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巨大中国を動かす紅い方程式 モンスター化する9000万人党組織の世界戦略

 中国の組織がどういうものか知りたければ、この1冊が詳しいかも。

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 中国、著者中川コージは一貫してチャイナと表記しているけど、その組織の上下関係は極めて厳格だと言う。上意下達が徹底している。
 その代わり、どこの組織もそうであるように、ボトムアップは上を忖度して虚飾が混じることが多い。中国の場合は、それが特に激しい。上の覚えがめでたくなければ出世はまず不可能だから。
 この異常な出世競争は、科挙の時代から続いているもの。

 そういえば、別の本で、中国のことを過去からチャイナ、あるいはシナという一つの名称でしか知らない欧米が、その動静を見誤ったのは、そのせいではないかと書いていた。日本の場合、それが元であり明であり清であり・・・そして中華人民共和国としての今を知っているので、変遷の理解はある。あるけど、日中戦争時以外、何かを働きかけたということがないままにボケっと過ごしてきた・・・。

 著者中川コージが強調するのは、中国は、いわゆる一つの国家ではなく、国と軍があって、その上に共産党がある複合体だということ。
 ここで言う国は、どちらかというと国内で、そういう意味では、法治国家がそこにはある。
 防犯カメラがそこかしこにあって監視社会と言われているけど、現実には国内で議論がされて、それほど本格的ではないらしい。とはいえ、中国のことだから、いずれはそうするためのガス抜きだろうと著者中川コージは看破している。
 軍は、国軍ではなく、共産党の軍組織で、別物。だから天安門事件のように、国民を平気で戦車でひき殺せたりする。
 そして、それらを統治しているのが、中国共産党という名の組織。だから、最終的には人治国家になる。
 思いっきり資本主義に走っているので、共産主義ではない。もっとも、習近平総書記は毛沢東に傾倒していて、その時代に戻そうとしている気配があって、中国共産党は共産主義かもしれない。国は資本主義・・・そうなると、国は中共産党の敵であって、革命される・・・なんじゃこりゃ!

 国が国内組織なので、日本の外務省などが国に向かって働きかけるのは見当違い、外交は中国共産党を相手にしないとならないよ、と著者中川コージは言う。

 よもよも中国をただの虚勢を張った物真似国家と見誤ることがないように!
 最近は物の品質もよくなってきているのは事実。「こんな程度のもの」と言ってられなくなっている。デジタル化もどんどん進んでいる。
 日本と違って、ベンチャーは14億人の競争に打ち勝って存在している。TikTokなどを馬鹿にできるだろうか? 生半可ではない。

 著者のポリシーは、「我が国がチャイナに生殺与奪の権を奪われないラインを見極め分析することで、その手前の範囲でチャイナから徹底的に『我が国が利を得る』目的に共感する日本人のため」。


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