また実況者に取り上げられているゲームは、この「人と同じことを体験したい」という欲求を満たすような実況映えするゲームであることが多いように感じる。

ライブ配信それ自体が、「一緒にコンテンツを消費する体験」そのものではあるのだが、その中でも、「人と同じことを体験したい」という欲求を満たせるようなゲーム・コンテンツがうけているような気がするし、流行っている気がする。

~ 02. 僕たちは、「人と同じことを体験したい」~

03. 人と同じ場所に居たい

インターネットの発達で僕らは離れた場所に居ても、すぐに連絡を取り合うことが出来るようになったし、色々な体験も共有出来るようになった。そんな中で人はより同期的に繋がりを求めるようになっている気がする。

これは自然な流れで、インターネットで色々なことが出来るようになった結果、単純に人がリアルと変わらないような体験を求め始めたと言えるだろう。リアルで話していて隣に人が居ない訳が無いし、何か話しかけてすぐに返事が無いことの方がおかしい。

上に載せた石ころさんの記事の中で、「プレゼンス」という言葉が使われている。プレゼンスとは、空間を共有している感覚・人と一緒に居るような感覚であり、これからのSNSに求められるのもこの「プレゼンス」である。

既にプレゼンス感のある機能などは既存SNSにも存在していて、インスタグラムのストーリそれ自体や、閲覧者リストの機能、LINEの既読機能などが上げられる。

画像7

人はオンラインであっても、「すぐそこに友達が居る」という感覚を求め始めているし、逆にそれが感じられないサービスは今後廃れていく可能性が高いんじゃないだろうか。

Instagramのストーリーのアイコンが大きくなったことや、Twitterが最近始めたFleet機能などもこの流れを汲み取った変容と取ることもできる。

画像10

そして、究極的にこの世界観を実現するのが、VRやメタバース的な世界観なのだろう。視覚的にもリアルと変わらない感覚で、実際に物理的距離を縮めて同じ空間に居る感覚を得ることが出来る。まだ、技術的に出来ることの成約などが多いため、世界が一気にそこへ振り切ることは無いが、将来的にはその方向に世界も動いていくのだろうと思う。

~ 03. 僕たちは、「人と同じ場所に居たい」~

『いま時代が求めるコンテンツ』 とは何か.

長々と駄文を書いてきましたが、結論として『いま時代が求めるコンテンツ』が満たす要件は下記のようなものなんじゃないかな〜と思います。

人と同じことを話したい(コミュニケーションの種となる・話題の共通性)
人と同じ体験をしたい(体験の共有・没入感)
人と同じ場所に居たい(同期性・プレゼンス感)

どのコンテンツが 「Next 鬼滅の刃 」「Next インスタグラム」になるのかは分からないですが、インターネットの発達や感染症の影響及びそれに伴う行動変容で、分散してしまった僕らの興味/関心/体験それらを一箇所にまとめることの出来るハブ的なコンテンツ・サービスが伸びていくんだろうな〜と、大学生ながらに感じています。

そして、パラレルがつくるもの

最後に宣伝のようになってしまって申し訳ないのですが、僕がインターンしている会社でつくっている『パラレル』は、「バーチャル上のたまり場」をつくることを目指しており、まさに上に上げたような「コミュニケーション」「体験の共有」「同期性」それら全てを重視・追求しているサービスです。

今現在パラレルで出来ることはそこまで多くないですが、僕たちが作り出そうとしている世界観や今やっていることなどは、このnoteで書いたような話を踏まえても間違っていないと確信しています。

▼ アプリのDLはこちらから

▼ 会社に興味がある人はお気軽にご連絡ください

徳永のTwitter
代表青木のTwitter

おわりに

ご拝読ありがとうございました。
パラレルに興味を持ってくれた方やスタートアップに興味がある方、この記事に書いてあるようなことをディスカッションしたい方は、是非是非お茶いきましょう(同世代だとより嬉しい)

この記事が参加している募集

心に残ったゲーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?