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『ひらけ駒 南Q太』を読んで

こんにちは、いちごちゃんです。

今回もHonto無料本コーナーで見つけた本を読んで感想文を書いていきたいと思います。

今回は南Q太さんの『ひらけ駒』という漫画です。

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将棋を題材とする漫画は多く存在する。しかし、それぞれが将棋というものをどう扱うのかは異なっていたりする。例えば『3月のライオン』は将棋を通じた人情漫画である。心を描く媒体が将棋になっているのが『3月のライオン』だ。

この『ひらけ駒』はどうだろうか。この漫画は将棋の日常だ。いや、棋士たちの日常だ。将棋を始めた小学4年生の宝君が将棋にのめりこみ、それを支える母親との日常を描いているのがこの漫画である。私たちはその日常を第三者的俯瞰で覗いていく。

登場人物に天才はいない。主人公も多少強いくらいで天才ではないし、母親も普通。誰も腕も伸びなければ、鬼を倒したりしない。住んでいる家も普通だし、暮らしぶりも普通。普通の少年が普通に将棋にのめりこみ、プロを目指すというストーリー。

この物語、たぶん将棋好きが描いたんだと思う。いや、将棋漫画を描くくらいだし、と言われるかもしれないが、そうじゃない。将棋漫画は難しいのだ。先に挙げた『3月のライオン』のように、将棋を描きつつ人情ものだったり、他のメッセージを残したくなるものが多くなる。でもこの漫画はそうじゃない。あくまで淡々と将棋を描く。

その様子が第1話から描かれる。第1話から将棋の駒の話がある。木がいいだの、プラスチックは音がよくないだの、そういう話が第1話からある。信じられるだろうか?少年漫画的には「初動、一撃、激震」というのが第1話の掟だが、それを描かない。ここに将棋好きの本気の日常を見ているのだ。

これから宝君がプロになるのか、環境的変化どうあるのかはわからない。でもこの変わらず淡々とした日常を描いてほしいと願う。


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