見出し画像

真山知幸「逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ」

・本書は、著述家で、偉人研究家の著者が、「文豪の逃げっぷり」に注目し、文豪たちの豪快な「生きざま」ならぬ「逃げざま」にクローズアップし、日本だけでなく、世界の文豪たち45名の豪快エピソードが収録された1冊。

逃げまくった文豪たち(一部)

①夏目漱石〜人間不信に陥り引きこもる〜
・夏目漱石(以下、漱石)は、『吾輩は猫である』『こころ』『三四郎』など、数々の名作が、時代を超えて読み継がれている日本を代表する文豪であるが、小説家デビューしたのは38歳と、後世に残した実績を考えれば意外と遅かった。
・漱石は、1867年、現在の東京都新宿区に、名主の5男として生まれた。
・父親は名主だったが、貧しさからか、漱石は生まれてすぐに古道具屋の夫婦のところへ、里子に出されている。
(赤ん坊の漱石は、小さなザルに入れ、古道具と一緒に夜店の大通りに晒した、という扱いを受け、それを発見した姉が、あまりに不憫なので実家に連れ戻す)
・漱石は、別のところにも養子に出され、実家と出された養子の間で行き来されるなど、どちらからも厄介者扱いされるなど、大人の都合に振り回された子供時代を過ごした。
・逃げ帰った実家から小学校に通った漱石は読書好きで、12歳のときには短編を書いており、次第に「自分も文学をやってみよう」という思いが強くなり、大学では英文科に進学するも、当時、英文学に関する資料は少なく、漱石は苦戦し、結局、英文学が何たるかがわからぬまま卒業を迎えてしまう。
・それでも就職はしなければと、高等師範学校の英語教師になるも、肺結核の初期と診断され、やがて全快するも、あることがきっかけで気分は塞ぎがちになり、東京から逃げるように学校を辞職すると、松山や熊本に英語教師として赴任。その後、文部省より命じられたロンドン留学で、漱石は鬱積を抑えられなくなった。
・「ロンドン留学」というと、華やかな響きであるが、その生活は悲惨そのものであった。しかし、その生活があったからこそ、あの名作が誕生した。
※ロンドンではどのような生活だったのか、どのような名作がどういう経緯で描かれたのかについての詳細は、本書をお読みください。

・本書では、「人間関係なら逃亡しちゃった文豪」「家族から逃亡しちゃった文豪」「仕事から逃亡しちゃった文豪」「勉強から逃亡しちゃった文豪」「自分との約束から逃亡しちゃった文豪」「借金から逃亡しちゃった文豪」「むしろ逃亡しないのがヤバい文豪」という章で構成されており、「地震のとき妻子を見捨てて逃げた 芥川龍之介」「妻といさかいの末、82歳で家出したトルストイ」「中退を繰り返して充実のニート生活を過ごした萩原朔太郎」「中学3年でほとんど学校に行かなくなった 金子光晴」など、45名の文豪の「逃げっぷり」。赤裸々に紹介した内容となっている。

「今、生きるのがつらい」と感じている人にお勧めします。大成を果たした文豪や偉人でも、こんな逃げエピソードがあったんだと、気持ちが和らぐはずです。

#瞬読アウトプット #1分書評 #実務教育出版 #文豪 #偉人 #逃げる #逃亡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?