見出し画像

「記憶障害?!」【パン屋のひと】vol.2

遡ることおよそ40年、小学5年生の時のこと。

通っていた小学校に突如立ちあがった「相撲部」。

今思えば小学校で相撲部って…。


相撲部顧問の先生が、野球をやりたかった私に「相撲部やらないと野球部やらせない」という意味不明な勧誘を施し、半強制的に野球部と掛け持ちで相撲部員になったわけです。


小学生としては恵まれたほうの体格だったし、運動もまぁそこそこやれていたので「買ってもらえた」ことそのものは悪い気はしていませんでしたが、「恥ずかしさ」が強かったことを思い出します。


相撲のユニホームといえば「まわし」ですよね。


急造の相撲部に部室などあるはずはなく(そういえば野球部もなかったか。運動場わきの職員室の前で着替えてたな。)、屋外で白のブリーフ1枚になって部員同士でまわしを締めあう、みたいな。


練習はといえばひたすら運動場の片隅で四股踏みとすり足。

思い起こせば従順だったんだな。


今どきの「わんぱく相撲」みたいな感じではなく、わりとガチな部活テイストでした。

竹刀を片手に指導をする、色のついたサングラスをかけた顧問の教師。

マンガの世界みたいですね。


当時、小学校でガチ系の相撲部があるところなんて極々限られていて人数がいないものだから、学校対抗では勝てなくても「区」の代表に選ばれたりして。



区の代表として出場した市の大会。

5人の団体戦で先鋒を務めた私。

相手?覚えていません。全く。

結果、浴びせ倒し(だとおもう)で敗戦。


事件はその時起きました。

倒れた際に土俵で後頭部を強打。


なんとなく、頭が地面にぶつかる(もしくはぶつけた)瞬間の風景は記憶に残っている気がしますが、その後のことは空白が長く途切れ途切れで短い時間の断片が少々。

何人かの大人たちが私の顔を覗き込んでいる様子とか。


私を勧誘した顧問の先生が引率をしてくれていたのですが、様子を見て心配になったんでしょうね、私を病院に連行し受診させました。


結果は骨にも脳にも異常なし。


チームの結果は確か準優勝かでお疲れさんの意味もあったのか(先生ご自身の安ど感も?)、先生の車の後部座席で同じ小学校の代表仲間とお好み焼きをご馳走になったことを覚えています(というか後から聞いて記憶として上書きされた。ほんとになんとなくは覚えている)。


無事帰宅して母にコトの顛末を伝え、まずは安静にしなさいと夕食を家族よりひと足先に摂ってひと眠り(食欲はかなりあった模様。だってお好み焼き食べてたんですから。)。


これ書いてて今思い出しました。気持ちが悪い・吐き気がするとなったらすぐ病院に行くように、って先生に言われたこと、それを母に伝えたことを。

その時の母の気持ちを想像するとあれですよね、息子が帰ってくるなりそんなこと聞かされて、でも晩ごはん食べたい!って。


そして次の事件。


遅れて帰宅した当時中学生の兄が夕食を摂り、食後にデザートを食べている時に私が目を覚まし、口にした言葉が「お兄ちゃんだけそれ食べてズルい!」


それを聞いた母はもうびっくり。

だって、私も夕食のあとに同じものすでに食べていたんですから。

母がやや狼狽え気味に「さっき食べたじゃないの!」。


帰宅するやいなや頭を強打した話しをし、吐き気についての注意喚起を伝え、つい先ほどの出来事を覚えていない息子が目の前に。

それは驚きますよね。


その辺りからなんかいろいろ怪しい感じはありつつも、幸い特に明らかな異状はなく、でも周りは恐る恐る様子見。


思い出せない、というよりも、記憶にならない=インプットに不具合、みたいなことが起きていたっぽい。

医師や専門家の診断を受けたわけではないので何とも言えませんが。


興味深いのが、時をほぼ同じくして学校の成績が良くなったこと。

周りには頭を打ったからだと自ら吹聴していましたが、因果があったかどうかは不明。。。

なんでインプットに不具合が起きて学業向上するか、っていうこれもよくわかりませんよね。。。


あの事件があったからか、元々の気質だったのかは定かではありませんが、過去のことは比較的覚えていません。

不鮮明な記憶などという生易しいものではなく、すっかり欠落という方が相応しい。

妻の記憶と比べるとかなり劣ります。

プロポーズのこととか、あれやこれや、初めの頃は「え?覚えてないの?冗談でなく?」でしたが、今や「覚えてないでしょうけど」へ。

確かな歩み寄りと慈悲深い理解に救われています。


ということで、未来に比重が置かれる私の思考パターンは、あの後頭部強打事件がきっかけになっています(と思ってここまで生きてきています)。


【パン屋のひと】を謳っているわりには今回「パン」という語が一度もでてきませんでしたね!


おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?