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風と同意義

散歩に出た

風が少し吹いていて

過ぎゆく車の助手席の窓から少しだけ顔を覗かせる子供や

小さな椅子に座ってバスを待つ老婆は

大体風と同意義だった。

髪や服の隙間から駆け抜けていくそれらは

町中に浸透して

薄くなった桜を散らし

そして掬い上げていた

舞い上がらない錆びたネジや

ほつれたカラフルな金網が

高架橋の下から私と一緒に

はやいはやい電車を眺めていた

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