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強迫性障害(OCD)なりに日々を愉しもうとした話

昨年の今頃、第2波がなかなか下がり切らずワクチンも遠い先の話のように感じたので、いよいよ通常の生活が困難になっていた。

最寄りのスーパーやドラッグストアすら行くのに勇気が要る。
どうにか開店間もない時間に駆け込む。
コンビニには行かない。24時間営業でウイルスが浮遊している危険性が常にあるから。

外食は論外で、テイクアウトもしない。
作っている人が感染している可能性があるから。

好きだったドライブもしない。
疲れて免疫力が低下すると感染リスクが高まるから。
運動はしないとかえって感染リスクが高まる。
だが、もし今自分が感染していて発症前の段階だとしたら、運動なんかしたら急激に体力を奪われてしまう。やめておこう。

そうして、自宅でコーヒーを淹れて料理をして、ひたすらにあつ森とKindleの供給だけを受ける日々を送った。

やがて年が明け、ワクチンの話も少しずつ増えてきた中で「今年は今よりいい日々を送れるかもしれない」という希望が芽生えた。
自身の強迫観念も、どうにか克服したかった。

その時は第3波真っ只中だったが、まずはドライブを再開した。
飲み物は家から水筒を持参する。
コーヒーは人が寄り付かなそうな寂れた自動販売機で買う。
小さなピクニックのようだった。

引っ越して直ぐにこの災禍が始まったので、少し離れた通りはもう旅先のようだった。

陽射しが優しかった。
春が来るんだという予感と確信が語りかけてくる。

それからまた季節が巡ろうとしている。
ありがたいことにワクチンの恩恵を私も周りも受けられたので、飲食店以外にはどうにか入れるようになった。
あと少し、あと少しと言い聞かせながら、相変わらず背中に付いている不安を飼い慣らして日々を送っている。

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