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ぜひ食べてほしい韓国の健康定食「サンバプ」&美味しい店の探し方

 韓国食。この分野も、韓流が浸透する中で、いろんなものが知られるようになった。人気キーワードとしては、「辛」「肉」「キムチ」が妥当だろうか。今回ご紹介する「サンバプ」もまた、これらの要素が含まれているが、パッと見は「THE韓国食」ではないかもしれない。

 直訳すると「包んだご飯」。サンチュなどの葉野菜や昆布に、ご飯をヤンニョムと共に包んでいただく。サンバプ定食は、それに加えて、数種類のキムチや手の込んだ惣菜(バンチャン)で構成されている。韓国全国どこででもいただけるが、地域やお店ごとにキムチや総菜が異なるため、どんなものが出てくるのかという楽しみもある。ありふれた韓国食はもう飽きた!という人にもおススメだ。

 金海空港から近い サンバプのお店

 ソウルや釜山などの大都市にもあるが、個人的におススメなのは、地方や郊外にてひっそりと営むお店である。アクセスしやすい地方都市だと、大邱(テグ)、晋州(ジンジュ)、光州(クァンジュ)など。これらの都市は昔より栄えていたところ。食文化も奥深いものがあり、美食に出遭える確率は高い。

夫婦がひっそり営んでいる歴史を感じさせる雰囲気

 飾り気のない佇まいに雑然と置かれた壺たち。韓国チックな屋内の雰囲気に、何かが漬けられている酒類。なおかつ、お店の人が日常スタイルの韓服を着ている場合、料理に期待してもいいかもしれない。

日常スタイルの韓服 愛用する人は多い
左下の瓶は手作りの「かりんエキス」 販売中

 ここの主メニューは、ひとつだけ。「山菜定食」。他には、お酒のつまみとして唐辛子ジョンやホンオ(ガンギエイを発酵させた韓国珍味)があるのみ。日本もそうだが、韓国でも、多様なメニューを揃えているお店より、自信の品一本で勝負しているお店の方が旨い傾向がある。

山菜定食 3人前

 価格は、1人前で1万ウォン(1000円ほど)。インフレで外食費も随分上がったと言われいるが、それでもコスパの良さを感じる。

雑穀ご飯と自家製味噌のテンジャンクッ

 こじんまりと個人が営んでいるお店では、自家製の味噌や醤油を使っていることが多い。そういったところだと、言い方は乱暴だが「当たり」をひいたも同じ。食材、ヤンニョム、作る過程、その全てにおいてこだわっているため、できあがるものに妥協は見えない。真心からの「おもてなし」を受けている感がし、心も温まる。

サンバプのヤンニョム 程よいしょっぱさが美味しい塩辛ベース

 サンバプしてみる。こちらのお店は、葉野菜の種類が少ない。本格的なところだと、茹でたキャベツの葉やかぼちゃの葉など、数種類のものが出される。白菜の葉に、一口サイズのご飯とヤンニョムを載せ、包んで一口でパクっといただく。韓国人は、何の違和感もなく自然な手さばきで食する。私は?と言うと、いまだに手際が良くない。

どんなバンチャンが出てくるか 韓国食の楽しみである

 レンコンの煮物、切り干し大根の甘辛煮物、キノコとパプリカの醤油あっさり和え、ちりめんじゃこ甘辛炒め、青菜ナムル、ジャガイモの甘辛煮っころがし。韓国バンチャンには、甘辛ベースの味付けのものが多い。とは言っても、「甘」より「辛」の主張が強めである。「辛」好きな人にはたまらない。

魚と大根の甘辛煮つけ 身がホロっと美味しく しみしみの大根に癒される

 小鉢の惣菜たちに加え、魚料理と肉料理が出されることが多い。食べる楽しみはあるが、これだけの品数だと残ってしまうのは、ごく普通のこと。この残飯問題に関しては、否定的な意見が多いにも関わらず、なかなか改善されないのは、客人には「お腹いっぱいのおもてなし」をすることを礼儀としてきた韓国人の価値観が根強いからだろう。

ホンオ、ボッサム、キムチを一緒に頂く韓国珍味「サマプ」

 中国における「食は広州にあり」の言葉を、ここ韓国にて借りれば「食は全羅道にあり」と言える。韓半島の南西部に位置する全羅道。お米の産地でもあり、食通を満足させる美味が多いことで知られる。珍味「ホンオ」もまた全羅道の特産。

 ガンギエイを発酵させたもので、その強烈な臭気のため、韓国人でも苦手とする人が少なくない。口に含むと、納豆に似た、発酵食独特の臭気が、サッ~~と鼻腔まで押し寄せる。なかなか強烈な感触。「ホンオ」は、スープにしていただくこともあり、胃腸に良いとされている。近海で捕れた国産モノは高級品で、お祝い時に振舞われるハレの料理でもある。
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 ホンオのポピュラーな食べ方は、ボッサム(茹で豚)とキムチを共にいただく「サマプ」だ。三つを合わせるという意味であるが、不思議とお互いの強い癖を和らげる、意外な組み合わせ。マッコリのお供としても愛されている。

唐辛子ジョン

 家族で食べに来たのだが、食べ盛りの息子が、この品数でも足りないと、追加で唐辛子ジョンを注文した。名は唐辛子だが、私はてっきり、ネギやニラなどの他の野菜も混ざっているだろうと思っていた。しかし、予想を反し、見事に唐辛子のみであった
 
 「マジかよ;;辛すぎて私には無理だな、コレは」と独り言ちながらも、おそるおそる口にしてみる。ピリリ感はあるが、口中が烈火のごとくには、ならなかった。よく見ると、辛みの強い種が取り除かれている。そして、採ったばかりであろう唐辛子の瑞々しい食感が良い。「旨い」が、思わず口をついて出た。

 さて、これだけのクォリティーでこの価格。今の韓国の外食相場を考えると、安すぎる。逆に採算がとれているのか、こちらが心配になってしまうほど。「韓国は、全てにおいて0か100かのどちらかなんですよ(笑)」以前、仕事で韓国にいらした、大学時代のゼミの先生の感想である。共感できる言葉だった。

 食を提供する商売においても、このことが言える。「まずいわ高いわ」の金儲け一筋なお店が一定数存在する反面、真心込めた手料理を安価で提供する奉仕レベルなお店もまた一定数存在する。

 観光地などの「一見さん」が多い地では、「まずいわ高いわ」に遭遇する確率は高くなる。それでは、地元の人に愛されるような真心のこもったお店を探すには、どうしたら良いか?

韓国を代表する検索エンジン「ネイバー」を活用する方法がある。

 多くの人が、お店のレビューを、ここネイバーブログにて作成している。その見返りは?フォロワー数や訪問者数が増えると、ブログの記事に広告を貼り付けることができ、わずかであるが報酬が発生する仕組み。

 しかし、残念ながら、検索上位に挙がってくるインフルエンサー系ブロガーの記事は、お店からの食事提供(案件っていうのかな?)によるものが多い。そういう記事は全く信頼できない。そのため、韓国人は美味しい店を探す際に、あるキーワードを手掛かりにする。そのキーワードとは、내돈내산「ネトンネサン」。直訳すると「私のお金、私が買った」案件じゃないよ^^という意味である。

 美味しいお店行きたいという方々へ。ぜひ、このキーワードをコピペし、検索してみてほしい。韓国語がわからずとも、レビューには写真が豊富に掲載されており、いくつか比較してみると、どこが「当たり」なのか何となく見当がつく。地図も出てくる。

내돈내산  ネトンネサン

쌈밥정식  サンバプ定食

맛집              美味しい店

내돈내산쌈밥정식맛집       ネトンネサン サンバプ定食 美味しい店

서울    ソウル

부산    プサン

대구    大邱(テグ)

경주    慶州(キョンジュ)

진주    晋州(ジンジュ)

광주    光州(グァンジュ)



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